日経の社説に「女性の活躍促す根本的な改革に向き合え」とあり、日本人女性の管理職に占める割合が欧米諸国に比べて格段に低いという点を指摘しています。アメリカや英国、フランスのその比率が41%から34%に対して日本は13%しかないという点をその論拠にしています。

日経がこの話題を唐突に振ったのは野田聖子氏が総務大臣、女性活躍担当大臣に任命されたこと、総裁選でも女性の活躍を訴えていた氏に白羽の矢が立ったことを受けての話題なのかもしれません。

私は学生の時から欧米でうろちょろしていてその後、カナダ在住も30年となり、当然仕事のカウンターパートという観点から女性について思うことはあります。統計の通り欧米には女性の管理職が多い中、なぜ日本は遅れているのか、欧米並みに数を引き上げられないか、という議論は過去10年も20年も展開しています。

私が当地で仕事をしている経験的には半数以上の相手は女性なのですが、正直、日本人のメンタリティと違うと感じます。強いし、個がしっかりしているのです。カナダは多国籍国家ですので当然、カウンターパートには非白人の女性であることもしばしばあるのですが、アジア系の方ですと優しい感じはします。その代わりアジア系の女性は特に実務に関しての精通度が高く、かなり細かい点まで熟知しています。一方の白人女性は物事の考え方が論理的なうえにケースバイケースでの対応に柔軟であったり内部の取り計らいなどが上手です。

なぜ、欧米の白人女性が管理職になれるか、私の経験則では案件処理のコーディネーションが上手で人をうまくつなげていく才能があり、上司も他部署も説き伏せるだけの説得力を持ち合わせている点はあるでしょう。男性の方がむしろバランス感覚を持ちすぎたりして枠からはみ出せないことがあるのです。

私の30年の経験から日本人女性が管理職になぜなかなかなれないか、と聞かれればその理由はたぶん5つぐらいは瞬間に思い当たりますが、どうしても乗り越えられないその違いは人としてのそもそものベースが違うと感じるのです。端的に言ってしまえば仕事中の女性はオンナではなく、男以上の男なんです。社会への参加意識が強く、明白な意見を持ち、しゃべらせるとしっかりと組み立てて相手を説得できるのです。口がうまい点もあるでしょう。

では日本人女性がダメなのか、といえば全然そんなことはないのです。総務省の2020年のデータによると女性の就業率は全体では51%ですが、15−64歳の生産年齢人口で見ると70.6%です。注目しているのはこの生産年齢人口の就労率が2010年は60.1%だったのに10年で10%ポイント以上上昇しているのです。男性は83%ですがこの10年ではわずか3.8%ポイントしか上昇していないのです。いかに日本人女性が社会に急速に進出しているかお分かりいただけるでしょう。また就労者の男女比は女性が44.5%、男性が55.5%です。専業主婦は10人に3人、という時代なのです。

ちなみにアメリカの女性就業率は64%、英国が70%ですので日本の70.6%はそん色ないどころか英米より上だという事実が表現されていないのです。つまり私の見立ては日本が世界に比べて女性の社会進出が遅れているのではなく、その立ち位置が違うのであり、それを欧米のやり方と比較する意味があるのかどうか、これが疑問なのです。

日本の独特なところは女性の職場、男性の職場が比較的明確な点です。例えば幼稚園、保育園の先生、看護師、介護職、テレセンター、クレーム処理、ショップの店員、接客業…は女性が主流です。つまり、職業に応じて男女を知らず知らずのうちに分けているのです。もちろん、この傾向は欧米でも出ますが、日本人は気持ちの中に「なんだ、男か!(あるいは女か!)」という固定概念的性別意識がまだ残っていると思います。

では管理職になぜなれないか、ですが、私はこれは儒教の影響は大きいと思います。日本と朝鮮半島は家父長制度と女性の地位について信念的なとらえ方をするため、オンナが男の上に立つなんてありえん、と未だに心の奥底で思っている人は多いのです。もう一つは短大教育が生み出した男女意識の醸成は大きかったと思います。また子育てに対する母親としての強い母性愛(子供は絶対に他人に預けないなど)から社会人キャリアが分断されるデメリットはあります。

一方で女性側への注文もあります。上に立っても部下から十分に支持される客観的能力を持ち合わせているか、判断が感情的になっていないか、えこひいきが強く出ないか、甘えの意識はないか、女性同士のくだらないいざこざやグループ意識を持っていないか、といったメンタルや自己コントロール欠如のケースはしばしば見られます。仕事がどれだけ出来てもこれが管理職になれるかどうかの評点となるのです。

あえて欧米女性との比較をするならこのプロフェッショナリズムを日本の女性が持ち、マインドコントロールできるようにすることを磨いてもらいたいと思います。私が欧米の女性は男だ、といったのは性別をまったく感じさせないほど仕事への意識が高いという意の他にありません。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。