千一夜第3章第165夜 最近の読書19

2019-05-18 23:20:00 | 読書

2019.05.18(土)

今週は東京オリンピックのチケット予約などで忙しかった。チケット予約は随分時間が掛かると聞いていたが、僅か3秒くらい待っただけで手続き開始ができた。IDを先に取得していたことも幸いしたのかも知れない。後は運を天に任せるのみである。チケットが当たれば行くが、上手くホテルが取れるかが問題である。

最近読んだ本。記載するのは今回で19回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。


4月4日、岩国市錦帯橋上から見た河川敷の満開の桜。

『夜の国のクーパー』 伊坂幸太郎著 創元推理文庫 評価☆☆☆☆ ’19年4月2日読了 寸評:本書は水先案内人が語り部の猫のトムと私である。占領軍と町の人間が対峙する現在進行中のドラマを実況中継する。妻に浮気された私は仙台の港から海釣りに出て船が難破、意識を取り戻したら見知らぬ土地で猫に話し掛けられる。謎の生き物クーパーの登場、猫と鼠の団体交渉、隣国の兵士達が自国に入り国王を殺害、など大きく4つの物語が同時進行する。最終的にはそれぞれが複雑に絡み合うという著者の作風通りの展開となる。最後はガリバー旅行記のような結末となる。
猫が人間と話す展開は村上春樹などあるが、本書は村上氏同様、ノーベル賞作家イシグロ氏の文体に似ているなあと率直に思った。また作品の冒頭から死者との会話のような感じがあり、作品が出来たのが東日本大震災の後だったので、いとうせいこう氏同様の本かと思ったが、本著の方が先に書かれており内容も全く違っていた。本書は北朝鮮の人工衛星打ち上げ実験と称して長距離ミサイルが発射されたことをきっかけに書かれたようだ。

『見知らぬ国へ』 北杜夫著 新潮文庫 評価☆☆☆☆ ’19年4月5日読了
寸評:本書は書棚の記憶、父斎藤茂吉からトーマス・マン、遠藤周作、辻邦夫、埴谷雄高、手塚治虫、谷内六郎などもう会えぬ友への切ない思いを語る。因みに本書は著者の死後翌年の2012年に刊行されている。青春の日々から作家となるまでの過程、また自著の詳細な自己解説、84年の人生で出会った喜びと輝きを描く、45編の名エッセイ集である。吉行淳之介のことも書かれているかと思って読み進めたが、1行も出てこなかったのは寂しい限りであった。

『無趣味のすすめ』 村上龍著 幻冬舎文庫 評価☆☆☆☆ ’19年4月9日読了
寸評:「GOETHE」という”24時間仕事バカ”というワーカホリック礼賛とも受け取れるキャッチコピーのビジネスマン向けの雑誌に、「働き者」の読者層を意識して連載したエッセイ61編を、2011年4月に本にまとめたもの。社会、政治、経済、仕事などのカテゴリーで物事を鵜呑みにしないで鋭く批判的に書いている。


4月10日、光市内の桜、既に散り始めていた。

『日輪の遺産』 浅田次郎著 講談社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年4月12日読了
寸評:1993年(26年前)の作品。帝国陸軍がマッカーサーより奪い、終戦直前に隠したという時価200兆円の財宝。老人が残した手帳に隠された驚くべき真実が、50年後の今、明かされようとしている。財宝を隠す極秘命令を発した5人の将軍の内、4人までが終戦前後に死亡、残る1人である梅津参謀総長を戦犯として捕え、命令を遂行した者をはかせようとするが上手くいかない。一方、主人公である遂行者たちの人生を描く魂の記録でもある。ただ単に宝探しの冒険・謀略小説では無い。著者の作品は今回初めて読んだがもっと早く読むべきだった。

『ももこのいきもの図鑑』 さくらももこ著 集英社文庫 評価☆☆☆☆ ’19年4月15日読了
寸評:著者は「ちびまる子ちゃん」の原作者として著名である。子供の頃から生き物に興味をもち、大人になってからも変わらずカメや小鳥や魚を飼っていたそうだ。私が子供の頃も、父親が好きで家で沢山の動物を飼っていた。犬、猫は勿論、小鳥、キジ、ウサギ、鯉などを飼っていた。私は大人になってからも、ザリガニやメダカを飼った。本書は「アンアン」で連載したエッセイである。著者はこれまでに出会ったいろんな生き物たちとの思い出を、やさしく鋭く愉快に描いている。最後に「いきもの図鑑」を書いていたつもりが、自分の現実の生活では次々と生き物が死に、「死にもの図鑑」になってしまったと書いているが、それは生き物を飼う者の宿命である。

