2023年5月28日日曜日

■ドル円140円台半ばまで上昇しています
※ドル円日足 144円台の黄色いライン(左側黄色い丸)は介入ライン

※米国債利回り一覧 2年債利回り11営業日連続上昇

5月FOMCで利上げ打ち止めと目されていた米政策金利が
6月会合(あるいは7月会合)でさらに追加利上げがあるのでは?という
観測が織り込まれ、年内利下げ開始の時期が後ろにズレていることが
足元の短期金利上昇の背景です。

となると急速に日米金利さが広がりますのでドル円相場は上昇する、
というわけですが、先週はFOMCが最も注目するPCEが発表されました。

・PCEデフレーター
米PCE価格指数、上昇ペース加速-FRBは利上げ姿勢維持か
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-05-26/RV9MV5DWX2PS01
・PCEコア価格指数  前月比+0.4%(予想+0.3% 前月+0.3%)
            前年同月比+4.7%+(予想4.6% 3月+4.6%)

・PCE総合価格指数 前月比+0.4%(予想+0.3% 前月+0.1%
        前年同月比+4.4%(予想+4.3% 3月+4.2%

・PCE 前月比+0.8%(予想+0.5% 前月+0.1%(速報値横ばい)に上方修正)

実質PCEは前月比0.5%増(市場予想0.3%増)と、今年1月以来の大幅増

インフレ加速に加えて消費者の支出が加速していることが示されました。
物価上昇圧力はまだ衰えず、それにもかかわらず需要が堅調であるため
ここで利下げの議論などありえない、という話であり、
むしろ、さらなる利上げが必要な状況ということが確認された恰好。

利上げの可能性があるというのに、
テック関連銘柄が強い。
去年2022年は利上げの影響をモロに食らって大きく下落した
ナスダック総合指数が、昨年の下落の半値戻りを達成しそうです。

※ナスダック総合日足
※SOX指数 (半導体指数)
これは今話題のチャットGPTや生成AIなどの需要が強いということでしょうか。

■テック株堅調 半導体マーベルテクノロジー32%高
マーベル・テクノロジー
24年1月通気のAI関連製品の売上高前年比で「少なくとも2倍」になる見通し

金利云々、全く関係のない需要があるセクターということでしょう。

加えて週末に懸念材料となっていた債務上限問題に進展がありました。
これを受けてダウなど他の指数も上昇したようです。

■債務上限問題「原則合意」報道

ホワイトハウスと共和党、債務上限問題で原則合意-デフォルト回避
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-05-27/RVC7J8T0G1KW01?srnd=cojp-v2
・債務上限合意で31日の採決見込むとマッカーシー下院議長
(議長は28日に大統領と再び協議し、31日に採決を行う方針を表明)
・合意内容には民主・共和両党の強硬派からの反対も予想される

【原則合意内容】
・債務上限の適用停止(2025年1月まで=24年大統領線後まで)
・非国防支出を今後2年間にわたりほぼ現行の水準に据え置く歳出合意

デフォルト(債務不履行)を回避することで原則合意、ということであり、
「合意には民主・共和両党の強硬派からの反対が予想される」

という状況のようですが、もう波乱はないと見ていいものか。
この辺の温度感がイマイチわからないのですが、
基本もうこれがマーケットの悪材料とはならないと考えていいのでしょう。
週明けの日本市場がリスクオンで反応するならそういうことです。

・・・・とマーケットが楽観したあとに、
やっぱり反対が強硬で合意できないという事態に発展したら
マーケットへのインパクトは大きくなってしまうのですが。

万が一合意できなければ6月5日に資金枯渇とイエレン財務長官

イエレン財務長官、米政府「Xデー」を6月5日と推計-書簡
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-05-26/RVA8PADWRGG001
・財務省の現金残高は今月25日時点で388億ドル

日経平均も金曜現物市場終値からさらに夜間取引で上昇。
週末の先物市場では 31500円まで買われました。


債務上限問題でのデフォルト警戒のショートが踏み上げられています。
この踏み上げ相場が週明けも続くようなら
月曜以降もまだまだ日本株、米株は上がると思われます。

万が一の原則合意も、議会が揉めて決裂というニュースさえなければ。

ちなみにドル円相場140円台まで上昇してきましたが
去年、日本当局の最初の介入は144円台でした。
(この介入後にさらにドル円が上昇して151円まで上昇したのですが)

最初の介入水準にまで到達するようなら
再び鈴木財務大臣が為替市場にコメントを発するなど
介入警戒がでてくるやもしれません。
実際去年介入したレベルが近づいてきているため、市場が意識することも考えられますね。
ああ、調べてみたらもう26日金曜午前に発言していますね。

為替「市場動向しっかり見る」 鈴木財務相
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023052600419&g=eco

だからドル円、上昇しても144~145円くらいまでじゃないかなぁ
と思うのですが、、、、

というのも、日本のインフレ率、日銀の想定は2月ピークで減速していく、
というものでしたが、その後出てきたCPIはピークアウトの兆候がありません。

しかも何もしなければ為替がどんどん円安ドル高となっていく。
であるならば、再び介入するのではなくて
YCC修正(撤廃)などの調整によって円安(インフレ加速)の調整を始めるのではないか、
という観測が高まっても不思議ではありません。

というわけで、今週以降は日本の当局からのコメントや
市場の予想、観測報道などもドル円相場を神経質に動かすリスクに注意。

カナダ円101.67円ロング継続。
ユーロドル1.0908ドルショート継続。

*********今週の主な予定************

29日(月)
英国市場はスプリングバンクホリデーのため休場
米国市場はメモリアルデーのため休場

30日(火)
日本雇用統計(4月)
米消費者信頼感指数(5月)
ロウ豪中銀総裁、上院委員会出席
米EU貿易技術評議会(TTC)(31日まで)
リッチモンド連銀総裁、全米企業エコノミスト協会(NABE)インタビュー応じる
米3カ月物短期国債入札(630億ドル)
米6カ月物短期国債入札(560億ドル)

31日(水)
豪消費者物価指数(月次ベース・4月)
中国製造業PMI・非製造業PMI(5月)
独消費者物価指数(5月)
ECB金融安定報告
米求人件数(4月)
米地区連銀経済報告(ベージュブック)
フィラデルフィア連銀総裁、講演
ボウマンFRB理事、ボストン連銀総裁、イベント出席
北大西洋条約機構(NATO)外相会合(1日まで)

1日(木)
中国財新製造業PMI(5月)
ECB議事録(5月4日開催分)
ユーロ圏消費者物価指数(5月)
米ADP雇用者数(5月)
米自動車販売(5月)
米ISM製造業景気指数(5月)
ラガルドECB総裁、講演
フィラデルフィア連銀総裁、講演
イエレン米財務長官が警告する米デフォルト「Xデー」
BRICS外相会合関連会合(2日まで)

2日(金)
米雇用統計(5月)
アジア安全保障会議(シャングリラ会合)(4日まで)

4日(日)
OPECプラス閣僚級会合
***************

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