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【レポ金利急騰の元凶は米財政赤字の急拡大】米レポ金利急騰で事実上スタートしたQE4④

2019-10-13 00:00:04 | アメリカ

前回からの続き)

 前回、レポ市場におカネが出てこなくなっている理由として、再担保設定(担保の使い回し)の横行で担保としての米国債が安全資産とはみなされなくなっていること、そして市場においてマネーそのものの量が足りなくなっている・・・って、それには米FRBの見込み違いがあること、といった見方を綴りました。

 で後者ですが、FRBとしていちばん想定外だったのは・・・ドナルド・トランプ政権による財政赤字の急拡大といえるでしょう。FRBとしては金融正常化を進める大前提として、金融引き締めを進めても金利急騰を招かない程度の財政運営を米連邦政府に行って欲しかったはず。ですがトランプ政権はそうはしなかった・・・どころか、これまでにないくらいのスゴ~い勢いで財政出動路線を突っ走っています・・・

 このあたり、こちらの記事に書いたメキシコとの「国境の壁」などを例に上げ、本ブログでは前からトランプ大統領らの財政運営が放漫的なことを指摘しましたが、いよいよその傾向が顕著になっているわけです。例えば7月に米政府は、いわゆる債務上限を引き上げ、今後2年間で3200億ドルの歳出増を決めました。すでにトランプ政権は18~19年度で3000億ドル引き上げていますから、これからさらに赤字幅が増加していくことになります。その結果、19年度の米財政赤字は18年度の実績7793億ドルから増えて9599億ドルへ、そして20年度はいっそう拡大して1兆ドルを上回りそうなのだとか。よって米政府は20年度、1兆ドルを超えるほどの巨額資金を市場から調達、つまり米国債を大量発行せざるを得ない状況に・・・

 結局、上記2つの理由の根源にはこれ―――トランプ政権による米国債の大量発行―――があるということです。これだけドカドカ振り出されれば、上記使い回しもあって、担保米国債の信頼も価値も低下していくし、本来はレポ市場に回るべき連銀預金口座のマネーもFRBの想定を超えるペースで減ってしまうでしょう、大量に発行される米国債に吸収されることによって。前述、とくに昨年あたりから同口座残高の減少ペースが速まってきているのは、このへんのせいといえますね・・・

 ちなみに上記口座には、減り続けているとはいえ、9月時点で、まだ1.4兆ドル近くもあります。であれば、米国債への流出マネーが増えても、もうしばらくは大丈夫なのでは、といった見方もできるかもしれません。が、それは米国債だけでの話であり、実際にこのおカネ、レポ市場の貸出金に加えてジャンク債などの他の債券等をファイナンスするマネーとしても想定し得るもの。となると、価格等が最上位の米国債がこれだけ市場に出てきてしまえば、これより格付けが劣る社債等に回る分は減ってしまい、これらの価格低下と利回り急騰そして最悪、債券発行体のデフォルトを招きかねません。そんな意味からも、やはり1.4兆ドル程度のマネー量では非常に心もとない、ということなのでしょう(?)。

(続く)

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