『世界紛争地図』 「世界情勢」探究会著 角川SSC新書 評価☆☆☆☆☆ ’19年4月16日読了
寸評:著者は紛争から世界史を見ることを目的とした研究会とのことで、2009年までの世界紛争の詳細が書かれている。会は歴史の流れの中にある「現在の紛争」を、民族、宗教といった歴史的背景から大国との利害関係といった現代情勢まで整理、収集し情報発信しているそうだ。紛争というのは、複数の民族同士、異なる宗教同志、貧富の差、埋蔵資源の確保に見られる大国のエゴ等、これらの火種により独立運動や反政府運動、民族運動が勃発する。本書ではこうした紛争地帯を31箇所取り上げ、その原因、最新情報、解決に至らない理由などを詳しく紹介している。


平成31年4月27日 平成最後の釣行 カレイダブル 

『今こそ、韓国に謝ろう そして、「さらば」と言おう』 百田尚樹著 飛鳥新社 評価☆☆☆☆☆ ’19年4月18日読了
寸評:韓国という国と国民性について、1910年の日韓併合時から35年間の日本の統治について自虐的にへりくだって書く。併合前の朝鮮と比較して、国民皆教育という悪夢、文字を与えたこと、灌漑事業などによる自然の破壊、農業の先進技術の投入の暴挙、身分制度の破壊、前時代的刑罰の破壊、伝統的医療の禁止、主権・王政・人命・言葉・名前・土地・資源を奪ったという勘違い、ウリジナル(日本はおろか世界の全ては韓国発祥)病、旭日旗問題(朝日新聞社旗も良く似ているが非難しない不思議)、慰安婦問題、レーダー照射等々、現在の韓国の基礎を作った日本が全て悪いと説く。だが日本が最も悪いのは、朝鮮人にモラルということを教えなかったことであると結ぶ。自国の真の歴史を知らない、或いは知ろうとしない国民性、難癖、言い掛かりを国是とし、外貨獲得手段は恫喝やおねだりである。まるで国家の体を成していない国家、何れ国際社会から抹殺される運命にあるが、日本ももうこれ以上は付き合えないということだ。

『蝶の戦記』(上)・(下)  池波正太郎著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年4月25日読了
寸評:忍者小説である。甲賀には忍びの者を配下に抱える豪族、武士が53家、或いは21家あると言われるが、その中でも杉谷家のような24名の忍びを抱える小規模の家もある。しかし杉谷家の忍者は甲賀でも知られた家である。この小説は杉谷家の女忍者「於蝶」を主人公とする。川中島の合戦から姉川の合戦に至る年月を甲賀の忍びとして死闘を繰り広げる活躍を描く。大好きな上杉謙信のために働き、一貫して反信長を貫く。観音寺、上杉、武田、織田、浅井、朝倉、徳川、羽柴など下克上時代の有力武将が総出演である。


平成31年4月30日 平成天皇御退位の日 光市虹ケ浜の鯉のぼりを見る 翌日5月1日からは令和元年。


令和元年5月1日 令和天皇御即位の日

『高卒副頭取』 江波戸哲夫著 講談社文庫 評価☆☆☆☆ ’19年5月7日読了
寸評:ヤクザのダミー会社との巨額の取引を、警察が内定との情報に怯え浮足立つ銀行会長。折しも不良債権処理、反社取引、不祥事等で、世間の銀行バッシングも漸く落ち着いた所へ持ってきての新たな大不祥事である。金融機関にとって反社勢力との決別が叫ばれている最中の露見である。この不祥事を契機に一挙に会長一派の追放を仕掛ける頭取派、会長の懐刀で銀行の暗部を担当し実力をつけた高卒専務を主人公に、銀行首脳の抗争を描く。会長が始めた取引なので負けは明白であるが、その手先となった辣腕高卒専務の身の処し方が面白い。

『農協月へ行く』 筒井康隆著 角川文庫 評価☆☆☆☆ ’19年5月10日読了
寸評:この本も40数年来、読もう読もうと思っていて読みそびれていた本の一つである。40数年前の学生時代の友人が著者の本をよく読んでいたので、私も友人に影響され数冊読んだ。脅迫感めいた物はないが、やっと手にした訳である。但し、今の文庫本は字が大きくなっているので読み易いが、手にした文庫本が古いものなので字が小さいのには閉口した。著者の本は悪漢としての”おれ”を通して、お定まりの建前や理想を崩し、元気いっぱいの本能と欲望によって、見るも無残に踏み砕いた文章を書く。勿論、愛情とか人情といった慈愛や情けの世界も無い。それはコミカルであり、ドタバタ劇であり、スラプスティック、はちゃめちゃのユーモアたっぷりのSFが書かれている。本書は7編の秀逸な短編が収録されていて何れも面白い。

