リスタートのブログ

住宅関連の文章を載せていましたが、メーカーとの付き合いがなくなったのでオヤジのひとり言に内容を変えました。

ハンドタオルふたたび

2019-10-06 05:47:00 | オヤジの日記

娘が、木曜金曜の2日間代休を取った。

お盆休みに2日出勤したときの代休だという。

 

「おまえ、いまだに『ミーちゃんロス』を引きずっているだろ」娘に言われた。

「出かけようぜ。みなとみらいに」

慰めてくれるようだ。

横浜みなとみらい21。

私にとっては、馴染み深い場所だ。

小学校高学年のころ、よく行くのは中目黒から二駅目の渋谷だった。しかし、たまに東急東横線を使って横浜まで行った。そして、桜木町駅まで歩いた。東横線は桜木町まで繋がっていたから、直接桜木町に行くのが賢い方法だ。だが、私はおバカだから、横浜から高島町、桜木町まで歩いた。

途中に、バッティングセンターが2つあったからだ。渋谷にも恵比寿にも目黒にもバッティングセンターはあったが、横浜のはデカさが違った。渋谷の2倍以上のデカさがあったのだ。

そのデカさが気持ちよかった。左打席用が多かったのもありがたかった。存分に打たせてもらった。

当時の桜木町は田舎くさかった。横浜や元町、伊勢佐木町に比べたら、埋もれた街と言ってよかった。

だが、その埋もれた街感を私は気に入っていた。その埋もれた街を少し歩いて行くと横浜の海があった。

広い海。沖を貨物船が何隻も通って行く。私は、それを肉まんを食いながら飽きずに見ていた。いくらでも見ていられた。

 

結婚して横浜日吉に住んだとき、横浜桜木町は、さらに身近になった。

そして、その頃から桜木町は徐々に変貌していくことになる。

「みなとみらい21」の計画が始まったからだ。

私は、その計画をリアルタイムで見てきた。ベイブリッジができ、ランドマークタワーが建ち、コスモワールド、赤レンガ倉庫ができて、中華街まで交通機関が繋がるようになった。

田舎くさい桜木町は巨大プロジェクトの中で本当に埋もれた。

私は「昔はよかった」という考え方が好きではない。あの田舎くさい桜木町は、私の心の中にあればいい。

みなとみらいは、いいところだ。「みらい」を感じる居心地のいい場所だ。

 

そのみなとみらいに娘と来るのは5回目だ。

過去4回のうちの2回はミーちゃんもいた。食い放題の店で、爆食した。爆食したのは、ミーちゃんだけだったが。

「今回は食べ放題じゃなくて、ラーメンだ」娘が言った。

就職してからの娘は、ラーメンにハマっていた。金曜日の夜は会社の同僚と必ずラーメンを食って帰った。1年半で100軒近いラーメン屋に入った。

最初は蒙古タンメン中本に偏っていたが、会社の先輩に連れていってもらった広州市場のワンタン麺を食べて、その奥の深さに娘は衝撃を受けた。

「1つのものにこだわってはダメだ。ボクは、これから色々なラーメンを食べるぞ」

ただ、娘は私と同じで雑な性格をしているので、ネットであらかじめ調べるということはしない。

行き当たりばったりで、自分の勘に触れた店に突発的に入ることが多い。

今回も何も知識を仕入れることなく、「ああ、この店がいい!」と店構えを見て決めた。

横浜家系だって。なんだよ、その家系って。「カケイ」って呼んで娘に笑われたぞ。しかし、正しい日本語としては「カケイ」ではないのか。

「おまえ、みっともない文句を言うんじゃないよ。世の中のしきたりに素直に従え」

はい、そうします。

 

娘は「イエケイラーメン」を頼んだ。私は餃子と生ビール。

注文したものを待っているとき、「そういえばな、またスマホを家に忘れた」と娘が言った。

娘と私の似ているところは、たくさんあった。いくら食っても太れないところ。日本茶が苦手。映画は1人で観る。酒が強い。海老の天ぷらは好きだが、エビフライは苦手。はんぺんとコンニャクを忌み嫌っているところなどなど。

そして、スマートフォンをよく忘れる。

娘も私と同じで、突然無神経に鳴り出す電話が好きでない。「どうせ、たいした用事じゃないんだろ。メールかLINEをよこせよ」

スマートフォンを家に忘れたら、不便じゃないのか、という疑問はあると思う。

そんなときのために、必ず娘はiPad mini、私はiPad Airをカバンに入れてあるのだ。これがあれば連絡は取れる。スマートフォンがなくてもなんの問題もない。

iPadの優れたところは、電話機能がないことだ。iPadが世に出たとき、Appleさんは、なんて素晴らしいものを作ってくれたんだろう、と私は感激のあまり、すすり泣いたほどだ。

