ケンのブログ

日々の雑感や日記

京都市交響楽団第641回定期演奏会

2020年01月19日 | 日記
昨日は京都コンサートホールに京都市交響楽団第641回定期演奏会を聴きに行った。
指揮はアクセルロッドさん。

最初にベートーヴェン アテネの廃墟から序曲 作品113が演奏された。
指揮者が棒を振り下ろすとコントラバスから濃厚でコクのある音が出てきた。

僕の場合、最初の音を聴いてその演奏に対して持つ印象がかなり固まってしまうことがあるけれど、昨日の演奏はそのパターンだった。弦楽器からは生命力のある音がでていたように思う。オーボエのメロディもきれいになっていた、楽しい楽想が出てくるところも華やかで良かった。

次に演奏されたのが 独創フルート アンドレス ブラウさんで
バーンスタイン ハリル 独創フルートと弦楽オーケストラ 打楽器のためのノクターン

曲の冒頭で指揮者がかなり勢いのあるキューを出した。これはベートーヴェン同様、濃厚な音がでてくるに違いないと身構えたら予想ははずれ、暗い風景の中でタテ看板がパタンと倒れるような音が出た。

いやあ、僕が苦手な現代音楽のパターンかと思った。混沌とした音楽が続くように思った。思わずお尻が痛くなってきて体重を右に移動したり左に移動したり。こんなことではあかん。どこか演奏の魅力的な部分を見つけて、そこを聴かな。と思った。

そう思ってステージ見るとオーケストラのフルート奏者の方が並々ならぬ気合で演奏しておられることに気づいた。よし、オケのフルート奏者に注目して演奏の魅力的な部分を探そうと決心した。

しかし、おしりの痛みは続き体重を椅子がギーギー言わないように注意して右に左に移しているうちに演奏が終わってしまった。終わってみると最も熱心に拍手をしていたのは観客よりもそのフルート奏者の方であるように見えた。

きっといろんな思い入れがあったのだと思う。この奏者の方、独創フルートのアンコールも誰よりも集中して聴いたおられたように思う。こういうのを見てくるものコンサートの楽しみの一つということにしよう。

20分の休憩をはさんで次に演奏されたのが
ショスタコーヴィチ 交響曲第7番 ハ長調 レニングラード

演奏の前に木管奏者の方が何人かステージに出てこられて美味しい部分をおさらいしてくださった。ショスタコーヴィチの場合、曲の規模が大きいので管楽器だけ取り出して音を聴くと、あの部分はこんなふうやったんかと思うことが多い。勉強になった。

第一楽章
中くらい、ないしはほんの少し遅めのテンポで堂々とした曲の開始。
小太鼓が一定のリズムを刻み始める。小気味よいとも言えるし不気味とも言える。なんとも言えないリズム。

ショスタコーヴィチの音楽から出てくる音を形容しようとすると様々な形容詞が心に浮かんで結局どれか決まらないということが僕にはよくあるけれど、小太鼓のリズムがそれだった。なんしかスーッと行く感じでとても耳に心地よかったことは間違いがない。

小太鼓どこでなっとるんやと思ってステージを見てもどこでなっているのかわからない。まさかステージの袖に小太鼓が配置されているわけではなかろうにと思って探したけれど僕の席からは死角になっているらしくとうとう演奏が終わるまで小太鼓がどこで鳴っているのかはっきりとわからずじまいだった。僕が近眼のせいもあると思うけれど、、、。

その小太鼓のリズムに乗ってフルートが印象深い旋律を奏でる。単一の楽器から出ている音なのにこの音の分厚さそして圧倒的な存在感は一体何なのだろうと呆然としてしまう。

この感覚は録音を聴いてもまずわからない。生演奏と録音の印象の違いがかなり著しいのもショスタコーヴィチの音楽の大きな特色の一つだと思う。それは壮大にオーケストラがなるときだけでなく単一の楽器から音が出るときもそうである。

ずーっと同じパターンの楽想が展開なしにクレッシェンドしていって演奏は壮大に、そして破壊的になってくる。とても人間業とは思えないような音楽。つくづくすごいなと思った。

第二楽章
第二バイオリンから音が出てきた。そうかここは第二かと思った。木管楽器が他の音楽ではあまりないような悲痛ななり方をする場面もあり印象的だった。

第三楽章
楽章の途中でフルートが大陸の大平原を覆う夕暮れの空の下で大きな回想にふけるかのような印象的なメロディを奏でた。音楽が一周してビオラにこの旋律が戻ってきたとき胸がいっぱいになって泣きそうになった。

第四楽章
壮大に音楽が終わった。楽曲解説には音楽が輝かしく閉じるとかいてあるけれど、輝かしくもあり、それでいてどこか破壊的でもあるところがショスタコーヴィチだと思った。

第三楽章からオルガンに向かって左側の高いところに金管楽器が並んだ。壮麗な演出とも思ったけれど、僕の場合こういう演出だと目が上に下にキョロキョロ動いて気が散るという側面もあったように思う。しかし、アクセルロッドさん、ヒューマンな魅力でオーケストラを魅了するタイプのように思える。本当にオーケストラが指揮者のもとよく鳴っていて主席客演指揮者になられるのが楽しみだなと思った。今後に期待したい。


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