遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

対中外交姿勢 菅政権では変化があるのか?

2020-09-19 01:23:55 | 米中新冷戦時代
 菅新政権誕生で、外交政策が注目されます。
 G7で、メルケル首相に次ぐ長期メンバーとなった安倍首相。トランプ大統領との親密な関係を築き、国際外交では日本の首相としてはかつてない地位の向上を示し、世界に貢献しました。
 その継承について、菅首相は、安倍氏のようなことは「私はできない」と認めているのだそうです。
 ただ、基本的には安倍政権時代の路線を継承されると言われる中、意思決定のメカニズムに変化の兆しがあると産経の記事。

 また、菅政権誕生の過程では。いち早く菅政権誕生に動き主導権を発揮した二階幹事長と、自民党4大派閥との主導権対立構図が見られました。
 
 対中外交では、経産省と外務省とで見解相違もあるのだとか。
 
 米中新冷戦時代に突入している今、ワシントンの有力シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」は「日本における中国の影響力」と題する調査報告書を作成し、安倍晋三首相の対中姿勢に大きな影響を与えてきた人物として、首相補佐官の今井尚哉(たかや)氏の名を明記し、また安倍首相の対中政策を親中方向に向かわせる存在として、二階俊博・自民党幹事長や公明党を挙げていました。
 今井氏、二階氏、日本の対中融和勢力を米国が名指し 米国有力研究機関が日本の対中政策形成の実態を調査(1/3) | JBpress(Japan Business Press)

 どうやら、菅政権の対中姿勢には、安倍政権時代の流れをそのまま引き継ぐかどうかは、揺れている様子です。
 
対中協力主導の「経産官邸官僚」退任 官邸外交に変化か - 産経ニュース 2020.9.18

 菅義偉(すが・よしひで)政権は外交政策でも安倍晋三政権の路線継承を掲げるが、政策決定のあり方は変わりそうだ。中国の巨大経済圏構想「一帯一路」への協力に慎重だった外務省に対し、対中協力を主導した経済産業省出身の官邸官僚が退場したからだ。これにより外務省が重きをなす外交に戻るとみられるが、自民党では総裁選後、中国に配慮を求める二階俊博幹事長の影響力が強まっており、対中外交に微妙な影を落としそうだ。

 菅内閣が発足した16日、
今井尚哉、長谷川栄一の両首相補佐官が退任した。今井氏は安倍前首相の側近として一帯一路への協力のほか、2島先行返還を念頭に置いたロシアとの北方領土交渉を主導。長谷川氏はこれを後押しする日露経済協力を取り仕切った

 
2人は経産省出身で、元外務事務次官の谷内正太郎・前国家安全保障局長ら外務省関係者と意見が衝突することもあった。特に一帯一路への協力をてこにした対中接近は外務省に不満が根強く、同省からは「昔は『外務省は媚中派』といわれたが、今や(経産省との対比で)対中強硬派になってしまった」と嘆息する声も漏れていた。

 だが、
菅政権では意思決定のメカニズムに変化の兆しがある首相は12日、自民党総裁選の討論会で「外務省からいろいろな報告を受けながら、政府全体として外交を進めていく」と語った。まずは外務省を重視する考えを示したもので、外交・安全保障政策の司令塔である国家安全保障会議(NSC)でも同省の存在感が増しそうだ。

 日米同盟を基軸とした
「自由で開かれたインド太平洋」を掲げる点では、菅政権も安倍政権と変わらないただ、各国首脳と個人的な関係を築いて外交資源とする安倍氏のスタイルを踏襲するのは難しい。首相自身も、安倍氏のようなことは「私はできない」と認める。

 そもそも新型コロナウイルスの影響で、首脳同士が直接往来する外交は思うようにできない状態が続いている。アジア太平洋経済協力会議(APEC)など毎年秋に集中する首脳会議はオンラインで開催される見通しで、首相の外交デビューは遅れそうだ。このため、再任された茂木敏充外相の役割が大きくなる。

 一方、
対中政策をめぐっては、自民党総裁選で首相が大勝する流れを作った二階氏が影響力を強める可能性がある。二階氏は対中協力に積極的な立場で、首相が二階氏に配慮すれば、強硬な対中姿勢は取りづらくなる

 
当の首相も、安倍政権では中国との経済関係を重視する立場をとってきた。12日の討論会では、石破茂元幹事長が北大西洋条約機構(NATO)に範をとって提唱する多国間同盟「アジア版NATO」に反対する理由として「どうしても反中包囲網にならざるを得ない」と語っている。

 
当面の焦点となるのは、延期となっている習近平国家主席の国賓来日の扱いだ。

 「穏やかな雰囲気の中で、実現できることを心から願っている」
 
二階氏は17日の講演で、習氏来日の実現に意欲を示した。しかし、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での挑発などを背景に、自民党には国賓来日を中止するよう求める声も根強い。菅外交は難しいかじ取りを迫られる。(杉本康士、原川貴郎)

 菅内閣が発足した16日、今井尚哉、長谷川栄一の両首相補佐官が退任したのですね。今井氏は安倍前首相の側近として一帯一路への協力のほか、2島先行返還を念頭に置いたロシアとの北方領土交渉を主導。長谷川氏はこれを後押しする日露経済協力を取り仕切ったのだそうです。
 2人は経産省出身で、元外務事務次官の谷内正太郎・前国家安全保障局長ら外務省関係者と意見が衝突することもあったのだと。
 特に一帯一路への協力をてこにした対中接近は外務省に不満が根強かったのだそうです。
 対中協力を主導した経済産業省出身の官邸官僚が退場し、外務省が重きをなす外交に戻るとみられるとの見方がありますが、問題は、媚中の二階氏。
 総裁選で首相が大勝する流れを作った二階氏の影響力を菅首相がどう対処するのか。
 世界の流れが、米国を中心とした対中包囲網に向かっているなか、対中貿易を重視して中国接近政策を採り、流れに逆らうのか。
 天安門事件時、世界が対中包囲網を敷く中、天皇の政治利用をして訪中を実現し、包囲網に穴を開けたのと同じ轍を踏むのか。
 当面の焦点となるのは、延期となっている習近平国家主席の国賓来日の扱いだと産経記事。

