日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

農林水産物の輸出振興⁉、一体全体どこの国の話だっ⁉

2020年12月03日 07時50分30秒 | 政治
 「政府は11月30日、農林水産物・食品の輸出拡大のための関係閣僚会議で、輸出額を令和7年までに2兆円、12年までに5兆円に伸ばす目標の達成に向けた実行戦略を決めた。日本が強みを持ち輸出拡大が見込める「重点品目」に、「和牛」として人気の高い牛肉、ブリ、日本酒など27品目を選定。重点品目ごとに、ターゲットとする国・地域や7年の輸出額目標などを設けた。会議に出席した菅義偉首相は『国内の余剰を輸出するという発想を転換し、全ての事業者がマーケットの求めるものをつくるという発想に立つべく、改革を行っていく』と強調した」(2020/12/01産経新聞)
 この話題、一体全体どこの国の話か?と目を凝らして見れば、なんとほかならぬ日本農林・水産業の当面の政策を語り合ったものだという。「よくもこんなことが言えたものだ?‼」と開いた口が塞がらないのは筆者だけではあるまい。
 日本国民の食料自給率はカロリーベースではたったの37%。これを市場を経由した金額ベースでみると66%と高くなるのであるが、あくまでも生存のために口を糊する食いモノだという意味で言えばその数的には37%しか生産できていない。安価な「食料」が大量に国外から運び込まれているという証拠である。
 かつて人口の50%を擁していた時代もあった農業総人口は今では150万人レベル。しかもその年齢構成は半数が高齢者であり、その半数超が後期高齢者で構成されている。水産部門もこれと五十歩百歩の農林水産業なのである。こういう就業人口構成にして価格ベースで66%をひねり出している功績は称賛に値する。
 しかし、いまコロナパンデミックの真っ最中で恐怖するのは、ここで国外からの食糧輸入がとめられたらどういうことになるのだろうということ、考えただけでも思わず身震いを禁じ得ないではないか!
 都道府県別カロリーベースでの自給率を見ると自給できるのは北海道・青森・岩手・秋田・山形・新潟の各道県のみ、東京・大阪に至っては自給率1%、神奈川も2%と都府県民の多くが知らぬが仏で食餌を得ているのではないだろうか。輸入が止まったらたちまちにして飢えが始まり、コロナ禍ではなく「餓」による死の方が現実味を帯びてくる。
 そんな中で、冒頭のニュースは政権のご重職が集まって「農林水産物・食品の輸出拡大」の夢を語ったという。一体全体どこの国の話かと耳目を疑いたくなるが、ここで話し合われた換金農水産製品が振興すればするほど自給率は低下することになる。「一将功成りて万骨枯る」、「和牛とブリ功成り」て、米麦五穀が貧することとなる。菅政権の経済政策の総本山=新自由主義経済論者で構成される「成長戦略会議」とも気脈がぴったりと一致する。
 国民生活の貧富の拡大を「良」とする新自由経済的発想の究極の姿が露出してくる。この国の土台がシロアリに食い荒らされている。
 


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