源氏イラスト訳【若紫265】僧都
山里人にも、久しく訪れたまはざりけるを、思し出でて、ふりはへ遣はしたりければ、僧都の返り事のみあり。
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見るだけで楽に、古文の速読力が身についてきます。
【源氏物語イラスト訳】
山里人にも、久しく訪れたまはざりけるを、思し出でて、
訳)山里に移った人(=尼君)に対しても、長くご訪問なさっていなかったのを、お思い出しになって、
ふりはへ遣はしたりければ、
訳)わざわざ手紙をお遣りなさったところ、
僧都の返り事のみあり。
訳)僧都の返事だけがある。
【古文】
山里人にも、久しく訪れたまはざりけるを、思し出でて、ふりはへ遣はしたりければ、僧都の返り事のみあり。
【訳】
山里に移った人(=尼君)に対しても、長くご訪問なさっていなかったのを、お思い出しになって、わざわざ手紙をお遣りなさったところ、僧都の返事だけがある。
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■【山里人(やまざとびと)】…山里に移った人。尼君をさす
■【に】…対象を示す格助詞
■【も】…強意の係助詞
■【久しく】…ク活用形容詞「ひさし」連用形
※【久(ひさ)し】…長い
■【訪(おとづ)れ】…ラ行下二段動詞「訪る」連用形
■【たまは】…ハ行四段動詞「たまふ」未然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【ざり】…打消の助動詞「ず」連用形
■【ける】…過去の助動詞「けり」連体形
■【を】…対象の格助詞
■【思し出で】…ダ行下二段動詞「思し出づ」連用形
※【思(おぼ)し出(い)づ】…思い出しなさる
「思ひ出づ」の尊敬語(作者⇒光源氏)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【ふりはへ】…わざわざ(副詞)
■【遣はし】…サ行四段動詞「遣はす」連用形
※【遣(つか)はす】…「遣(や)る」の尊敬(作者⇒光源氏)
■【たり】…完了の助動詞「たり」連用形
■【けれ】…過去の助動詞「けり」已然形
■【已然形+ば】…順接確定条件(偶然条件)の接続助詞
■【僧都(そうづ)】…尼君の兄。若紫の伯祖父
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【返り事(かへりごと)】…返事。返信
■【のみ】…限定の副助詞
■【あり】…ラ変動詞「あり」終止形
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「ふりはへ」とは、「わざわざ・ことさら」といった副詞です。
北山にお見舞いの手紙を送ったりするのは
いつものことだったけれど、
ここで「ふりはへ」が使われていることから、
かなり念を入れて…
あわよくば、若紫との婚姻を取り付ける旨の使者を送ったんじゃないかということが予想されます。
…しかしながら…
尼君でなく、僧都からの返信しか届かなかった
というのです。
…なぜでしょうか???