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意外と知らないカルシウムの働き

2018-12-16 10:01:42 | 化学
カルシウムというと骨を作る材料として知られていますが、体内でどんな働きをしているのかまとめてみました。

本来骨はカルシウムの貯蔵庫として重要なようです。カルシウムは、生物の細胞の働きを正常に保つために欠かせない物質とされています。

普段体内のカルシウム濃度は細胞の内側は低く、外側が高くなっています。しかし細胞が外側から刺激を受けると、細胞外から細胞内にカルシウムが流れ込み、それを引き金として細胞はさまざまな働きを始めます。

つまりカルシウムは生命活動の根幹にかかわるメッセンジャー物質の様な役割を果たしています。そのカルシウムの血中濃度を厳格に調整する役割を担っているのが、副甲状腺ホルモンとビタミンDとされています。

副甲状腺ホルモンを分泌する副甲状腺(上皮小体)は、のどにある甲状腺の裏側に左右2対ずつ4個あるコメ粒ほどの小さな臓器です。名前は似ていますが、甲状腺とは全く関係のない独立した機能を持っています。

骨の中のカルシウムはリンと結合して貯蔵されています。副甲状腺ホルモンは、血液中のカルシウム濃度が低下すると分泌が高まり、骨に作用してカルシウムを取り出して使えるようにします。

また腎臓に働いて、カルシウムの排泄を抑制し、リンの排泄を促し、さらにビタミンDの産生も高めます。ビタミンは通常食物から取らないと補えない栄養素ですが、ビタミンDだけは体内で作ることができます。

またビタミンD受容体も存在するので、ホルモンの一つとされています。作られる臓器は皮膚で、日光(紫外線)を浴びることでコレステロールから産生されます。

皮膚でビタミンDの原料が作られ、それが肝臓、腎臓へと運ばれて活性化されビタミンDになり、腸管からのカルシウムやリンの吸収を促す働きをします。

急激なカルシウム濃度の変化は副甲状腺ホルモンが対応し、ビタミンDは時間をかけてカルシウム濃度を管理しています。このようなシステムで、2段構えでカルシウム不足を防いでいます。

食物からのビタミンD摂取も大切で、不足するとうつ病になったり、免疫力が低下してガンになりやすくなることが知られています。このカルシウムの個々の働きもいろいろあり、カルシウムチャンネルを阻害すると血圧の上昇が起きず、こういった薬が降圧剤として開発されています。

しかしカルシウムの最も需要なことは、正確な血中濃度を維持し、この濃度差によっていろいろな作用を引き起こすといった働きのようです。ですから骨粗しょう症の治療などで過剰摂取すると高カルシウム血症を引き起こす場合もあるので、取りすぎも要注意と言われています。

ありふれた元素(イオン)であるカルシウムは、思った以上に体内で重要な役割を担っているようです。

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