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オペラとクラシック音楽に関する肩の凝らない芸術的な鑑賞の記録

1/6(日)N響オーチャード定期/色彩溢れるドゥネーヴのフランス音楽と切れ味鋭いイェウン・チェのメンデルスゾーンVn協奏曲

2019年01月06日 23時00分00秒 | クラシックコンサート
NHK交響楽団 第101回 オーチャード定期シリーズ

2019年1月6日(日)15:30〜 BUNKAMURAオーチャードホール S席 1階 6列 18番 7,000円(定期会員)
指 揮:ステフファヌ・ドゥネーヴ
ヴァイオリン:イェウン・チェ*
管弦楽:NHK交響楽団
コンサートマスター:伊藤亮太郎
【曲目】
シャブリエ:狂詩曲「スペイン」
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64*
《アンコール》
 J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2番 より「アンダンテ」*
ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
ラヴェル:バレエ音楽「ラ・ヴァルス」
《アンコール》
 ビゼー:アルルの女 第2組曲 より「ファランドール」

 まだ松も取れない1月6日に、早くもNHK交響楽団の「オーチャード定期」。指揮はフランス出身のステファヌ・ドゥネーヴさん。N響は2度目の客演だと思う。私は一昨年2017年6月に、首席指揮者を務めているブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団の来日公演の際、彼の指揮で聴いたことがある。その時はベートーヴェンだった。今日はフランス系のプログラムなので、彼本来の持ち味を聴くことができそうだ。
 といいつつ、お目当てはイェウン・チェさんの弾くメンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲」である。イェウン・チェさんを最初に聴いたのは2010年5月の「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」。続いて同じ年2010年9月に読売日本交響楽団の「みなとみらいホリデー名曲シリーズ」に客演したのを聴いた。いずれも曲は今日と同じメンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲」である。その後、2012年の「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」に再登場した時にも、リサイタルでプロコフィエフの「ヴァイオリン・ソナタ第1番」プロコフィエフの「ヴァイオリン協奏曲 第1番」を聴いた。その後はすっかりご無沙汰となってしまっていたので、今日はおよそ6年半ぶりの再会になる。そして曲は三度目のメンデルスゾーンである。

 そのメンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲」。イェウン・チェさんのヴァイオリンは、明瞭でクッキリとしたカタチがあり、キレが良いという印象だ。フランス人の指揮者とN響で、韓国人のソリストという組み合わせから生まれる音楽は、当然のようにドイツっぽい世界観とは違っているような気がしたが、逆にお国自慢の代わりにインターナショナルな雰囲気を持っていて、あたかもメンデルスゾーンの音楽的に優れた部分を国際的に高く評価されるようにリフレッシュされたような感覚といえようか。哲学的・思索的・内省的な音楽というよりは、クリーンでピュアな印象。つまりスコアの中に書かれている音楽の本質的な美しさを描いているような、そのような雰囲気が感じられた。
 第1楽章はやや速めのインテンポで、キレの良いヴァイオリンと透明感のあるオーケストラ・サウンド。快調なテンポ感とある程度メリハリを効かせているが、基本的にはスッキリと美しい演奏だ。
 第2楽章はイェウン・チェさんのヴァイオリンが緩徐楽章らしく歌い出す。艶やかな音色もとても美しい。ただ、その歌わせ方はあくまで器楽的であり、歌謡的ではない。旋律の美しさは十分に描き出しているが、情感にしやや欠けるような気もした。
 第3楽章は快調なテンポ感(テンポは速め)に推進力があり、前へ前へと転がっていく感じ。非常にフレッシュな印象で、あまり屈託はなく、躍動的にエネルギーを感じる一方で、やはりここでもあまり情感が足らないようにも思えた。
 とにかく全体的にスッキリ爽やか。フレッシュで瑞々しい美しさがある。反面、コクがなく、悩ましさや憧れなどの情感は感じられない。こうした解釈や表現も、ひとつの方法であり、演奏の質も高いものだったので、これはこれでありだと思う。演奏自体はだけが聴いてもレベルが高いものだということは分かったと思うので、後は好みの問題となろう。評価は好き嫌いで分かれることになるかもしれない。

 その他の曲。つまり、1曲目のシャブリエの「狂詩曲『スペイン』」、後半のラヴェルの組曲「マ・メール・ロワ」、「亡き王女のためのパヴァーヌ」。そして「ラ・ヴァルス」については、ドゥネーヴの本領発揮というべきが、いかにもフランス的な洒脱で煌びやかな音楽を創り出している。フランス音楽やフランスのオーケストラを語る時にしばしば使われる「色彩感」という言葉があるが、今日のN響の演奏に関しては、フランス音楽っぽい色彩感は・・・・よく聴くとあまり出てはいない。音はあくまでN響サウンドなのである。指揮者によって音色が変わってしまう読売日本交響楽団や東京フィルハーモニー交響楽団とは違って、N響はあくまでN響の音を貫く。その意味では、N響は日本で最も個性的なオーケストラなのかもしれない。演奏自体はダイナミックレンジも広く、ハイ・クオリティであることも間違いなく、評価は好み次第ということであろう。

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