春分の日の今日は、厄除け祈願を3件奉仕いたします。
さて、先日、金沢市北森本町の氏子のH氏より、地元特産の「森本長芋」を3本ご奉納いただいたので、神前にお供えいたしました。
で、3本といいましたが箱の中に2本しかないのは…。
もう1本をこのように細竹を添え木にして、新聞と共に包んだからです。
32年前の平成4年、私は県神道青年会という神主の青年会の事務局長をしていて、会長・副会長とともに上京して、当時の明治神宮権宮司で國學院大學の講師でもあったT先生に講演のお願いに参上いたしました。
その時、手土産にこの新聞紙で包んだ森本長芋を持参したのですが、東京駅で若い警察官に「これは鉄砲を隠しているんじゃないか」と尋問されました。
ということで、昨日は県神社庁の神殿春祭だったので、このもう1本の森本長芋を神前に捧げました。
さて、森本特産の長芋はどのように作られているかと申しますと…。
森下川(もりもとがわ)中流域の南森本町や北森本町の土手一面に、細長い竹に芋蔓(いもづる)を巻きつかせて栽培しています。
当地特産の森本芋は、二百数十年前に、源流とする医王山(いおうぜん)に自生していた自然薯(じねんじょ)を、森下川流域の沃土に植えつけたのが、栽培のはじまりです。
関西などを中心に、けっこう高値で取り引きされますが、滋養強壮作用があり、強い粘り気が特徴で、栄養も豊富です。
森本芋は、地元では訛(なま)って、「もんもと芋」と呼んでいます。
で、長芋の蔓に何か付いているのがわかりますか?。
鈴生りに付いているコブのようなものは、ムカゴ(零余子)といいます。
ムカゴは、山芋と同じように粘り気があり、ムカゴご飯にすると美味しいんです。
零余子飯は秋の季語でもあります。
画像は、13年前の11月に撮影したものですが、南森本町の森下川の土手下の畑で、おじいさんが長芋を収穫していたので、話をお聞きしました。
10月中頃から11月初旬、芋蔓(いもづる)を巻きつけた竹棒も取りはぶかれて、長芋の収穫がはじまります。
収穫を終えると長芋畑には数箇所に枯れた蔓が集められ…。
竹竿も来年用にしまい込まれます。
南森本在住のじいさんが長芋を掘っている、この長い柄の突き鍬は、当地では「チョウサミ」と呼んでいます。
でも、自然薯(じねんじょ=ヤマノイモ)を掘る「チョウサミ」は、山の中で使うので、これより少し柄が短くなります。
しかしながら、二百数十年続く特産の森本長芋ですが、後継者不足と高齢化が懸念され、栽培面積も年々減少して宅地化されています。
それで、調理法としては、たんざく(酢の物)、山かけ、煮物、揚げ物、団子汁、おろし芋を海苔で巻いて素揚げするなど、様々です。
とろろにする際は、長芋を洗ったあと、ヒゲ(毛)をガスコンロで焼いてから、皮ごとすりおろします。
とろろご飯です。
あまりにも美味いので何杯もおかわりをしました。
そして、一昨日の晩酌ですが、山かけにしました。
何といっても一番おいしいのは、団子汁(だごじる)です。
味噌汁に、皮ごとすりおろした芋をスプーンで団子状にして投入します。
きれいな団子状にするには片栗粉と混ぜる方法もありますが、あえて、長芋の粘り気だけに頼りました。
最後は、鍋に残った汁にご飯を加え、おじやで〆ました。
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