『眠れないほどおもしろい「聖書」の謎』 並木伸一郎著 王様文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年5月15日読了
寸評:「聖書」とは「神」と「人間」との契約の書である。古代イスラエルの預言者アブラハムやモーゼなどを仲介とする「イスラエル民族」と「神」との間で結ばれた契約だ。とここから始まり、新約聖書と旧約聖書のあらすじ及び違い、モーゼの十戒、バビロン捕囚、聖母マリアの処女懐胎、イエスの一生、キリストの12弟子、ユダヤ教の派閥、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教は同じ神を崇めている、キリスト教の3つの流れ(カトリック・プロテスタント・正教会)、失われたアーク(「十戒が書かれた粘土板」「マンナの壺」「アロンの杖」=「三種の神器」) を巡る様々な歴史、数字の暗号、エクソシストの秘密、また聖書の「外典」「偽典」などの封印されたエピソード、ミステリアスな話を紹介する。非常に面白い書。


5月4日、我が家西隣の畑のサクランボの木、毎年大量の実を付けて枝が撓る。10日には鳥が一斉にやって来て全部綺麗に食べられた。

『国税局査察部 消えた政治献金』 立石勝規著 徳間文庫 評価☆☆☆☆☆ ’19年5月17日読了
寸評:関連会社から査察の手が入り、本丸へと波及していく捜査、国税局査察部と東京地検特捜部が連携して巨大脱税事件を追う。脱税会社の脱税手法や政治家への闇献金を摘発すべく査察部が動くが、この書では脱税する会社側、暴力団が主人公である。査察部だけでなく興信所や5億円強奪犯なども絡みややこしくなる。23年前の本であるが、この文庫本が出る時期に丁度、金丸元副総裁への5億円闇献金、脱税事件が起こっている。著者があとがきで書いているが、これは偶然の一致である。この時期、著者は取材のため度々国税局を訪れているが、金丸事件の捜査には全く気が付かなかったとのことだ。流石国税局である。本書はフィクションであるが、金丸事件のために大幅に書き直しを余儀なくされたようである。文脈に少し難があるが、金融小説は面白い。


サクランボの実を収穫して、ジャム4瓶(これが一番大変、瓶詰してからも弱火で1時間程度煮詰める)、35度の焼酎漬け3瓶(実を洗ってキッチンペーパーで丹念に拭き取る、梅焼酎を作る要領)、残りは冷凍(サクサク感があり美味)してみた。会社にもザル一杯持って行ったが頗る好評だった。


【5月18日過去の釣行記録】
・2008年東海岸通り、18:00~21:50、大潮、釣果=メバル1・アジ1
・2013年徳山築港、04:55~14:20、小潮、釣果=カレイ9・キス5・アイナメ2・ハゼ1

【この日の釣り情報】
・2006年洲鼻港、夜、中潮、釣果=25cm級アジ
・2011年東海岸通り、20:00~22:00、大潮、釣果=メバル7・アジ1

【旧暦4月14日釣行記録】
・2005年05月21日、第2埠頭東側、05:30~19:20、大潮、釣果=カレイ1・タナゴ1・ハゼ15・アジ5・アイナメ1
・2005年05月21日、祝島周辺、07:00~14:00、船釣り、大潮、釣果=マダイ・アジ大漁
・2006年05月11日、室積普賢寺前堤防、18:10~20:45、大潮、釣果=キス3・マダコ1
・2007年05月30日、日石前堤防、19:40~20:50、大潮、釣果=アオリイカボウズ
・2008年05月18日、東海岸通り、18:00~21:50、大潮、釣果=メバル1・アジ1
・2009年05月08日、華西防波堤、19:00~21:00、大潮、釣果=メバル15
・2012年06月03日、櫛ヶ浜港防波堤、19:30~21:30、大潮、釣果= メバル3

http://blog-parts.wmag.net/okitegami/base.php?ser=36906&m=219b56b2lb68fdf326a81

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 千一夜第3章第164夜 木っ端... | トップ | 千一夜第3章第166夜 木っ端... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

読書」カテゴリの最新記事