a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

TEEリレートークVol.6 「旅公演をやり続ける中で」 原口久美子

2018-11-03 23:27:08 | 劇団員リレートーク


皆さまお疲れ様です。
お疲れさまですというのもなんですが
『消えた海賊』の郡山での公演を終え、十和田に移動中のバスの中で
このブログを書いています。



東京演劇アンサンブルは現在『消えた海賊』と『銀河鉄道の夜』2班で秋の旅公演中。
海賊班は今年は北は青森から南は熊本まで。
よく、「どうやって移動してるの」と聞かれますが、
トラックとマイクロバスで日本国中走りまわっております。
私なんかは乗ったらすぐに寝てしまうのですが
本番終わってからのけっこうな長距離移動、運転手さんは本当に大変です。

旅公演、中でも芸術鑑賞教室いわゆる学校公演は
本公演や芝居小屋でのイベントと並ぶ、
私たちの劇団の柱となる大切な仕事の一つです。

未知なるものに向かう真っ直ぐな目を持つ高校生や中学生に
芝居を観せることは、とても神経を使うしナイーヴな仕事ですが、
この上ない楽しさと喜び、様々な経験を与えてくれる場でもあります。

学校公演は市民会館や文化会館などのホールだけでなく、
学校の体育館でも公演します。
体育館の天井の鉄骨から照明を吊るし
幕を吊ってセットを組む。
以前は脚を組んで平台を何十枚も使って舞台を作っていたことも。
体育館という生徒たちにとっては日常の空間が非日常に変わる。
仕込みを覗きに来た生徒さんの
「おおっ。凄~い」
という声を聞くと嬉しくなります。
どんな空間でもベストを尽くす。先輩達から引き継がれている
自慢の空間創りです。

会館での公演とはまた違い、生徒たちとの距離も近く
一人一人の顔がよく見える体育館での公演が
仕込みバラシは何倍も大変ですが
私は好きです。

『コーカサスの白墨の輪』『おんにょろ盛衰記』『ラリー ぼくが言わずにいたこと』
等いろんな作品で全国を旅してきました。それぞれにいろんな思い出があります。
『ラリー』をやっていた7年間の間には、東日本大震災があり
どう言ったらいいだろう。。。
何ができるだろう、何も出来ないんじゃないか。そんな戸惑いや不安の中
私たちを受け入れてくれた学校や生徒たちに背中を押されながら、
より意識的に芝居に向かうことで、ああ良いな、素敵だなと思える瞬間に
たくさん出会わせてくれたような気がします。





生徒たちの反応はもちろん様々です。学校によっても違うし、地域差もある。
時代によっても生徒たちは変化しています。
ヘコむこともたくさんあります。
何年やっても何ステージやっても
毎回毎回緊張するし、毎回毎回真剣勝負です。

正しそうなことをやらないこと。
理想と現実、その矛盾は矛盾のまま提示すること。
解釈を押しつけて、感じる心の邪魔をしないこと。

20数年間の旅公演の中で、精神的にも肉体的にも鍛えられ
おかげでずいぶん強くなりました(笑)

これからも自分自身変化することを恐れず
その一瞬一瞬、いま そして いま として進む旅公演を続けていきたいと思います。

そのためにはなんとしても、稽古場を探さなければなりません。

皆さまにご協力いただければ、本当にありがたいです。
今後ともご支援のほどよろしくお願いいたします。

前回のブログで、洪美玉に「ミシンの名人」と紹介していただきましたが
それほどでもありません。
ただ仕事に入る前に「今日もよろしくね」と声をかけ、
終わったら「どうもありがとう」と糸くずを掃除してあげる。
それでミシンたちはたいてい機嫌良く動いてくれます。
因みに、永野愛理は「なめんなよ」と叱咤しながらミシンに向かっていますが、
それでも動きます。
町田聡子は私がメンテしたミシンを30秒で動かなくします。。。
相性もあるんでしょうね(-.-;)



次回はアンサンブルの癒し系、奈須弘子です。
奈須ちゃん、ヨロシク。
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