頭がわるいから試験に受からない?… ~頭の良さ、記憶力と資格試験~

 自分は記憶力がないから試験を受けてもどうせ受からないという人によく出会います。子供のころから学生の頃にいたるまで、学力で人に秀でたことなど無いのだから国家試験など受かるはずもないと思い込んでいる人が実にたくさんいるのです。 

試験に受かること、資格をとることが、人生において不可欠とまでは思いません。 けれども私にとっては多くの人が思い込みや誤解、誤認によって自分の可能性を狭めてしまっていることが残念でなりません。 


記憶力を要する試験、記憶力の要らない試験 

さまざまな試験の中には、多くの事柄を暗記しなければならない、並外れた記憶力を要求される試験もあります。しかし試験の多くは、記憶力よりも、思考力、理解力、あるいは繰り返しの訓練によって磨かれる「技能」を測るものであって、必ずしも記憶力を要しないのです。 


試験の性質を俯瞰する 

試験には、技能試験、知識試験、適性試験、思考力・理解力試験…といった、さまざまな「性質」があります。いくつかの試験について、これらのうちどれに当てはまるのかを、検証してみたいと思います。 


日商簿記検定試験 

簿記検定は典型的な「技能試験」です。技能試験とはすなわち、繰り返しの練習によって錬磨される技能を判定する試験です。つまり、記憶力にはあまり依拠しない試験といえます。逆に言えば、多少頭がよい人、記憶力に優れた人といえども、練習を積み重ねなければ合格できない試験です。地道な人が、要領の良い人に打ち勝つ試験です。 


ファイナンシャル・プランニング技能士試験(FP試験) 

FPはやや暗記する項目の多い知識試験です。税率や利率、計算式のように、数値的なものを暗記しなければならないことも多く、従って記憶力に自信のない人にはやや不利な試験と言わざるを得ません。しかし、逆に言えば、特に3級は、暗記さえしてしまえばよい試験とも言えます。FP試験には学科試験と実技試験の2区分がありますが、いずれについても同様です。2級にになると、ある程度、思考力・理解力試験、そして技能試験的な要素も出てきます。結論として、FP試験は 記憶力に依拠するところの多い試験です。 


ビジネス実務法務検定・宅建士試験・行政書士試験 

法律の試験は、記憶力の闘いと信じている人が多いのだろうと思います。しかし、実際には記憶力ではなく、理解力・思考力の試験だと思います。とりわけ、論理の流れをつかむ、ある論理を別の事象に当てはめる、置き換える、さまざまなスタイルで、本質を理解する力が問われると思います。多少記憶力が優れていても、理解・思考ができなければ合格しません。 


試験の難易度も人によって変わる 


資格試験の難易度ランキングというサイトが多数ありますが、実際に資格試験を受験する場合、上に書いたような、個々の試験の性質が自分の適性と合っているかどうか、ということのほうが、合否までの道のりに大きく影響します。つまり、試験どうしの難易度の高低比較は、人によって大きく違ってくるのです。 


たとえば、あるサイトでは、社会保険労務士試験(社労士試験)が行政書士試験とほぼ同じ難易度とされています。しかし、社会保険労務士試験は、たくさんの事柄を暗記しなければならない試験であるのに対し、行政書士試験は判例の理解がメインの試験である、という風に、試験の性質が大きく異なります。ですから暗記が得意で文章の理解は苦手という人には社労士試験のほうが易しく感じられるでしょうし、反対に、文章理解が得意で暗記は苦手な人には、行政書士試験のほうが取り組みやすいでしょう。 


以上のように、試験には、記憶力を要求するものと、記憶力があまり関係しないものとがあります。仮に「頭がよい、頭がわるい」というのが、記憶力のことを指しているのであれば、試験には頭のよい悪いと関係のないものが多いのだ、ということが言えます。 また 大抵の場合、勉強や練習の量によって、記憶力の個人差など問題にならないくらいのレベルにまでカバーされ得るものです。くれぐれも、「頭がよい、頭がわるい」といった曖昧な概念によって安易な見切りや妥協をし、可能性を捨ててしまわれることのないよう願ってやみません。

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