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孤立している化学物質過敏症

2018-09-21 10:25:58 | 化学
住宅の建材や日用品に使われる化学物質は現在国内で約6万7千種が流通し、なお増え続けているようです。

商品の品質を向上させる利点があるものの、体内に取り込むと頭痛やめまい、吐き気などに苦しむ化学物質過敏症(CS)を発症することもあります。

このCSやシックハウス症候群(SHS)は、建材の接着剤や塗料に含まれる化学物質が原因となります。この病気の難しい点は第1に診断がなかなかつかず、病院を転々としたり、CSと診断されても具体的な治療法がほとんどないところにあります。

汚れ落ちの良い洗剤、建物を傷から守る塗料、防虫剤、香料と化学物質の使途は多く、便利な生活を支ええいます。しかしその陰で苦しむ人がおり、この患者は70万人に及ぶと推計されています。

余談ですが私のように医薬品の開発をしていると最も怖いものが、過敏に反応して出る副作用です。通常の動物実験や臨床試験では全くでなかったものが、市販され何十万人が使用すると1万人に1人ぐらい(これはあくまで例えのようなもので、実際はもっと少なくなります)に副作用が出てしまうことがあります。

別に化学物質過敏症の人に副作用が出るというわけではありませんが、こういった非常に少ない副作用がなぜ出るのかも謎となっています。

さてCSやSHSは1990年代から存在が指摘されるようになり、合板や壁紙用の接着剤に含まれるホルムアルデヒドが代表格です。

厚生労働省はこれを受け、SHS対策としてホルムアルデヒドなど13物質の室内濃度の指針値を設定し、2003年の改正建築基準法では、ホルムアルデヒドを発散する建材の使用を制限し、シロアリ駆除用のクロルピリホスの使用を禁止しました。

化学物質過敏症支援センター(横浜市)によるとCSやSHSと見られる体調不良の相談は年間2千件におよび、こういった指針では改善されていないとしています。

SHSは04年、CSは09年に保険診療の病名リストに登録され、治療に健康保険が適用されるようになり、国が公的に病気として存在を見貯めたことになります。それでも外来や専門医が増えないのは、治療法が確立していないためのようです。

現在の対応は原因化学物質から離れ、換気などで室内濃度を下げる環境面の改善が原則となっています。そのため医療機関に入るのが再診料だけとなり、不採算部門として外来が閉鎖されていくことが多いようです。

発症には個人差があり、家族の理解さえ得られず孤立を深めているのが現状のようです。これを改善する動きは鈍く、まず医師も正しくCSやSHSを認識されるといった程度の対策しかないようです。まずこういった病気の発症メカニズムの研究から始めてほしいものです。

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