山本藤光の文庫で読む500+α

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知だらけ071:考えるヒント本を3冊

2018-08-20 | 新・知だらけの学習塾
知だらけ071:考えるヒント本を3冊
――第5講義:考える
小林秀雄『考えるヒント』(全4巻、文春文庫)には、考えるためのヒントが満載されています。最初に巻末解説の、江藤淳の応援演説を紹介させていただきます。

――ところで、この本の読者は、どのページを開いてみても、読むほどに、いつの間にかかってないようなかたちで、精神が躍動しはじめるのを感じておどろくにちがいない。それは、いわば、ダンスの名人といっしょに踊っているような、あるいは一流の指揮者に指揮されてオーケストラの演奏をしているような体験である。(解説より)

江藤淳が書いているように本書を読むと、ものごとを深く考えるとはこういうことなのだ、と気づかされます。小林秀雄の領域に到達するのは至難の業ですが、何かを見る、そこから思考を展開するという所作は参考にできます。

――考えるとは、合理的に考える事だ。どうしてそんな馬鹿げた事が言いたいかというと、現代の合理主義的風潮に乗じて、物を考える人々の考え方を観察していると、どうやら、能率的に考える事が、合理的に考える事だと思い違いしているように思われるからだ。当人は考えている積りだが、実は考える手間を省いている。そんな光景が到る処に見える。物を考えるとは、物を掴んだら離さぬという事だ。画家がモデルを掴んだら得心が行くまで離さぬというのと同じ事だ。(小林秀雄『考えるヒント1』「良心」P67-68)

外山滋比古『思考の整理学』(ちくま文庫、500+α紹介作)は、考えることと忘れることに言及した著作です。こちらは思考の飛躍が極端で落ち着きませんが、考える方法の入門書としてわかりやすいと思います。詳細については、「山本藤光の文庫で読む500+α」を参照してください。

もう1冊、丸谷才一『思考のレッスン』(文春文庫)もお薦めです。こちらも「山本藤光の文庫で読む500+α」で紹介しています。考えるレッスンの基本は読書と書かれています。本を読み、どう考えを深めるべきかが解説されていますので、ぜひ読んでみてください。

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