ところは、ベルリン。都市開発を研究する歴史家である
ウンディーネは、恋人から別れ話をされます。「あなたを殺す
はめになる。知っているでしょ」と涙を流すも、あっさり
捨てられます。
ベルリンの歴史の修士号を取得して博物館でガイドとして働いて
いる彼女は、見学者のひとりだった潜水作業員のクリストフと、
新しい恋に落ちますが……。
「ウンディーネ」とはラテン語の「unda(波)」に由来し、
人間との結婚によってのみ不滅の魂を得ることができる
女性の形をした水の精のこと。
人ならぬウンディーネを妖艶かつピュアに演じるのは、
パウラ・ベーア。
本作で、ヨーロッパ映画賞女優賞、モントクレア映画祭俳優賞、
ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞しました。
ベルリン国際映画祭は、2021年から、性別による賞を
廃止するため、最後の 「最優秀女優賞」受賞者です。
静謐な物語を彩るのは、バッハの名曲。せつない彼女の思いと
相まって、鑑賞後、じわじわ心にしみてきます。
一服の清涼剤のようなファンタジックな恋物語です。
3月26日(金)から、劇場公開中
© SCHRAMM FILM / LES FILMS DU LOSANGE / ZDF / ARTE / ARTE France Cinéma 2020