selleckの生化学ブログ

いろいろ生化学の知識が学べるよ!

10つの重大研究成果In米国肝臓学会2014

2015-01-23 16:34:09 | 生化学
1.ダクラタスビルを含む経口薬治療は肝硬変例や肝線維化進展例でも有用(米University of Chicago Medical CenterのDonald M. Jensen氏から)

直接作用型抗ウイルス薬(direct-acting antiviral agents:DAAs)であるNS5A阻害薬ダクラタスビルは他のDAAsと併用することで、肝硬変の有無、肝線維化の進展度、治療歴の違いを問わず、有効性と安全性が一貫して示された。ダクラタスビルの臨床試験データをプール解析した結果で、米University of Chicago Medical CenterのDonald M. Jensen氏らが、米国肝臓学会(AASLD2014、11月7~11日、ボストン開催)で発表した。

2.RA患者への免疫抑制療法では2年以上のHBVモニタリングが必要に(阪市立大学肝胆膵病態内科学准教授の田守昭博氏から)

3.多剤耐性B型肝炎ウイルスにエンテカビルとテノホビルの48週投与が有用(韓国Yonsei University Colledge of MedicineのJun Yong Park氏らから)

4.C型慢性肝炎、日本人初回治療例でのダクラタスビル・アスナプレビル併用療法の著効率は89%(広島大学の茶山一彰氏から)

5.既存治療無効のC型肝炎にABT-450とombitasvir、dasabuvirの3剤併用が著効(米Weill Cornell CollegeのIra M Jacobson氏から)

6.アルコール性肝炎の入院患者、院内死亡率が有意に上昇(米Virginia Commonwealth University のTuyet A. Nguyen氏らから)

7.既存治療無効の肝硬変にsofosbuvirとledipasvirの併用が有効(フランスSaint Joseph病院のMarc Bourliere氏らから)

8.救急受診のベビーブーマー世代、7割は自らのHCV感染の有無を知らない(米アラバマ大学バーミンガム校救急科のDerek E. Wells氏から)

9.診療ガイドラインの認知度は高いものの遵守率は低く(米Brooke Army Medical CenterのStephen A. Harrison氏らから)

10.インターフェロンを含まないC型肝炎治療は健康関連QOLへの影響が小さい(米Merck Research LaboratoriesのJean Marie Arduino氏から)



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肺癌治療で進むQOL評価

2015-01-23 13:46:58 | 生化学
  近年、QOLは、患者自身による多次元からなる計量心理的特性の主観的評価であるが、最近はより一般的な患者自身による主観評価 PRO(Patient Reported Outcome)の一種と理解されるようになった。そして、患者視点の治療が強調されるにつれ、PROの重要性が高まっている。従来、QOLは主観的で曖昧な評価であるとみられてきたが、米食品医薬品局(FDA)はPROを効能表示の裏付け根拠として認めており、抗癌剤の有害事象評価に用いられるCTCAEの次期改訂版にはPROが組み込まれる予定となっている。さらには、新薬の評価の一環として、QOLで調整した生存年(QALY)を用いて経済性評価を行うことも一般的になってきた。

  近年、肺癌に対する化学療法の有効性を検討する臨床試験が世界中で行われており、今年も数多くの結果が報告された。また、耐性機序のより詳細な解明を目指し、多くの基礎的な検討が進められている。こうした新しい知見を受け、「肺癌診療ガイドライン」2013年版の「Ⅳ期非小細胞肺癌の初回化学療法」ではいくつかの点が更新されている。

  非扁平上皮癌 EGFR 遺伝子変異陰性、ALK 遺伝子転座陰性もしくは不明症例に対するEGFR-TKIが、推奨グレードC1からC2に変更。

 東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻生物統計学分野教授の大橋靖雄氏は、第54回日本肺癌学会総会のランチョンセミナー「癌治療におけるQOL 評価~肺癌を例にして~」(共催:日本イーライリリー株式会社)において、世界的に大きく変わったQOLの位置付けとそのエビデンスを紹介した。


 これまでの臨床試験の結果を踏まえ、まず EGFR 遺伝子変異陽性の進行 NSCLC に関しては「EGFR-TKIが一番のキードラッグであり、グローバルスタンダードである」(山本氏)。中国と日本の試験(NEJ002、WJTOG3405、OPTIMAL)で、EGFR-TKIはプラチナ併用療法に比べてOSは同等でPFSが良好と示されているからだ。

PointBreak試験:試験デザイン

2015-01-21 13:39:39 | 生化学
肺癌では、PointBreak 試験のPRO 評価が紹介された。この試験は米国で行われた非盲検、フェーズ3のランダム化試験で、進行非扁平上皮 NSCLC 患者を対象として、ペメトレキセド+カルボプラチン+ベバシズマブによる導入療法後にペメトレキセド+ベバシズマブによる維持療法を行う群(ペメトレキセド群)と、パクリタキセル+カルボプラチン+ベバシズマブによる導入療法後にベバシズマブによる維持療法を行う群(ベバシズマブ群)を比較した。

