人工知能

2050年までに、、、、

ゼロ・ポイント・フィールド

2023-08-02 09:20:05 | 人工知能
天才って、条件や経験から、どんな化物のことだと思いますか?

【回答】
いわゆる「天才」と呼ばれる人々は…
(仮説ですが)
「ゼロ・ポイント・フィールド」という「場」に…

右脳経由で繋がることのできる人々のようです。
そのため彼らは「自分の頭で考え抜いて、思いついた」とはあまり表現せずに…
「どこかから降りてきた」「天啓のごとく与えられた」といった表現をします。

【解説】
(注)ここから先の内容につきましては、30分間のお時間をいただきます。そのうち冒頭の18分間の動画視聴が必要になります。
まずはハーバードの神経解剖学者であるジル・ボルト・テイラー博士の2008年のTEDスピーチをご供覧ください。
18分のスピーチですが、特に15分〜18分の3分間は鳥肌が立ちます…


ジル・ボルト・テイラー博士は2008年に【奇跡の脳-脳科学者の脳が壊れたとき】という自身の体験談を出版され、世界的なベストセラーになったのですが…
今回13年ぶり(2021年)に【whole brain living】という著書を「右脳と左脳の使い方の実践編」として出版されました。
そして、2022年にNHK出版さんが【whole brain 心が軽くなる「脳」の動かし方】というタイトルで邦訳を出版してくれました!
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*左右の大脳皮質(考える脳)と左右の辺縁系(感じる脳)の合計4人(脳神経細胞群)の自分がいる。
キャラ1→左脳の大脳皮質(左考)
キャラ2→左脳の辺縁系(左感)
キャラ3→右脳の辺縁系(右感)
キャラ4→右脳の大脳皮質(右考)
私たちは意識してトレーニングすることで一瞬一瞬でキャラ1〜4を切り替えることができるようになる。
・キャラ1〜2(左脳)が主人公の時はキャラ3〜4(右脳)を抑制している。
・キャラ3〜4は意識して前面に出さない限り、キャラ1〜2に抑制されている。
・特にキャラ2は突発的に前面に出てくる。
・自分と相手のキャラ2同士がぶつかり合うと【絶対に】事態は解決しない。
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*キャラ1(左脳の大脳皮質)はざっくり言うと…
・すべて整理整頓
・きっちり分類
・生まれつきメカに強い
・身だしなみが良い
・計画性がある
・権威主義
・正しい/誤り、良い/悪いの白黒をはっきりつける
・細部にこだわる
・すべて数える
・防御的(人を「私たち」と「あの人たち」とで区別し、他人である「あの人たち」から仲間の「私たち」を守る)
*さらにキャラ1は、感情が伴わないときに発生する「ソフトなキャラ1」と、左脳の辺縁系(キャラ2)が発する警報に反応して生じる「ハードなキャラ1」とに分けられる。
「ソフトなキャラ1」
・親切で思慮深く、相談しやすく、チーム作りがとても上手(チームリーダー、羊飼い)
「ハードなキャラ1」
・まるで緊急事態に対処しているかのような感覚ではたらく(司令官、カウボーイ)
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*キャラ2(左脳の辺縁系)はざっくり言うと…
・怒り/悪口を言う
・騙す
・恥を内に秘める
・条件付きで愛す
・ネガティブな自己評価
・不安
・泣き言を言う
・自己中心的
・他者を責める
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*キャラ3(右脳の辺縁系)はざっくり言うと…
・寛容
・畏敬の念がある
・遊び心がある
・共感力がある
・創造性がある
・好奇心旺盛
・自分のスタイルがある
・経験的
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キャラ4(右脳の大脳皮質)はざっくり言うと…
・気づき
・広がり
・つながり
・受け入れる
・変化を受け入れる
・本物
・寛容な精神
・明晰さ
・意図を持って
・弱さを受け入れる
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マインドフルネス瞑想は…
放っておくと、キャラ1、2という左脳に支配されてしまう脳を、

