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買占め犯は誰だ! 正しさ、という危うさ<1>

坂井です。

そろそろ落ち着いてきました。


突然ですが。

私はすべてに対して論理的なアプローチをする人間かと言われると、答えは否です。

基本的には直感で頭のなかに生まれた風船を、頑張ってふーふー膨らませることが特技だし、私の価値です。


ただし、直感というか感受性は異常に高いと思うので、これは論理的に違くね?ということも、なんとなくで気付きます。そこから私のなけなしの論理的思考を持ち出して、もう一人の自分を出して空から見ながら、自分の検証や論証が論理的かどうか。気付き同様に直感が正しい!と感じるまで長いこと一生懸命考えます。

それが私のアプローチです。


最近私が直感で違和感を感じて、一生懸命に考えたこと。それは、震災後に「いま私たちがすべきことは何か」というセリフです。

すごい違和感を感じて、苦しかったのを覚えています。この地震が与えたメッセージは何かと考え、いまだかつてない善意を総動員している仲間も多かった。

そしてみな、買い占めに憤り、一生懸命に知恵を出し合って出来ることを考える。

僕はこういった善意自体は素晴らしいし、結果的にそれらに救われる人も多いと思う。


ただし、私なりの結論としては、すべきこと、という考え方は、実は善意の広がりを自ら狭め。そして震災によるメッセージを受け止められていないのではないか、と思います。

すべきこと。これを考えることというのは、答えの用意されていない問題に直面した多くの人が、それでもいま「正しくふるまう」ことを考え、迷うなかで出た言葉だと思います。すべきこと、とは正しいと他者の合意も取れていて、自分も正しいと認めることだと思います。結果どうなるかはともあれ、当座という視界のなかで、関わる人が引き出しからいろいろ引っ張り出して判断したこと。


とっぴなことを言いますが、僕は買い占めは論理的には正しいと思う。倫理的にはどうか分からないけど、買い占めをした人たちは、実は震災の残したメッセージを真正面から素直に受け止めた人なのではないかと思う。

なぜなら、震災の一番のメッセージは、次の地震に気を付けろ! しっかり備えろ! というのがきわめて論理的なメッセージであると思うから。

あの余震のなか、買占めは悪であると言えますか? もっと言うと、家族を次の地震から守るために水をいつもより少し多く買う人を、おまえは悪人だと注意できますか?


そして、僕はちなみに買占めをしている人を見ていない。自分の家の一階がスーパーなので、長いこといましたが、極端な買占めをしている人には出合わなかった。


こんなことは起こってないだろうか。買占め犯はいない。全員が加害者であり、被害者。


僕の推論。いつもスーパーで5アイテム買う人が、7アイテム買った。そしえ、週に一度や二度スーパーに行く人が、震災後の同日にバッティングした。買いたいものがないから、連日来店して2アイテムくらい買って行った。これでスーパーの棚はだいぶ減るはずだ。まして震災でのデリバリー不足。

買占め犯による被害現場のいっちょあがりだ。

もちろん、すごい勢いで買占める人もいただろうし、それによってトイレットペーパーだなんだは、またたく間になくなったはずだ。

買占めとはどれくらいから? という認識の誤差もある。しかしいずれにせよわたしの推論する状況も同様にありそうである。もちろん検証しがたいので、推論の範疇を出ないが。


話はそれたが、いずれにせよ買占めを悪であるという正しさでさえ、わたしは危ういと思っているし、だれもがそもそも正しくなんてふるまえてない。

正しい、ということ自体。さらにそれを汎用しようとする行為はさらに。語弊をおそれず言えば正しくないし、危うい行為だと、わたしは思うのだ。



もちろん私が正しい考えを持ち合わせているとか、正しくふるまっているとか、そんなことはない。

ただ単に、私の直感が指し示した違和感を辿っているだけである。


つづく



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