女ひとり、歳をとる。

最近は午前中にスポクラに行くことが増えました。

午前中は年配の利用者が多く、

さながら高齢者のデイサービスのようです。

でも、筋トレ用のマシンを使う人が少なくて、

待たずにマシンを使えます。

そんなある日、

ロッカールームで着替えをしていると、

70代のご婦人がわたしの横でずっと立っていました。

なんで？

ほかのロッカーは空いているのに・・・、

と、その人をチラッと見ると、

「いつも同じ所を使ってるのよ。

別の所にすると、あとでわからなくなっちゃうから」

「あっ、そうですよね。わたしもそうですよ」

なぁ～んだ、そういうことだったんですね。

わたしの下のロッカーを使いたくて、

わたしが退くのを待っていんです。

わたしも自分のロッカーが分からなくなって、

鍵を持ってウロウロしたことがあります。

友人のKちゃんの上司は75歳、

ずっと仕事を続けていて、とても聡明な女性とのことです。

ある日その上司が言いました。

「目薬を差さなきゃならないから、お弁当食べるわ」

「えっ、目薬ですよ」

「だって、薬の前に何か食べなくちゃ・・・、

あっ、目薬か？」

そのことにびっくりしたKちゃんから、

後日電話がありました。

「ねぇ、おかしいでしょ?」

「普通だと思うけど」

「だって目薬だよ」

「だけど75歳だし、そんなこともあるでしょ」

「6月の目の手術の後、ずっと目薬の前に何か食べてたみたいよ」

「うん、そういうこともあるでしょ」

わたしは加齢とともに、

自分の勘違いや、物忘れが多くなって、

最初はそれが普通の老化現象だと分からずに、

とても辛く感じていました。

でも、日が経つにつれ、

自分の老化を自然なことだと思えるようになり、

他人の老化現象も理解できるようになりました。

多少の個人差はあるけれど、老化現象は誰にでも起こること。

やっと、そう思えるようになりました。

スポクラや職場で、電車の中やスーパーで、

老化現象に出会ったら、微笑んでみようと思います。

自分にも、隣の人にも・・・。