意識的にキャラ3、4の右脳に切り替えることを繰り返すことで…
自然にキャラ3、4が主役となれることを目指している。

ここまでの理解はよろしかったでしょうか…?
では、ネクストステップになります。

この宇宙は、138億年前の量子真空のゆらぎから始まっています。
その瞬間、この量子真空が極微小の宇宙を生み出し、それが急激に膨張しました【インフレーション宇宙論(佐藤勝彦、アラン・グースら)】
そしてその直後、この宇宙の萌芽がビッグバンを起こし、現在の宇宙が誕生しました【ビッグバン宇宙論(ジョージ・ガモフら)】。
ここで、量子真空の中には、この壮大な宇宙を生み出せるほどの莫大なエネルギーが潜んでいるのですが、この量子真空は、いまも私たちの身の回りに(この宇宙のすべての場所に)普遍的に存在しています。
つまり、私たちの生きているこの世界の背後には、量子真空と呼ばれる無限のエネルギーに満ちた世界が存在している、ということになります。
この量子真空内に存在する莫大なエネルギーのことを、量子物理学では「ゼロ・ポイント・エネルギー」と呼んでいます(ノーベル物理学賞を受賞したリチャード・ファインマンの計算によれば、一立方メートルの真空に潜むエネルギーは、地球のすべての海の水を沸騰させるほどの量であるとされています)。
よろしいでしょうか…?
ついてこられてますか?笑
ここまでは現代の科学が認める「事実」なのですが、ここからは最先端科学が提示する「仮説」になります。
【ゼロ・ポイント・フィールド仮説】
この宇宙に普遍的に存在する量子空間の中に「ゼロ・ポイント・フィールド」と呼ばれる「場」があり、この「場」にこの宇宙開闢以来のすべての出来事のすべての情報が、波動情報としてホログラム原理で記録(記憶)されている…という仮説。
どうですか?
ぶっとびませんか…?笑
私はぶっとびましたが笑、
しかし。この話をされているのが田坂広志教授という…ほぼ偉人…の方ですので、私自身は真剣に向き合っております。
ちょっと話は変わりますが…
私事で恐縮なのですが、私は前述のジル・ボルト・テイラー博士のTED Talkを2008年に聴いて大いなるインスピレーションを得ました。
そして、それまでは小児神経科医だったのですが、2009年より都立病院にて児童精神科外来を開始し、これまでに約1800症例ほどをカウンセリングしてきて、経験知を得てまいりました。
手前味噌ですが、非常に難治な症例について、母子カウンセリングのみで寛解に導いたケースも多数経験してきております。
そして私のカウンセリング手法ですが、
(前述の)キャラ1〜2であるクライエントに対して、私自身がキャラ4で向かい合うことで、
クライエントが「キャラ4である自分自身」を引き出せるようになり(左脳をオフラインにするスキルを高めていく)、回復していく…

という流れでした。
左脳をオフラインにするスキルを高めていく…と、心に奇跡のような現象が引き起こされる…
という症例を多数、経験してきたことになります。
では、話をもとに戻しますね。
再び科学的な「事実」まで戻りますが、
量子物理学的に見ると、この世界のすべては波動になります。
私たちが物質だと思っているものの実体はすべてエネルギーであり、波動です。
物質を構成する素粒子はエネルギーの振動であり、波動であるからです。
そして、私たちの意識や心や精神というものであっても、たとえそれらが脳内の神経細胞の電気信号であったり、なんらかの量子的な現象であったとしても、いずれも波動エネルギーに他なりません。
従って、この宇宙のすべての出来事は、それが銀河系宇宙の生成であろうが、地球という惑星の誕生であろうが、ローマ帝国の興亡であろうが、あなたがこの地上に生を授かったことであろうが、あなたの今朝の食事であろうが、その食事が美味しいと思ったことであろうが、そのすべての本質は量子物理学的に見るならば、すべて波動エネルギーになります。
ここからは再び「仮説」となります。
【ホログラム原理】とは、波動の干渉を使って波動情報を記録する原理のことなのですが、位相を変えた波動同士が互いに干渉する時に生まれる干渉縞を記録することによって高密度の情報記録を可能にし、鮮明な立体映像の記録も可能にする原理です。
①このホログラム原理は極めて高密度の情報記録が可能です(角砂糖ほどの大きさの媒体に国会図書館の全蔵書の情報が収められるほど)
②このホログラム原理を用いると、記録した情報が記録する媒体のすべての場所に保存されているため、媒体の一部からも「全体情報」が取り出せる(解像度は落ちるが)。
このホログラム原理は、私たちの生きているこの宇宙やこの世界の根底にある基本原理でもあります。
つまりこの世界のホログラム的構造とは、「部分の中に、全体が宿る」という不思議な構造になっている…ということです。
また、ゼロ・ポイント・フィールドという量子的な場においてはエネルギーの減衰が起こりませんので、ゼロ・ポイント・フィールドに記録された波動情報は永遠に残り続けます。
ここからは田坂広志教授の仮説になりますが…
「私たちの脳、そして私たちの身体も、量子的プロセスでゼロ・ポイント・フィールドに繋がっている可能性がある…」という仮説です。
ぶっとびませんか…?笑
たとえば、意識の不思議な現象って…ありますよね。
直観、以心伝心、予感、予知、占い的中、シンクロニシティ、コンステレーションなど…

