横浜映画サークル

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『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』不親切な展開に誰も受け付けない迷作、ここに誕生。

2019-08-19 20:04:18 | メンバーの投稿

ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』(2019日本アニメ、総監督・脚本:山崎貴)

自分が観たい作品は後回しにして、夏休みということもあり、息子に連れられて劇場版の『ドラクエ』と『ONE PIECE STAMPEDE 』を観てきました。ここでは酷評が圧倒的に多い『ドラクエ』について感想を述べます。

【あらすじ】:魔物たちに連れ去られた母マーサを取り戻すため、少年リュカは、父パパスと旅を続けていた。その旅の途中でパパスは命を落としてしまう。その後、リュカは結婚などの人生におけるイベントを経て冒険を続ける。リュカはマーサを助けることができるのか?

【感想】:歴代シリーズを散々遊んできた『ドラゴンクエスト』。劇場で初めて観たトレーラーは期待を抱かせた反面、いままでの同様の作品と同じく、期待したら後悔するという自制も働き、鑑賞前は複雑な気持ちだった。鑑賞後、結果としてその危惧は当たり、何とも言えない気持ちになった。

まず、ストーリーの展開が不親切極まり無い。ゲームを一度でもやっていれば、自然に「懐かしい」と言葉が出てしまうが、8ビットのゲーム画面でストーリーがダイジェスト的に進んでいくため、ゲームをしていない人には何のことだかさっぱりわからないうえ、ほぼ間違いなく見逃してしまうと思われる。しかも、それが重要な伏線となっていて、最後に回収するため、この序盤の8ビット画面をしっかりと覚えておかないと、最後にポカンと口を開けてしまうだろう。

さらに、同じく脚本の問題なのだが、ストーリーにおいて息つく暇がまったく無い常に坂を登っているイメージなのだ。もちろん、ストーリーは概ね上り坂でなければならないのはわかるが、踊り場というか箸休め的な展開がほぼ無い。仮に「あそこがそうだよ」という場面があったとしても、非常にわかりにくい。

これでは、登場人物に感情移入をすることは困難と言わざるをえない。長年の“結婚相手論争”については、それこそ女性が抱くであろう気持ちをもっと丁寧に描き観客の共感を得るべきだった。当然、そんなところは全力でぶった切って、ストーリーを進めていた

全体的に丁寧さ自体が少なく進行の乱暴さが目立つ作品だが、数少ない丁寧にした場面を完全に間違えている。

これ以上は、ネタバレになるので、あまり詳細を伝えられないのが残念。もしかしたら、制作サイドはあまりゲームを遊んでいないのではないだろうか。遊んでいたとしても、片手でも余るほどだと思われる。でなければ、丁寧に処理した場面を間違えることはない。

そして、酷評が多いラストだが、ゲームを遊んでいる人、ゲームを知らない人、その双方から酷評を受けているのではないだろうか。ゲームをしている人からすれば、ゲームとは違う展開に対して「こんなものはドラクエじゃない!」と言うだろう。

一方、ゲームを知らない人は前述したように、わけのわからないまま辿り着いたクライマックスを強制的に押し付けられるため、消化不良のまま、冒険を終えることになる。もちろん、その疑問などを補完する箇所はほぼ無い。せめて、ラスト前に回想シーンを入れるなどの親切は欲しかった。あれで「最後まで着いてこい」は、あまりにも理不尽すぎる。

ただ、個人的にラストの展開はアリだとは思う。原作者の堀井雄二は絶賛したようだが、絶賛できないまでも、解釈の違いを表現できていたと思う。そこは評価されるべき点だ。しかし、いささか中途半端感は否めない。やるなら、最後までやり切るべき。あれでは、観客は完全に置いてけぼりにされてしまう。

そもそも、クリアするまでに20時間とも30時間ともいわれるゲームを100分ちょいに押し込むことに無理がありすぎる。何故、ストーリーを分割しなかったのか。

この作品のベースとなっている「天空の花嫁」は、シリーズ屈指のサーガ(英雄伝説)であるため、じっくりと制作するべきだった。山崎貴か制作委員会かいずれかの意図であると思うが、高い評価を得る可能性の機会を自ら捨ててしまった。非常にもったいない

というわけで、本来であれば間違いなく0点だが、ゲームとは違った解釈に挑戦したところを加味して1点(0.5点の刻みナシの5段階評価)とした。贔屓目に見ても、オススメが難しい。時間とお金を無駄にする覚悟がある方にしか勧められない作品。

(下の画像左は魔物たちに連れ去られた母マーサを取り戻す旅の途中の父パパスと主人公少年リュカ。父は魔物との戦いに敗れ殺されてしまう。画像中は父が亡くなった10年後青年となった主人公。父の日記「天空のつるぎと勇者を探し出せば、母を救うことができる」を発見、母の救出に再び旅立つ。画像右は魔物との戦い場面、右に魔物、左に主人公)

  

画像出典左:映画.com山田孝之、映画「ドラクエ」パパス役の重圧語る 佐藤健らのコメント&新場面写真も披露(C)2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会 (C)1992 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved. https://eiga.com/news/20190527/8/  (閲覧2019/8/19)  画像出典中:IGN JAPAN なぜ『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』は賛否両論の問題作なのか?それはゲーマーに対するふかい愛があるからだ(C)2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会(C)1992 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.https://jp.ign.com/dragon-quest-your-story/37548/opinion/ (閲覧2019/8/19)   画像出典右:JIJI.COMゲーム世代へのメッセージも込めて=「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」の山崎貴総監督 (C)2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会(C)1992 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved. https://www.jiji.com/jc/article?k=2019080201129&g=soc  (閲覧2019/8/19)

以上 S.Zでした。

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