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プログラマ視点でみたシリコンバレー シーズン5(4)

2019年02月20日 00時43分24秒 | テレビ番組
いよいよシーズン5もラスト。
怒涛の展開が待ち受けています。


<ネタバレあり>


第7話「新規仮想通貨公開」

ようやくローリーからシリーズBの条件概要書を提示され、目前に迫った増資に喜ぶリチャードたち。

リチャードがローリーにあげたクレジットは転売され続け、買いもどすには160万ドルも必要になってしまっていました。
それを聞いたギルフォイルはリチャードに仮想通貨の公開を提案します。クレジットが高額になるということはそれだけパイド・パイパーが評価されているといえるからです。
反対するリチャードですが、仮想通貨で資金を集めることができればVCの出資を受ける必要がなくなり、以前のようにCEOの座を追われるリスクもありません。
心を動かされたリチャードはモニカに相談します。しかしVCの枷から逃れるための仮想通貨公開の相談をVCにすることに呆れるモニカ。当然反対します。

ヤオの根回しにより、中国でボックス3の生産ができなくなったギャビンはノースカロライナのゴールドブライアーという町から工場の誘致がきていることを知ります。
しかし町長に突きつけた過酷な要求が仇となり、工場は焼け落ち、製造のためのレアメタルも失われました。

シリーズBの条件概要書を見たモニカは、パイパー・ネットの収入源に広告がはいっていることを知り、ローリーに反対します。
リチャードが広告に反対していたし、モニカも広告はださないと約束していたからです。しかし、共同経営者のモニカの意見を受け入れる気がないローリー。
モニカはリチャードにこのことを告げ、条件概要書へのサインを止めさせ、新規仮想通貨の公開を勧めます。
ラス・ハンネマンも36社で新規仮想通貨公開を行いましたが成功したのはたった1社だけ。それだけリスキーなことを専門家なしではやれないリチャードはモニカをパイド・パイパーに誘います。
そしてついにモニカもパイド・パイパーの一員になったのでした。
が、公開された仮想通貨の価格は思惑よりもはるかに低額でした。

一方、ローリーはヤオとの提携を進めていました。


ギルフォイルがリチャードにプレゼンした資料は公式サイトで見ることができます。全22ページの力作です。
モニカが、「ユーティリティ・トークンなら証券の知識はいらない」について解説します。
仮想通貨が公開されるとトークンというものを配布します。これが通貨みたいな役割りになります。
トークンには大きく分けてセキュリティ・トークンと、ユーティリティ・トークンという2種類があります。セキュリティ・トークンは有価証券と同じ扱いとなり、扱う業者は国の許可が必要となります。
ユーティリティ・トークンは例えばクラウドのリソース(サーバリソースなど)のようなサービスにアクセスする権利です。
パイド・パイパー・コイン(PPC)については劇中ではほとんで語られておらず、公式サイトの説明を読む必要がありますが、パイパー・ネットにデバイスを提供するとコインを取得できる仕組みとなっているようです。
そしてそのコインで自分のアプリのリソースを得ることができるようです。また、自分のスマホなどのストレージもPPCで購入することができるようです。
ちなみに公式サイトによるとモニカの役職はCFOです。




最終話「51%の死闘」

ついにパイパー・ネットがローンチを迎えました。
しかしユーザは増えず、その間にKホール・ゲームズ社は抜けてしまいました。

2カ月がたち、社員の多くも去ってしまいましたが、急激なユーザ数の増加がはじまりました。
祝杯をあげるリチャードたちのところに、裏切ったKホールのコリンが姿を現します。
彼はローリーに唆されてパイパー・ネットから抜けたものの、自身もCEOを追われた身の上でした。そして1人で作成したゲーム「ガルーの門」の8万人のユーザを手土産にパイパー・ネットへの参加を頼みに来たのでした。
が、リチャードは散々侮辱して追い返します。

ギャビン・ベルソンは、ボックス3の製造をまったく進められていないことから、再び取締役会でクビを言い渡されました。フーリーはアマゾンに身売りされることになったのです。

