猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

鬼はさまよう

2020-05-09 22:02:05 | 日記
2015年の韓国映画「鬼はさまよう」。

ソウル東南部を中心に女性や子供の連続失踪事件が起こる中、刑事テス(キム・サン
ギョン)は事件の捜査中に偶然当て逃げ犯を逮捕する。だが、押収された車の中にお
びただしい血痕が発見され、単なる当て逃げ犯だと思われたその男ガンチョン(パク
・ソンウン)が連続失踪事件の犯人だということが判明する。世間を震撼させている
事件の犯人逮捕で署内が沸き立つ中、テスの妹の夫スンヒョン(キム・ソンギュン)か
ら妹が行方不明だという電話が入る。

暗く重たいサスペンス映画。女性や子供の連続失踪事件を捜査していた刑事のテスは、
偶然当て逃げ犯を逮捕するが、その男ガンチョンこそが事件の犯人であると判明する。
凶悪犯の逮捕に世間は大騒ぎになるが、そんな時テスの元に妹の夫スンヒョンから連
絡が入り、妹が行方不明だと言う。少し前にガンチョンはテスの妹も拉致していたの
だった。ガンチョンの自供により拉致した女性たちは皆殺害され埋められていること
がわかる。ガンチョンには死刑判決が下されるが、3年経っても刑は執行されておら
ず、妻を殺されたスンヒョンは復讐の鬼と化していた。
とにかく陰惨な物語である。犯人は割と序盤で逮捕されるが、被害者たちを埋めた場
所を供述しようとせず、遺体が発見されたのはほんの数人だ。テスの妹の遺体も見つ
からない。テスは妹を埋めた場所を聞き出そうとするが、ガンチョンは薄笑いを浮か
べて「自分で捜せ」と言う。この男には人間らしい感情が少しもないようだ。いつも
無表情だったりニヤニヤ笑っていたりで、死刑が確定しているのに独房で体を鍛えて
いる。3年経ってもまだ死刑が執行されていないのも問題だろう。日本も死刑囚の執
行にかなり長い期間がかかるようだが、韓国でも同じ事情のようだ。
テスの義弟のスンヒョンがとてもかわいそうだった。おとなしいタイプの人だったの
に、復讐しか考えられなくなっている。スンヒョンが計画したことは、そんなにうま
くいくかな、と思う面はあるが、ガンチョンに妻の遺体を埋めた場所を聞き出してガ
ンチョンを殺すことに必死になっているのが悲しい。そしてテスは義弟を殺人犯にさ
せないために奔走する。おもしかったが、ガンチョンは女性をとても憎んでいるよう
で、その理由も描いて欲しかったなと思った。ラストでテスと妹夫婦が幸せだった頃
のシーンが流れるのだが、そのシーンがあるからこそこの映画の悲惨さがより強調さ
れていて、とても悲しくかわいそうだった。




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