私たちの多くが経験するこれらの意識の不思議な現象は、私たちの意識が、このゼロ・ポイント・フィールドと繋がることを通して、必要な情報や知識や叡智を引き寄せることによって起こり、
また、このゼロ・ポイント・フィールドを介して互いの意識が結びつくことによって起こる現象である…という仮説です。
意識には階層があり、
第一の階層は【表面意識】です。
これは私たちが日常生活を送り、日々の仕事に取り組む時に最も活性化している意識の世界ですが、この世界では私たちの自我(エゴ)が中心になって動くため、ネガティブな想念が生まれて渦巻く世界でもあります(キャラ1、2の世界)。
この表面意識のネガティブな想念は雑音となって、私たちの意識がゼロ・ポイント・フィールドに繋がることを大きく妨げます。
第二の階層は【静寂意識】の世界です。
これは私たちが日常の生活や仕事から離れて静寂を保っている時の意識の世界ですが、この世界では私たちの自我(エゴ)の活動は比較的静まっており、ネガティブな想念も消えています。
その結果、私たちの意識はゼロ・ポイント・フィールドに繋がりやすくなり、そこから適切な知識や叡智を得ることができるため、直観が降りてくるようになります。
田坂教授は「賢我」と呼んでいます。前述のキャラ3、4ですね。
第三の階層【無意識】では「無我」、
第四の階層【超個的無意識】では「超我」、
第五の階層【超時空的無意識】では「真我」…
と移行していくのですが、こうなるともはや悟りを得た徳の高い高僧のレベルに至りますので…私たち凡人は「第二階層の賢我(キャラ3、4)」に入ることが楽にできること…を目指すと良いのかもしれませんね。
いわゆる「引き寄せの法則」というものと絡めますと、何かを想うということは、その想念に関連した情報を探すことや集めることに他ならないため、
無意識の世界ではゼロ・ポイント・フィールドと繋がることで、ゼロ・ポイント・フィールドを通じて、類似の情報が集まってくるものと考えられます。
この意識の働きは「表面意識」の世界よりも「無意識」の世界での方が圧倒的に強くなっているようです。
そして無意識の世界では、表面意識の世界のように価値判断が入りません。そのため情報の引き寄せが圧倒的な速さで起こります。
【結語】
天才とは、
無意識がゼロ・ポイント・フィールドに繋がったときに、
フィールド内に存在する膨大な情報を、
瞬時に探索して「降臨」させることのできる存在である…

かもしれない。
【参考文献】
WHOLE BRAIN(ホール・ブレイン) 心が軽くなる「脳」の動かし方
死は存在しない ― 最先端量子科学が示す新たな仮説 (光文社新書)


「巨大AI実験6カ月停止」の要請が出た背景、賛同した日本人研究者に聞くと、いう記事

2023-04-19 11:46:50 | 人工知能

gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/reuters/business/reuters-20230418027


マスク氏は先月、AIの専門家や業界幹部らとともに公開書簡で、チャットGPTの最新版言語モデル「GPT─4」を上回るシステムの開発を6カ月間停止するよう求め、社会にリスクをもたらす可能性があると指摘した。