主要評価項目である全生存期間(OS)中央値は、ペメトレキセド群 12.6 カ月、ベバシズマブ群= 13.4 カ 月、ハザード 比 1.00(95%信 頼 区 間:0.86-1.16)となり、有 意 差 は 認 めなかった(p=0.95)。一方、副次的評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、ペメトレキセド群 6.0カ月ベバシズマブ群 5.6カ月、ハザード比 0.83(95%信頼区間:0.71-0.96)となり、ペメトレキセド群で有意に延長した(p = 0.012)(Jyoti D. Patel, et al. JCOオンライン版、2013 年 10 月21日)

PointBreak 試験のPROの結果は昨年発表された(David R. Spigel, et al. 2012 ASCO’s Quality Care Symposium abstract 53)

FACT-G(癌一般用)、FACT-L(肺癌用)、FACT-GOG-Ntx(神経毒性用)を用いて各サイクルの受診日に評価した結果、パクリタキセルによる神経毒性が強く発現し、治療が終了しても数カ月間持続することがわかった。ペメトレキセド群はベバシズマブ群と比べて、神経毒性のスコアのベースラインからの変化が少なかった。両群の差は、導入療法が終了後も持続し、維持療法となってから時間が経過した段階でも観察された(図 3)。大橋氏は、「この傾向は乳癌でも同様で、半年程度はパクリタキセルの神経毒性が認められており、患者のQOLを大きく低下させるものであると分かる」と指摘する。

食道癌における

2015-01-19 11:19:47 | 生化学
mTOR発現の意義

mTOR(mammalian target of rapamycin )は,PI3K/Akt pathwayの下流に位置し,細胞増殖やアポトーシス抑制に関与する,mTOR 阻害剤の 開発が進み,欧米では進行性腎細胞癌の治療薬として既に承認され,他の様々な癌種においても臨床試験が進行中である.

食道扁平上皮癩における mTOR 発現の意義およびmTOR 阻害剤の有用性を明らかにする.
in VitroではmTOR 阻害剤であるRAD001を用いて、食道癌cell line(TE4、TE11) におけるimvasion .profferution ,apoptosisについて検討した.次に術前治療のない食道扁平上皮癌切除症例145例を対象とし、リン酸化mTOR (p-mTOR)の免疫染色による発現と臨床病理学的因子および予後との関連を検討した。

VEGFC (vascular endothelial growth factorC )の発現解析

VEGF C(vascular endothelial growth factor)は血管形成の一連の過程で血管内皮細胞に特異的に作用する重要な増埴因子で あり管腔形成の促進や内皮細胞の遊走。腫瘍血管における病的血管新生などの作用が ある。VEGFC はVEGFR3に作用し、リンパ管増殖に関連するといわれている。われわれは食道癌の細胞株(TE1~TE15,KYSE30−KYSM20 )。臨床検体を用い
てVEGFCの検討をおこなった 。
食道癌細胞株および食道癌臨床検体109例で VEGFCの発現をReal−TimePCRを用いて測定した。
食道癌細胞株においてVEGFCの発現が認められた。臨床検体100例においては正常組織に対して腫瘍組織で有意にVEGFCの発現が高かった。また、症 例を VEGFC の高発 現群55例 と低発現詳駟 例に分けると高発現群において有意に予後が不良で あった (p=0.175)。VEGFCの 発現と臨床病理学的因子との閲係について検討すると、腫瘍壁浸潤、リンパ節転移,リンパ管浸潤,静脈浸潤において相関がみとめられた

VEGFC は食道癌の 増殖·生命予後に関連していることが示唆された。

Vandetanibについて

2015-01-16 15:25:59 | 生化学
vandetanib (ZD6474,Zactima)は,epidermal growth factor receptor (EGFR )お よ び vascular endothelial growth factor receptor(VEGFR)−2の両者を阻害するチロシンキナーゼ膿害薬であり,EGFRのみを阻害するgefitinibと比較して,より強い 抗腫瘍効果が期待されている.我々は,肺のみに発現しているSurfactantprotein−C(SP−C)にEGFRのE748−A752を欠損した遺伝子を付加することによりトランスジェニックマウスを開発した.このマウスEGFRのE748−A752 の欠損はヒトのEGFRのE746−E750の欠損に相当し,ヒト肺癌EGFR 変異モデルとして,vandetanibの治療評価に使用した.このトランスジェニックマウスの肺組織は,正常マウスの肺組織に比べEGFR mRNAとEGFRタンパクの発現が高く,6週齢で多発性の肺腺癌が発生した、6mg/kg/日のvan-detanibを7週齢より1週間投与するのみで,EGFRとVEGFRのリン酸化レベルは正常マウスと同程度に低下した.また,7週齢のマウスに6mg,fkg/日のvandetanibを継続投与する群(n=5)と非投与群(n =6)の比較では,生存期間中央値はそれぞれ28週と15週であり,投与群の生存期間は有意に延長された(p<0.01,logrank test).vandetanibは,EGFR変異陽性肺腺癌に対して,EGFRとVEGFRを抑制することにより抗腫瘍効果を示す有用な薬剤と考えられた。

Vandetanib (ZD6474)は、VEGFR2の強力な阻害剤で、IC50 が 40 nM。