パイパー・ネットのユーザが増えれば上昇するはずのパイド・パイパー・コイン(PPC)の値段があがっていません。
ギルフォイルが開発者ごとのユーザ数を調べてみると、パイパー・ネットに加わっている7社のユーザ以外にも非正規のユーザがいることがわかりました。そんな真似ができるのはコードを盗んだチアン・ヤンしかいません。
本人に事情を聴くと、チアン・ヤンのコードはヤオに横取りされていることがわかりました。すなわち、ローリーはKホールをパイパー・ネットから抜けさせてユーザ数の増加を抑えたうえで、ヤオの工場で大量生産したスマホからチアン・ヤンのコードを使いパイパー・ネットへ接続していたのでした。ユーザの51%を握るとパイパー・ネットのルールを変更することができます。
ローリーはこの51%攻撃でパイパー・ネットを潰す作戦にでたのでした。

ヤオのユーザが51%に到達するまでの猶予は4時間。しかしそれを防ぐためのパッチの開発には8時間は必要です。また、仮にパッチができても実行するのには51%のユーザが必要です。
ディネシュとジャレッドは51%のユーザを確保するため、コリンを探しに行きます。

一方、リチャードはギャビン・ベルソンの屋敷へ行き、ボックス3でユーザ数を増やし、ヤオへ復讐することを提案します。
ボックス3で大量のユーザを作り、ヤオの51%獲得を阻止し、時間稼ぎは成功したかに見えましたが、今度はギャビンがヤオ、ローリーと手を組み、逆に乗っ取ろうとしました。
パイパー・ネットをつぶすパッチはフーリーの分散コンピューティングのエンジニアたちが作成しました。
ヤオに手を引かせ、51%を単独で手に入れたギャビン。しかしリチャードの機転を利かせた時間稼ぎが功を奏し、コリンのユーザが加わったパイド・パイパー側ユーザが51%を確保。パッチ適用でボックス3のユーザの排除に成功しました。
PPCも急激な値上がりを始めました。

そしてパイド・パイパーは大会社に成長します。


51%攻撃のモデルになったのはビットコインと思われます。
これについて、本質的には劇中のものと違うのですが簡単に解説します。
中央サーバで管理する仕組みのないビットコインは、一定期間ごとに過去からの取引記録の検証(コンピュータによる暗号解読)を有志が行います。この貢献度合いに応じた報酬がビットコインで支払われます。
この行為をマイニングと呼び、マイニングを行う人たちをマイナー(採掘者)と呼びます。ただ、現在では報酬をもらえるほどの計算力を有するにはマイニング専用に調整された高性能のサーバ(ASIC)が大量に必要になるため、個人でやれる行為ではなくなっています。ギルフォイルもマイニングにリチャードのアルゴリズムを加えたら性能があがったといっているシーンが過去にありました。
このマイニング計算能力の51%を特定のマイナーができるようになった場合、新規の取引記録の改竄ができるようになります。これが51%攻撃です。
もっともこれができた場合、ビットコイン事態の価値が暴落すること、必要なサーバ・設備に膨大なコストがかかることから、理屈では可能ですが実利がないので誰もやらないだろう、という楽観的な見解もあります。
ちなみにビットコインなどの仮想通貨はP2Pのネットワークプロトコルで成り立っており、ある意味パイパー・ネットと似ています。

モニカが「パイパー・ネットのユーザが増えれば比例してPPCの価値も上がるはず」と発言していますが、実際のところPPCについてほとんど言及されていないのでその仕組みは謎です。
ただ、パイド・パイパーの公式サイトを見ると、ユーザが自分のスマホの容量や速度を上げるため、や、デベロッパーが自分のサーバのリソースを増やすためにPPCが必要と書いてあるので、ユーザが増える=PPCが分散できるデータ用スペースが増える=スペースを利用するためのPPCの価値が上がる、という構造なのかな、と個人的に推測しています。
フーリーを追われたギャビンを誘ってきたというティム・クックはアップルのCEOです。
コリンを探しにディネシュたちが向かったロス・トランコスは断層で有名な場所で、地質学の研究者が多く訪れます。また、そこで行われていたバーニングマンとはアメリカで行われる祭です。



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