18日のニュースで「GPTの最新版言語モデル「GPT─4」を上回るシステムの開発を6カ月間停止するよう求め」があったが、

賛同者が日本にもいるようだ。


「全てのAI(人工知能)ラボはただちに、GPT-4よりも強力なAIシステムの訓練を少なくとも6カ月は停止せよ」――。米国の非営利団体Future of Life Institute(FLI)が2023年3月22日(米国時間)に公開し、著名なAI研究者や技術者、経営者が署名したオープンレターが議論を呼んでいる。
 「高性能なAIは根本的に危険性がある。原子力と一緒で、うまく制御できれば有用だが、制御不可能になった場合のリスクが計り知れない。AIは現在、『スケーリング則(Scaling Law)』に従って性能が際限なく向上し始めている。この先、何が起きるのか不明であるため、まずはリスクの見極めが必要だ」。オープンレターに署名した1人でもある慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科の高橋恒一特任教授は、趣旨をそう説明する。
開発停止、ではなく訓練の一時停止
 オープンレターが求めるのは、AIの開発停止、ではなく、米OpenAI(オープンAI)の大規模言語モデルGPT-4を上回るような、数千億パラメーター規模よりも大きい巨大な機械学習モデルの訓練の一時停止である。そしてオープンレターはこの一時停止期間に、AIの設計や開発に関する安全性プロトコルを協議したり、AIガバナンスに関する規制について協議したりすべきだと主張している。
 「技術的には、AIの訓練を6カ月止めても意味はない。技術開発が進むのは止められないし、止めるべきだとの意図もオープンレターにはない。しかし昨今の急速なAIの進化に対して、AIを巡るリスクに関する一般社会や政策側における議論が追い付いていない。世の中の関心を高める必要があると考えて署名した」。自らもAIの研究開発を進めている高橋教授は、悩みながらもオープンレターに署名したと語る。

 オープンレターを公開したFLIは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の物理学者であるMax Tegmark(マックス・テグマーク)教授らが2014年に設立した団体で、米Microsoft(マイクロソフト)が2011年に買収した「Skype」の共同創業者であるJaan Tallinn(ヤーン・タリン)氏や米Tesla(テスラ)のElon Musk(イーロン・マスク)CEO(最高経営責任者)などが資金を提供している。
汎用人工知能(AGI)のリスクを議論
 FLIは2015年にAI自律型兵器の禁止を訴えるオープンレターを出すなど、これまでもAIの発展に伴うリスクに関する政策提言や、リスクを低減させるための技術開発を促進すべきだとの主張を継続的に行ってきた。AIに関するリスクとしてFLIが以前から着目していたのが、人間のように柔軟な思考ができる汎用人工知能(AGI)だ。
 もしAGIが実現したら、AIがより優れたAIを人間に頼らず開発し始めて、AIが際限なく進化し、人類がAIを制御できなくなる――。そんな懸念はSF作品を含めて、昔から議論されていた。しかしこれまでは「AGIの実現は数十年後」との認識が一般的であった。
 しかしここにきて、AIが急速に進化し始めた。その背景にあるのがスケーリング則だ。機械学習モデルのパラメーター数や訓練に投じる計算量・データ量がある水準を超えると、AIの性能が突然、急激に向上し始めた現象を指す。従来とは全く異なる、非連続的な速度でAIが進化している。
 この現象に多くのAI研究者が戸惑いを感じている。「非連続的なAIの性能向上がなぜ起きたか、その原理が解明できていない」(高橋特任教授)ためだ。
 スケーリング則によって危険な存在とされるAGIの完成が前倒しになった可能性がある。しかしスケーリング則の原理が解明されていない現状では、それがどれぐらい前倒しになったかが分からない。
 「AGIが社会にもたらすインパクトは巨大だが、AGIが実現する確率も時間の切迫性も不明なのが現状」(同氏)。よってまずはAI開発のスピードを緩めて、遅れているAIのリスクに関する議論を進める必要がある、というわけだ。
 それではAIのリスクに関して、今後どのような議論を進めるべきなのか。高橋特任教授は「生物学、遺伝子工学の分野が参考になる」と指摘する。

マスク氏、「トゥルースGPT」立ち上げ表明宇宙の本質理解へ=報道

2023-04-18 09:39:38 | 人工知能


マスク氏は先月、AIの専門家や業界幹部らとともに公開書簡で、チャットGPTの最新版言語モデル「GPT─4」を上回るシステムの開発を6カ月間停止するよう求め、社会にリスクをもたらす可能性があると指摘した。

社会のリスクが、六ヶ月の開発停止でどうにかなるのだろうか、それとも今後六ヶ月の開発が進んだ場合、どのような社会的リストがあるというのだろうか、とても気になる。これは、マスク氏の開発をするまで、まってくれと、言っているのだろうか


カールソン氏とのインタビューでも、AIに関する警告を繰り返し、「AIは航空機の設計や生産メンテナンスの不適切な管理や自動車の不良生産よりも危険だ」と指摘。「文明を破壊する可能性がある」と述べた。

