日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

女川原発2号機再稼働 思慮も無く、論理も無き時代

2020年11月24日 07時31分41秒 | 政治
 世界の原子力発電所はそのほとんどが内陸部の大きな河川の傍にある。しかし日本の原発はすべて海岸線にあって大量の海水を覆水用の冷却材として利用している。脊梁山脈は標高が高く、そこから海岸までの距離が短いために日本列島では年間を通じて安定して大量の冷却水を供給できる大河は無い。ために仕方なく海水を冷却水に使うしか手段が無い、そのため海岸線に原発を作らなくてはならない。その海岸線は、日本列島が4つの大規模プレート境界に位置するところから、地震の多発と大津波、火山による大規模噴火、加えて台風の大襲来におびえねばならない。世界に冠たる典型的な原発不適格地域、そこに総数59基もの原子炉を配備した。
 中でも不適格性の際たる原発が東海、福島第一、同第二、そして女川の各原子力発電所である。これら各原発の主たる受電地域は首都圏である。この中で福島第一は地震と津波による苛烈事故によって廃炉とされ、未だに無残な残骸をさらしている。福島第二は秘密のベールに包まれたまま闇から闇へ、いわば福島第一に連座する扱いで廃棄を宣告された。これら2原発10基の原子炉の廃炉作業は、今後数十兆円の資金を要する国民桎梏の負の遺産となっている。
 また。東海第二原発は周辺6市村の同意を必要とする特例によって、その住民合意は難しく再稼働はとん挫し、日本原電は敦賀原発も休止しているため、発電を全くしていないにも拘わらずちゃんと売電収入を得ているという不思議な「民間」電力会社となっている。こういう中にあって女川原発2号機の再稼働をめぐって、多くの住民の反対を押しきって、立地自治体である宮城県が同意し、女川町と石巻市の両議会が11月11日再稼働容認を承認したことで、早晩(2022年)再び原子炉が稼働することとなった。
 女川原発は福島第一・第二原発同様の沸騰水型原子炉(BWR)でもあり、フクイチ同様3.11東日本大震災で壊滅的な被害を受けながら幸いにも3系統の配電線が接続されていたために全電源喪失に至らず、ために辛うじてメルトダウンを避けることができた。関係者の秘密の帳に閉されて実態は詳らかにされないものの、地震動によって原子炉に相当深刻な物理的破損が有ったはずの文字通り九死に一生を得た原子炉であった。
 再稼働できない東海第二原発と、容易に容認されてしまった女川原発の違いは何なのか?。前者は周辺30㎞圏内100万人を擁する多数の住民の判断を聴き、後者は宮城県35市町村の首長の意見を聴取はしたものの究極は女川町と石巻市2自治体の首長の意見で知事が決めてしまっている。30㎞圏内にある美里町長らから異論が出され、隣県の山形県知事からも慎重判断の要望あったにもかかわらず徹底的に無視された。
 地元とする2つの市町は3.11で莫大な被害を受け、何がなんでも復興予算が必要、喉から手が出るほどお金が欲しい。その要望に応えたのが再稼働容認の「判断」で、これこそ典型的なショックドクトリン(惨事便乗型資本主義)であり、かつ「2050年排出温暖化ガスゼロ」という菅内閣の詭弁的環境政策の中身に充当されるトリックである。
 こうして再稼働容認された女川原発だが、避難経路は未完成。近くにはあの悲劇の大川小学校や、金華山など多くの離島も数える。住民の過半の反対意見は黙殺され、例によって有ったことを無かったこととしてコトを進める。政権は形ばかり交代したが、無思慮と無論理は居抜きのまゝ続く、知性無き時代!!
 

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