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「日中和解は失敗する」byワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)の日本部ジェフリー・ホーヌング氏 何故なら、いくら協力体制を築いても「限界がある」から

2018-12-12 07:23:01 | 日記
「日中の接近は失敗に終わる」米国から新たな批判
2018/12/12 06:00


(古森 義久:ジャーナリスト、産経新聞ワシントン駐在客員特派員)

 安倍晋三政権が現在進めている和解的な対中外交は失敗する――。こんな辛辣な批判が、米国の主要研究機関の論文で表明された。

 日本と中国は互いに融和の姿勢をみせ接近を試みているようだが、日中両国間には戦略面で基本的な相違がある。そのため、和解的なアプローチは必ず失敗するだろう、という趣旨の見解だった。

日本の対中外交への否定的見解が相次ぐ

 日本の最近の対中外交に対しては、米国の別の専門家から「トランプ政権が中国と対立しているときに日本が中国との協力を進めることは、米国外交への妨害であり米国の利益に反している」という意見もすでに発表されている(当コラム「安倍政権の『中国接近』に米国で痛烈な非難の声」2018年11月14日)。

 その意見は 米国が日本の対中外交をどう受け止めているかに関する指摘だったが、今回の批判は、米国の反応よりも、日本と中国の関係そのものに言及している。すなわち、日本と中国は相互の戦略利害があまりに相反するため協調の道は進めない、と断じているのだ。

 この論文は12月6日にワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)の日本部が日本外交研究の一環として発表した。執筆者は米国の中堅学者、ジェフリー・ホーヌング氏である。論文には「日中和解は失敗する」というストレートなタイトルが付けられていた。

 ホーヌング氏は日本や東アジアの安全保障を専門の研究分野とする学者で、これまでにも活発な研究や調査の結果を発表してきた。現在は、安全保障研究では米国最大手の「ランド研究所」の研究員を務めている。ジョージ・ワシントン大学で2009年に政治学の博士号を取得し、東京大学やジョンズ・ホプキンス大学高等国際関係大学院(SAIS)にも学んだ経歴がある。ワシントンの「笹川平和財団」の研究員だったこともある日米安全保障に詳しい専門家である。

日中が歩み寄れない3点の対立

 ホーヌング氏はこの論文で、まず安倍首相の10月下旬の中国訪問を取り上げ、安倍首相が7年ぶりに中国を訪問し、「日中間の通貨交換(スワップ)協定の再開」や「第三国でのインフラ投資協力」を中国側と合意したことを紹介する。

 また、防衛面でも日中協議が催され、緊急時のホットラインの合意が確認されたことに触れ、「こうした動きをみると日中両国は相互の関係を改善したようにもみえる」と記す。

 だが、ホーヌング氏は「その印象は間違いだと言える」と続ける。その理由としては「日中両国は現実には戦略的競合の状態にある」からだ。「両国間には少なくとも3点の基本的な主張の相違がある」「だから、現在の日中両国の和解ともみえる外交は失敗する」と断じるのだ。

 ホーヌング氏は、その日中間の3点の戦略的な相違として、以下を挙げていた。

(1)尖閣諸島をめぐる対立

 日本は尖閣諸島を固有の自国領土だと宣言し、中国との交渉には応じない。一方、中国も同島を釣魚島と呼び、明朝時代からの中国領だと宣言して、尖閣諸島周辺の日本の領海に頻繁に侵入している。両国の対立は交渉を排除しており、いわば紛争状態にある。和解の方法はみえていない。

(2)脅威認識の違い

 中国は米国を自国の安全保障への最大の脅威とみなしている。米国の同盟国である日本についても、東シナ海、南シナ海の紛争への姿勢は中国への脅威だと断じている。一方、日本は中国の軍拡全般や日本の領海、領空への頻繁な侵入を脅威とみなしている。そこで日本は抑止や防衛のために防衛力を増強しようとしているが、中国側はそれを脅威とみる。

(3)国際秩序への見解の違い

 中国は、既存の国際秩序が自国にとって不利で制約が多すぎるとみなし、その変更あるいは打破を目指している。そのためには、近隣諸国に対する強引な強制措置も辞さない。一方、日本は世界の中でも珍しいほど国際秩序の維持に努める国だといえる。

いくら協力体制を築いても「限界がある」

 そのうえで、ホーヌング氏は日中関係の展望について、主に次の諸点を述べていた。

・安倍首相の訪中は、日中両国が歴史問題と領土紛争で対立して非常に険悪だった2012年頃に比べると、変化した状況を生んだ。両国は紛争案件を脇におき、経済や貿易などの分野で互恵関係を築ける方法を推進しようとしている。両国はこれまでよりは上手に当面の二国間関係を管理できるようになった。とくに中国側の対日態度の軟化が目立つ。

・しかし日中関係の基本につながる戦略的な政策や見解の対立は、現実的にはまったく解決できていない。その解決がみえない限りは、和解的な外交をいくら進めても限界がある。今回の安倍首相の訪中は、両国首脳が未解決の対立をうまく避ける管理方法を発展させただけともいえる。

・だが、日中両国による対立の管理が少しでも後退や崩壊をみせたときには、未解決のままの戦略的対立が表面に出て、二国間関係全体がすぐに険悪になることは確実だといえる。日本も対象に含む中国の対外関係は、これまでの歴史がその実態を物語っている。

 戦略国際問題研究所が発表したホーヌング氏の論文は、日中関係の現状と展望について以上のような厳しく鋭い分析を述べていた。もしも日本が本気で中国との和解外交を推進するのだとしても、その見通しは厳しく、失敗するだろう、という鋭利な診断だともいえる。


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