 二階氏は17日の講演で、習氏来日の実現に意欲を示したのですね。尖閣の領海を含む近海に「海警」の侵入の連続新記録を重ね、勝手に決めた漁期開けでの漁船の大挙侵入(今のところ制御されていますが)を宣言するなどして、実効支配の実績造りを進めている中国を、どう評価しているのか!

 一方、麻生財務相は、オンラインで開催されたアジア開発銀行(ADB)年次総会で、ADBの限られた財源で支援を効果的に行うためには、中国など既に成長した国に対する融資を縮小すべきだと強調したのだそうですね。
 
対中融資「卒業」を いまだ4番目の融資対象国 ADB総会で麻生氏 - 産経ニュース 2020.9.18

 麻生太郎財務相は18日、オンラインで開催されたアジア開発銀行(ADB)年次総会で、米国に次ぐ経済大国でありながら資金援助を受ける中国を念頭に、新興国向け融資の“卒業”に向けた具体的な道筋づくりを改めて求めた。大国と発展途上国の顔を都合よく使い分ける中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)を主導するなどして国際金融の舞台でも影響力拡大を図る。ADB最大の出資国である日本の菅義偉(すが・よしひで)新政権にとって国際金融における中国問題への対応も課題となりそうだ。

 「所得のより低い国や脆弱(ぜいじゃく)な国に、支援を重点化していくことが必要だ」

 
麻生氏は演説でこう主張し、ADBの限られた財源で支援を効果的に行うためには、中国など既に成長した国に対する融資を縮小すべきだと強調した。

 
ADBの2019年の融資契約締結額のうち中国向けは10・6%に上り、上位4番目の規模となる。ADBの融資対象国の基準は1人当たりの国民総所得(GNI)で年約7千ドル(約73万円)が上限だが、中国は1万ドルの大台を上回って基準を大幅に超過している。

 ADBの融資対象から自立する基準には、GNIの上限のほか、市場から円滑に資金調達ができるかといった項目がある。韓国やシンガポールは既に対象からは卒業しており、中国も来年以降の融資条件の見直しに向け協議を進める。

 財務基盤が脆弱な国では医療体制の整備が遅れ新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかかっておらず、世界的な感染収束に向け治療薬やワクチンの普及を含め中長期的な支援が必要だ。ADBの主要株主でもある
中国の卒業は、本当に支援が必要な低所得国により手厚く融資を行うためにも不可欠だ。

 
日本としてはまず中国向け融資を抑え使途を地球温暖化問題などに制限したい考え。中国との対立が激化する米国は日本と並ぶ最大級の出資国で、日米で歩調を合わせる思惑もある。

 巨大経済圏構想
「一帯一路」を掲げる中国AIIBを通じて途上国へ過剰に融資し、返済に窮した国からインフラを奪う例もある。コロナ禍ではマスク外交で逆にイメージアップを図るなど“焼け太り”を狙い、対中外交で比較的寛容だった欧州を含め反感が広がる。冷たい視線を察してか、融資対象から卒業する必要性は中国も理解を示しているようだが、ADBを主導する日本の指導力が一層問われそうだ。(林修太郎)

 ADBの2019年の融資契約締結額のうち中国向けは10.6%に上り、上位 4番目の規模となる。ADBの融資対象国の基準は 1人当たりの国民総所得(GNI)で年約 7千ドル(約73万円)が上限だが、中国は 1万ドルの大台を上回って基準を大幅に超過しているのが現実。

 中国の卒業は、本当に支援が必要な低所得国により手厚く融資を行うためにも不可欠。
 中国との対立が激化する米国は日本と並ぶ最大級の出資国で、日米で歩調を合わせる思惑もあるのだそうです。
 「一帯一路」を掲げる中国はAIIBを通じて途上国へ過剰に融資し、「債務の罠」で覇権を拡大していることは、諸兄がご承知のことで、そんな国に融資をする必要はありませんね。

 香港の「一国二制度」の国際約束期限前での実質打ち切り、ウイグルやチベットへの人権弾圧、今回の武漢肺炎感染拡大失政で、対中外交で比較的寛容だった欧州を含め世界中で反感が広がる習近平政権。
 
 今井氏は退場しましたが、二階氏はますます影響力を高めています。
 自由主義陣営の世界の流れに逆行する二階氏。その二階氏の影響力の大きい菅政権になっていいのでしょうか。
 勿論、それでは天安門事件後の過ちを繰り返すことになります。
 菅政権の支持率は、オールド偏向メディアの世論調査でも高い値を示しているようですが、二階氏の扱い次第では、米国のシンクタンクが危惧する様に、日本の信頼を失うことになりかねません。
 二階氏との距離は、菅政権の最初の正念場ですね。

 “たたき上げ”首相の菅内閣、支持率爆騰! 報道各社世論調査 - zakzak:夕刊フジ公式サイト



 # 冒頭の画像は、次官連絡会議の初会合に臨む菅首相




  この花の名前は、ダリア


↓よろしかったら、お願いします。



写真素材のピクスタ


Fotolia







コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「反日種族主義」の李栄薫氏... | トップ | TikTokの米企業投資受入れは... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

米中新冷戦時代」カテゴリの最新記事