文明を破壊する可能性とは、謎である。文明を表現しているようなAIが文明を破壊するというのは、どういうことか、このまま開発が進めば、AIに人間が支配されるということだろうか。

マスク氏、AI企業設立チャットGPTに対抗

2023-04-15 08:08:29 | 人工知能


今から、設立して「チャットGPT」を越えるAIを安全性高くして作成できるのだろうか。

作れる自身があるために会社を設立するのだろうから、何か策はあるのだろうけど、AIの安全性とは、オープンなことなのだろうか。

しかし、いくらオープンにされても、理解できないようでは困ってしまう。

AIの危険が分かるくらいには、自分を高めておかなければ何も気づかない人間になってはいけないと思う。

そんな人間ばかりになってしまったら、便利、すごいからと、言って使用しているうちに、AIに支配されることがないように、今のうちから、AIの安全性とは何かを一人一人が考えていかなければならない時代になっているのだろうな。


 

バイドゥ「中国版ChatGPT」開発も

2023-03-31 20:04:49 | 人工知能
中国版は、悟空ではなかったっけ?
バイドゥ(百度、baidu)がついに「文心一言」(ERNIE Bot)をリリースについて

しかし、中国は、なんでもはやると、中国版を作ってしまう(どんなに遅れていても)のは、すごい日本も負けないでほしいなぁ
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バイドゥ「中国版ChatGPT」開発も 大規模言語モデル「いくつも必要ない」

中国バイドゥ、対話型AIを発表(写真:AP/アフロ)
【新連載】デジタル中国
米スタートアップOpenAIが、対話型人工知能(AI)「ChatGPT」を発表して4か月。マイクロソフトが自社のプロダクトに同技術を活用し、グーグルも対話型AI「Bard」をリリースしたことで、同技術への関心が高まり続けている。
一方、OpenAIがサービスを提供していない中国では、企業の間で「中国版ChatGPT」を開発する機運が活発化し、検索ポータル最大手のバイドゥ(百度、baidu)がついに「文心一言」(ERNIE Bot)をリリースした。同技術を巡って中国でどんな動きが起きているのか、紹介したい。

AI関連企業の株価が爆騰

この記事を読んでいる人は、ChatGPTがどんな技術であるか、自身で試して、あるいはSNSなどを通じて知っているだろう。筆者のSNSのタイムラインにも、自分の勤務先について質問したり、悩みを相談したり、原稿を書かせたりした結果が日々表示され、大喜利状態になっている。正確で自然な回答が示されれば、「ChatGPTすごい」と驚き、でたらめの回答が示されても、それはそれで盛り上がる。ITに詳しくなくても遊べるので、日本では娯楽的要素を伴って急速に知名度を上げた。だが中国の状況は違う。
ChatGPTは中国のIPアドレスや電話番号で登録できないため、日本のようなユーザー発の盛り上がりは起きなかった。代わりにChatGPTにスポットライトを当てたのは、常日頃から儲かりそうなネタを探している投資界隈だ。
1月下旬、米ニュースメディアのバズフィードがChatGPTに使われている技術を使って編集コンテンツを作成すると報じられ、株価が200%以上急騰すると、中国でも「恩恵を受けそうな企業」漁りが始まった。中国の投資情報会社には「深?、上海で上場しているAIに関係する企業はどこか」との照会が殺到し、大赤字を出しているAIスタートアップも、マイクロソフトと取引しているだけの中小企業も株価が上がった。WBCで日本代表が優勝し、大谷工業や村上開明堂の株価が突然上昇したような状況に近い。
"異常な"株価上昇に、証券取引所も当該企業を監視リストに加えたり、事業の中身を確認する質問書を次々に送った。多くの企業は市場の熱狂から距離を置こうとしたが、経営危機に瀕する海外高級ブランド通販サイト「寺庫(SECOO)」のように、突然「対話型AIを事業に組み入れる」と発表し、株価上昇を狙う企業も現れた(実際に株価は爆騰し、「なりふり構わぬ延命策」と炎上した)。

