こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

自分だけは大丈夫?・・・正常性バイアスにとらわれてはいけない

2020年05月26日 | 生き方について考える
新型コロナウイルス(COVID−19)感染拡大防止のための緊急事態宣言が解除された。通勤電車には混雑が戻りつつあり、6月はじめからは宣言前の8割ぐらいに戻るのではないかと思っている。宣言解除の時期が早いという人、遅かったという人それぞれいるが、医学的、もしくは公衆衛生学的にはやや早いような気がする。だが、商売をしている人からしたら、人・物の動きがこのまま止まっていては死活問題だ、1日も早い解除が必要だったのだろう。

今の医学は、病気の患者に対しては、病巣、病原を完全に取り除くまでは、安静にさせて治療する。それは、入院という名の拘束だ。治りたい人は、医者の言うことに従って大人しくしている。今回は社会全体がCOVID-19という感染症に罹患している状態で、寛解とまでいかないが、この先何度かぶり返すでしょうが、仕事をしなくてはいけないから少しずつ治していきましょう、という感じだろうか。

近未来をモチーフにした小説、映画、アニメでは、いくつもの人類が滅亡、破滅の危機から立ち直っているのに、それがいざ自分のことになると大変な慌てようだというのは滑稽でもある。多くの人が病に斃れるという悲劇があったのちの世界の主人公たちに自分だけはなれると思っているから、彼らに自分たちの思いを投影することができるのだろう。だが、そうなれる確率はほぼゼロに近い。

こういう、「自分は大丈夫」「今回は大丈夫」「まだ大丈夫」などと過小評価することを正常性バイアスという。私自身の考え方もそういうバイアスがかかっているかもしれない。医者だから、感染症に対する知識はそこそこあるから大丈夫、というような思いなんてそうかもしれない。だが、そんなこと何の足しにもならない。この感染症は人類が力を合わせて立ち向かわなくてはいけない災禍であり、私一人が感染しようがしまいが大勢に影響はない。そのことをどうコントロールして自覚し、生きていくかを模索している。
痛い人にはならないように

ブログランキング・にほんブログ村へお願いします




最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。