先日から茶梅を作っているので、茶梅に使う烏龍茶をちょっと深く考えてみる。の図。
皆さま茶梅をご存じでしょうか?
台湾の定番のお茶請けです。
台湾に行くと、お茶屋さんで試食させてくれることも。
甘酸っぱい梅に烏龍茶の風味が染み込んでいて、食べ出すと止まらない。
お茶請けなんだけど、茶梅だけ頬ばることもしばしばです。
日本だと梅干しにするのが定番だし、甘い梅といえば、煮たものとかシロップ漬けに使った残りしか知らなかったので、初めて食べたときは、凝縮感とおいしさに感動しました。
それ以来、台湾に行くとお茶と茶梅(とかお茶請け)を山のように買って帰る私。
しかし、コロナの影響で長いこと台湾に行けないので、今年は自分で作ることを決意しました。
今、こんなかんじ。
写真の状態になるのに2週間かかっていて、これから茶葉を加えるところ。
作り方については、また改めてブログに書こうと思っていますが、取り急ぎInstagramのストーリーズハイライトにまとめています。(→コックしろのInstagram)
梅が出回る時期が終わってしまう前に作ってみようという方は、そちらを参考にしてください。(梅干し用の熟した梅を使うので、今ならぎりぎり作れるかも) → ストーリーズのハイライト
工程としては、梅を1度塩漬けにして、その後砂糖漬けにして茶葉を加えて作ります。
時間はかかりますが、作るのは難しくないのでぜひ
さて、本題。
茶梅の作るのに最適な烏龍茶ってどんなのが良いのだろう?ということを真面目に考えてみました。
使う茶葉によって味が変わってくるので、ここは手が抜けません。
ちなみに私の飲む烏龍茶は9割以上台湾茶なので、今回は台湾の烏龍茶に絞って書いていきます。
烏龍茶といっても様々な味わいのものがあります。
お値段もピンキリで、一体何が違うの?と悩んでしまう方も多いはず。
まず、このお値段の差は一体どこから来るのか?なのですが、一番大きな要因は、収穫量の差。
「収穫量が少ない茶葉ほど値段が高い」ということです。
貴重なものの方が高くなるのは当然と言えば当然。
で、収穫量の差はどこから来るのか?
大きな要因のひとつは、茶葉の育つスピード。
茶葉の育つスピードは、気温や日照時間で変わってくるのはイメージできると思います。
ざっくり言ってしまうと、高山のように寒いところだと、茶葉は育ちが遅く、標高が低いところだと温かくて茶葉がすくすく育ちます。
ということで、高山茶は値段が高くなります。
上の写真の左は標高700mの凍頂烏龍茶、右は標高2800mの大禹嶺。(標高1000m以上のお茶を高山茶と呼びます。2000m以上だと高冷茶と呼ばれます。)
写真のは台湾で買っていますが、お値段の差の参考として↓
こんなに値段の差があります
では、高い茶葉を使って茶梅を作ったらおいしいんじゃない?
そう思ってしまいそうですが、茶梅に限っては、お金にものを言わせてはいけません。
烏龍茶の味の性質として、標高が高いところの茶葉ほど「繊細な複雑み」があり、標高が低いところのお茶ほど「お茶らしいわかりやすさ」があるから。
要は、おいしさの質が違うということ。
高山のお茶は、繊細でしみじみとしたおいしさがありますが、うっかり食べ物と合わせてしまうと、「あれ?白湯???」と思ってしまうことも。(お茶請けが強い味だったりすると、お茶自体の味が繊細すぎてかき消される)
逆に標高が高くないところのお茶は、繊細さはなくてもわかりやすいおいしさや強さがあり、食べ物と合わせた時においしく楽しめることもしばしば。
梅はとても味の強い果物なので、ある程度強さのあるお茶が向いています。
ということで、茶梅は値段の高いお茶を使うとおいしくなるとは限りません。
標高が低めの味のわかりやすいお茶がおすすめです。
高標高の高いところの茶を使うと、思ったよりもお茶の個性が反映されず、とてももったいないことに。
高山茶は、お茶自体を楽しみましょう。
上の写真のお茶なら、断然左の凍頂烏龍茶がお茶らしい風味をプラスしてくれるのでおすすめ。
大禹嶺なんか使っちゃ駄目です。
梨山茶(標高2000m)もいけません。
でも、「高山茶を使うことで贅沢な気分を味わえる」ということもあるので、贅沢な気分を味わいたいという目的ならば、止めません(笑)。
それでも1500mくらいまでで止めておいた方が良い気がします・・・。
余談ですが、以前ワインを使ったボンボンショコラを作ったとき、同じ作り手の安いワイン(コート・デュ・ローヌ)と高いワイン(ヴァケラス)を使ったことがあるんです。
飲むと断然高いワインの方がおいしかったのだけど、チョコに入れると間が抜けたような物足りなさがあり、断然安いワインの方がおいしく仕上がりました。
何かと合わせる時は、値段や単体の味で選んじゃいけないんだなぁ。と痛感。
チョコと梅では味が違いますが、味の強さという意味では両方強め。
そんなわけで、梅と合わせるには、個性がわかりやすいものがおすすめです。
味がわかりやすいお茶といえば、ミルクやバニラのような甘い風味がわかりやすい品種の「金萱茶」もよさそう。
爽やかなお茶の風味と甘い香りが楽しめそうです。
こちらももちろん標高が高くなると繊細になるので、そこまで標高が高くないものがおすすめです。
よく育つ品種なので、値段も手頃なのが嬉しい。
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金木犀のお花で香りをつけた「桂花烏龍茶」を使ってもおいしいと思います。
金木犀の香りをプラスできて、とても華やかに仕上がりそう。
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ちょっと贅沢だけど、独特の甘い香りの「東方美人」もおいしいと思います。
東方美人は、ウンカという虫に噛まれた茶葉をわざと使っています。
ウンカが生息できるところなので、標高は比較的低めなのですが、作られる量が少ないので高価です。
虫に噛まれたことで、フルーティーな香りや蜂蜜のような甘い風味が楽しめるお茶に。
発酵度が高いので、爽やかというよりは、落ち着いた風味になりそう。
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同じウンカに噛まれた茶葉を使った「蜜香烏龍茶」もきっとおいしい。
東方美人とは違う作り方なんですが、ウンカ由来の甘い香りが楽しめます。
発酵度が高め、少し強めの焙煎になることが多く、昔ながらの烏龍茶のようなこっくりとした味です。
東方美人と烏龍茶の良いとこ取りというかんじ。
これで茶梅を作ったら、甘い風味と焙煎香が楽しめるまろやかな味になりそう。
日本ではまだあんまり扱っているところが多くないけど、飲んでもおいしいお茶なので、ぜひ試していただきたいです。
↓
お茶によって出来上がる茶梅の味が変わるので、自分の好みも考えながら選ぶと、きっとおいしく仕上がります。
お茶を変えて何種類か作ってみるのも楽しそう。
烏龍茶にこだわらなければ、ほうじ茶で作るのもおいしいはず。
ちなみに緑茶は、渋みがどんどん出てくるのでおすすめしません。
そんなこんなで、私の今年の茶梅は、この2種類で作ってみることに。(蜜香烏龍茶のストックがないのが悔しい桂花烏龍茶も飲みきってしまって悲しい)
もう一種類作れるならほうじ茶も試してみたいところ。
来年作ってみようっと。
近いうちに茶梅の作り方もアップします。
おいしくできますように
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