ミーちゃんも実は、家にスマートフォンを忘れる子だった。だが、大手飲料メーカーの営業職に就いてから、肌身離さずスマートフォンを持ち歩くようになった。

営業さんにスマートフォンは必須ですからね。

 

ミーちゃん。

 

「うまいな、このラーメン。太麺がスープとうまく張り合ってるぜ。ミーちゃんも気に入っただろうな。ミーちゃんに食べさせてあげたいな」

結局、君もミーちゃんロスを引きずっているじゃないか。

 

食い終わって、赤レンガ倉庫まで歩いた。ここでも行き当たりばったりで、カフェに入った。

2人して、フランスの地ビールを頼んだ。一杯800円。さっき食ったラーメンも800円だった。フランス地ビール、あまり好みではなかった。コストパフォーマンス的にどうなの?

「文句を言うな。カフェは、雰囲気を楽しむものだ。雰囲気を飲んだのだと思いたまえ」

はい、わかりました。

 

そのあと、コスモワールドに行った。

高所恐怖症の2人が、観覧車に乗った。

ミーちゃんと行ったとき、ミーちゃんが必ず乗りたがったからだ。

観覧車がてっぺんに。暮れて行く街と空、海。水平線が地球を感じさせた。この空は、ミーちゃんが暮らす金沢に繋がっているんだよね。

娘が、iPad miniで写真を撮った。5枚くらい撮っていた。私は1回。

「これをミーちゃんに送るぞ」

LINEで送ったようだ。

返信は、すぐに来た。

「横浜だね。綺麗だね。まるで、私もそこにいる気分になったよ」

 

そうなのだ。離れていても景色を共有することはできる。ただ、距離があるだけなのだ。その距離は、お互いの心で埋められる。

朝の「おはよう」と夜の「おやすみなさい」をミーちゃんは欠かさずLINEしてくれる。

つまり、繋がっている。嬉しいことだ。

 

帰りの中央線。

いつもは相当な混みようだが、このときは、混んではいたが幸運にも2人座ることができた。

娘は、私の左に座った。娘は幼い頃から必ず私の左に座って、私の左耳に話しかけた。私の右耳が聞こえないことを幼い頃からわかっていたからだ。

息子もそうだ。必ず私の左耳に話しかけた。

ただ、私のヨメだけが、たまに右耳に話しかけた。おそらくヨメは私の右耳が聞こえないことを信じていないのだと思う。

 

「ミーちゃんとボクらが繋がっているのが、よくわかったろ」娘が左耳に話しかけた。

「ミーちゃんは、うちに来てたくさんの幸せを覚えたって言ってたぞ。特にボクたち家族の中にいる幸せをな。それまでは、ご飯を食べることだけがミーちゃんの幸せだったが、うちに来てからは、家族が最高のご馳走だってことに気づいたって」

それは、私も聞いたことがあった。

「そして、今ミーちゃんはもう1つの最高の幸せを手にしたんだ」

「よかったろ、これで。ミーちゃんの幸せは、ボクらの幸せだ」

娘は、珍しく饒舌だった。

 

さらに、娘が続けた。

「いま初めて言うけどな・・・ボクは生まれたときから、ずっと幸せだぞ」

 

 

ハンドタオルは・・・・・どこだ。

 



最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (aiko)
2019-10-06 22:47:31
をいをい
今週もかよ


泣いた。。。
Unknown (matsu1217)
2019-10-07 07:49:05
aiko 様

いつもありがとうございます。

また泣かせました?

今度は笑わせますので。
こんばんわ.... ( kiyasume)
2019-10-07 19:46:15
いいお嬢さんですね・・・

矢張り子供が居る事はいい事ですね、
私は独り身だから・・・・

処で京王井の頭線の永福町に、、
「大勝軒」と言う、

昔ながらの、煮干しと鶏ガラのスープの醤油味の
ラーメン屋があります。知って居ますか?

可也有名なラーメン屋です。
そこは、普通で2玉の麺が入って居ます。

美味しいですよ。
よかったら行って見て下さいね。

何時も見て居ます。
また来ます。。。

Unknown (matsu1217)
2019-10-08 07:51:46
kiyasume 様

いつもありがとうございます。

「大勝軒」の名は知っていましたが、永福町だったのですね。
娘は井の頭線浜田山駅近くに友だちがいるので、行ったことがあるかもしれません。

娘は、魚介系が特に好きです。
会社から帰ったら聞いてみます。

ありがとうございます。

コメントを投稿