前から申し上げているように、私は石破氏が嫌いで軽蔑しています。
上目遣いの半眼と饒舌と、正論の陰にある狡猾さを嫌悪しています。ですからこの動画も、偏見のメガネで見る可能性大です。氏の言葉をそのまま伝えますが、私の批評は差し引いてお読みください。
前回紹介しました通り氏の所信表明は、「内政」、「外交」、「安全保障」の順番です。最初の意見を紹介します。
「内政について、申し上げます。」「その一番目は、経済です。私はこれを、石破ビジョンと呼んでおります。骨子は、次の三点に絞られます。」
1. 中小企業、地方経済の潜在力を可能な限り伸ばし、経済成長の中心とする。
2. 多様な働き方と社会参加を推進することにより、新しいアイディア、技術、
イノベーションが生まれていくという構図を、構築する。
3. 経済格差問題を含め、国民に信頼を持って頂ける社会保障制度を確立し、安定的な消費を喚起する。
この3点が、氏の経済政策の基本ですが。語られているのは抽象論で、具体性がありません。さらに氏は続けますが、このあたりから安部総理への批判が始まります。
「毎年各省庁が発表する目玉政策を、競い合っているだけでは、国民は翻弄されるばかりです。大事なのは、潜在成長力を高める施策なのです。具体的にいいますと、次の三つです。」
1. 現在官邸、各省庁にある会議や委員会を整理、再編する。司令塔として、
「日本創造会議」を創立し、この下に各種委員会が機能する体制を作ります。
2. 地方の中小企業に対し、幅広く寄り添う形で伴走する「地方創造推進機構」
を設立します。
3. 総理直轄の「経済・金融総合対応会議」( 日本版NEC )を、設立する。
これによって、経済のグローバル化や経済戦争に対応いたします。」
(注) NECは社会と技術の変化を見据え、I C Tで新たな社会価値を創造するもの。
ビッグデータ、クラウド、ネットワーク、パブリックセーフティなどの最先端
I C Tで、豊かで明るい未来の創造に取り組んでいく。
理論家を自認する人間は、論点に番号をつけて話をしますが、氏もその例に洩れません。しかしこの番号にいくつも枝葉がつきますので、ぼんやり聞いていると何が何だか分からなくなります。そしてやはり、安部総理への批判です。
「日銀の黒田氏は、2年間で2%の物価上昇率を達成すると言いました。しかし、もう 6年目に入りました。昨年は、前年比 0.7%の上昇しかしていません。」「地方の中小企業こそが、経済成長の力なのです。それを忘れてはなりません。」
内政の意見がこれで終わり、次は社会保障政策です。中身が介護、年金、子育て、教育と分かれますが、まず全般的な話から始まります。
「国民一人ひとり、すべての幸せの実現をキーとして、社会保障国民会議を創設いたします。その目的は、4つあります。」
1. 国民一人ひとりの目線に立った会議であること。医療、年金、子育て、教育と
バラバラの政策でなく、一本化されたものとして対応する会議とする。
2. フルオープンの運営。会議をすべてオープンにし、記事録は全部公開する。
3. 不都合な情報でも隠さず、必ず開示する。
4. 党派に偏らず、会議にはあらゆる方面からの参画を徹底する。
安部総理は沢山隠しごとをしてきたが、自分はすべてオープンにすると強調します。しかし同じようなことを言い、石原都政を批判したきた小池氏が、都知事になったら、かって支持者だった都議から、議会で厳しい批判を受けました。
「小池都知事は前都知事を批判し、不明瞭な密室での政策決定をしないと、公約いたしましたが、ご自分がやられていることは、少数者による密室の決定ではありませんか。」
そんな動画を知っていますので、疑問符が付く氏の提案です。都政でさえ難しいオープン化を、国政ですべてオープンにすることができるのでしょうか。絵に描いた餅かと、気持ちが氏から離れていきます。次の所信表明も同じ調子で、氏はひたすら先を急ぎ、言葉の羅列を続けます。これから先は面倒なので、説明なしで紹介します。
「介護について、申し上げます。」「寝たきりにならないための、介護。いかにして病気にならないかです。要介護にならないための社会を構築すること、が肝要です。」「介護離職者の解消も重要です。そのために誠心誠意議論を尽くし、成案を得たいと思います。」
「年金につきましては、年金制度の堅持と年金生活者の暮らしの維持を、柱といたします。高齢者の貧困を防ぎます。」
「子育てにつきましては、徹底して女性の立場に立ち考えなくてなりません。フランスに、成功例があります。」「子供を産みやすい、子育てがし易いという制度の構築に努めます。」
「教育について、申し上げます。」「高校までの学費無償化は、達成されましたので、大学教育の無償化をどうするかです。」「この問題の前に、私は大学のガバナンスを徹底すべきと思っています。急ぐべきは、給付型の奨学資金の検討と、地方における大学教育の充実です。」「東京ばかりに学生が集中しないためにも、地方の大学の充実が求められます。」
「また、卒業した学生が、地方へUターンできるような、仕組みづくりが大事です。国民の生涯教育にも対応できるよう、既存大学の役割についてさらに検討いたします。」
目新しい政策はなく何度も耳にした話ですが、安倍政権批判を第一とする氏に言われますと、こうした点につき、安倍氏が何もなかったという意味になります。そうだったのかもしれませんが、安倍内閣の閣僚だった時、氏は何か積極的に発言したのでしょうか。
これで、所信表明の 4分 1まで進みました。私は続きを紹介しますが、退屈された方は、用事があれば、そちらを優先されることを勧めます。