AI企業への転換を進める

次に注目されたのが、「中国版ChatGPT」開発競争だ。マイクロソフトが自社プロダクトにOpenAIの技術を搭載すると発表し、グーグルの対話型AI「Bard」開発が明らかになると、中国のメガテック企業の同様の動きも続々と報じられた。
中国EC2位の京東集団(JD.com)は2月、産業版「ChatGPT」の開発を表明し、同月10日に「ChatJD」の商標を申請した。アリババグループのグローバル研究機関であるアリババDAMOアカデミー(中国語:達摩院)でも、対話型AI技術が内部テストの段階まで進んでいるようだ。
中でも「中国版ChatGPT」の開発企業として本命視されたのは、検索ポータル最大手のバイドゥだ。同社はライバルだったアリババ、テンセントの2社に業績で突き放されたことから、2017年以降AI企業への転換を進め、2021年には自動運転機能を搭載した電気自動車(EV)の開発も発表した。マイクロソフトがChatGPTに使われている技術を自社の検索エンジン「Bing(ビング)」に搭載したことから分かるように、対話型AIは検索に破壊的変革をもたらすと期待されている。AIの技術と検索サービスを通じたデータの蓄積、そして応用シーンの全てを兼ね備えたバイドゥは2月7日に、「2019年から開発を続けている大規模言語モデル『文言一言』を3月中にリリースする」と発表し、3月16日に「文心一言」の発表会を開いた。

文心一言は「方言」を理解

文心一言がテキストベースで対話できる点はChatGPTと同じだが、ChatGPTにはない独自の強みが2点ある。
一つは「中国語理解」の深さだ。英語理解は米国のプロダクトに遠く及ばないが、バイドゥの李彦宏最高経営責任者(CEO)によるとことわざ、歴史上の人物、地名、詩、小説など中国固有の言葉を広く理解して正確な回答に導けるという。「国産」を強調するためか、方言の音声にも対応した。中国の有名な詩を、「四川方言」「広東語」「東北方言」などで暗唱させることができ、ユーザーが試す様子が既に動画サイトで配信されている。李CEOは方言機能を「皆が楽しんでくれれば」と語っており、まだ社会実装の詳細が見えないプロダクトを多くのユーザーに触れてもらう仕掛けの役割を果たすだろう。
また、「文心一言」は「〇〇を描いて」と入力すると画像を表示してくれる画像生成機能を有している。OpenAIが3月14日(米国時間)にリリースした大規模言語モデルの最新バージョンGPT-4は画像を理解する能力はあるが、画像生成はできない。ただしユーザーのフィードバックを見ると、「文心一言」の画像生成の精度は高くなく、SNSでは「××を描いてと頼んだらこんな画が出てきた」と面白画像コンテストのようになっている。「文心一言」は動画生成も準備しているが、3月16日には公開できるレベルに到達せず、機能のリリースを見送った。

「GPT-4には2年遅れ」との声も

李彦宏CEOは記者発表後に、中国テックメディア36Krのインタビューに応じ、「現在の文心一言はChatGPTの1月の水準」と、2か月の差があると語っている。完成度をもっと上げて世に出したかったようだが、リリース前に650社が協業を表明するなど、「(OpenAIのプロダクトを使いづらい)中国企業の強い焦燥感」が、バイドゥを急かしたという。発表会中にバイドゥの株価が10%下がるなど、市場もプロダクト完成度に敏感に反応しており、同社は3月27日に企業が文心一言を使うためのクラウドサービスを発表予定だったが、直前で発表会を取りやめ、個別説明会に変更した。
中国ネットセキュリティー大手、奇虎360董事長兼会長の周鴻?氏は、中国企業の大規模言語モデル技術はGPT-4とは2年の遅れがあると分析した。「OpenAIの技術革新スピードは想像以上で、中国企業が追い付くのは容易ではない」と認めつつも、「この流れに乗らなければ淘汰されてしまう」との見解を示した。
ChatGPT、グーグルのBard、バイドゥの文心一言と対話型AIがリリースされ、今はその優劣に関心が向かっている。また、中国ではIT業界出身の起業家が「中国のOpenAIをつくる」と続々プロジェクトを立ち上げている。だがバイドゥの李CEOは「AIに破壊的変化をもたらすこの技術をどう生かしていくかを考えるべき。大規模言語モデルはAIのOSのようなもので、いくつも必要ない。中国にOpenAIのような企業は現れないだろうし、スタートアップを含めたIT企業はChatGPTの後を追うのではなく、その技術を基盤にした画期的なプロダクトをつくった方が恩恵が大きい」と指摘している。<J-CASTトレンド>