カメラのご常連さんの実家に有ったものだそうです。ゼニスとウォルサムの鉄道時計ですが、両方に「省道鐵」の打刻がありゼニスには「弐昭」「東628」との打刻されています。鉄道省は1920年(大正9年)~1943年(昭和18年)ですから昭和初期に使われた時計のようです。
まず、全く不動のウォルサムから行きます。ウォルサムはアメリカの時計メーカーですが、大量生産に成功して日本でも精工舎の鉄道時計が採用される以前に輸入されていました。ケースはベゼル、裏蓋ともネジ式です。機械は全く不動でゼンマイが巻けない。とのことでしたが、ゼンマイを巻ききっているのでしょう。とすると相当長い年月を巻いたままで置かれたわけで、ゼンマイが弱っていると思いますね。
この機械は何度も分解(O/H)を受けていて、ネジに問題があります。まず文字盤を留める3本のネジのうち1本は欠品していました。また、香箱受けの中央のネジは、なんとスリ割りの頭だけ押し込んでありました。
固着した二番車をベンジンで溶かして分離して超音波洗浄をしています、ホゾに若干、摩耗傷がありますので研磨をしてから組みます。
受けをセットして注油ザラ回しで動きを確認します。ここまでは上手くいくと思いましたが・・
事前のチェックで、天真が摩耗していることは分かっていましたが、平置きでは正常に動きますが、ある角度にすると突然止まります。
アンクルのケン先が変わってますね。真鍮線を折り曲げたようなもので、当初は改造かと思いましたが、このタイプは正規であるようですね。問題は、天真の摩耗によってガタがあり振り石との距離が変化かをすることで不調となるものでした。今回は調整で改善しておきます。
陶製の文字盤は時計サイトではポーセリンとも表記されていますが、歯科ではポーセレンと言ってましたね。アラビア数字は細く小さ目です。
ウォルサムは「鐵道省」となっていますのでゼニスよりは時代が新しいのかな? 分かりません。併用もあったでしょうかね。年代を特定できる刻印はありません。内側に WALTHAM NICKEL 392352 の記載があります。
今回は、精度ではなく、取りあえず動くようにするのが趣旨でしたが、かなり正確に動いていますよ。
メーカーが異なっても軸配置は同様なので簡単にUPしておきます。
7石ですが全面にベルラージュ模様が施されていて高級感がありますね。
精工舎の鉄道時計と同じというかお手本になったのでしょうね。ケースがベゼル、裏蓋ともねじ込み式が興味を持ちました。
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