どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

お静かに、父が昼寝をしております・・ユダヤの民話

2018年08月18日 | 昔話(外国)
             お静かに、父が昼寝をしております/母袋夏生:編・訳/岩波少年文庫/2015年


 しゃれたタイトル、これだけでワクワクします。もっとも子どもにとってはあまりタイトルは関係ないでしょうが。

 ダマというところに、イスラエルの大祭司からの使者がやってきて、ヤシュフエ(碧玉)をどうしてもほしいと大金をつまれますが、ダマは、父親がねむっているので、いくらお金をつまれてもヤシェフエをゆずることはできないとことわります。

 ダマは、父親が昼寝をしているときに、おこされるのを好まないといいます。そのため商売熱心な一家ですが、午後の2時から4時までは店を閉めているというのです。

 使者は、ダマの親への気配りに感心し、親に孝行をせよという戒律の大切さを思い出します。

 それから一年後、今度は特別な赤牛が必要になり、又使者がダマのところにやってきます。

 父親は、また昼寝をしているところでしたが、赤牛は金庫にしまわれていなかったので、今度はダマは商談に応じます。

 ヤシュフエとおなじ代金で赤牛をうることにしたダマは「親を敬って多大に損をし、また多大にもうけてとりもどした」と、父親に話をすることにします。

 ヤシュフエは、金庫にはいっていて、そのカギは父親の枕の下の財布にはいっていたのでした。


 「ベニスの商人」のシャイロックをまつまでもなく、親への孝行と商売をうまく両立させるユダヤ人のしたたかさを感じさせてくる話です。

この記事についてブログを書く
« 二つ目のおばけ | トップ | 赤ギツネの策略・・エスキモ... »
最新の画像もっと見る

昔話(外国)」カテゴリの最新記事