川柳くろがね10月号より
前月号鑑賞 小川 清隆 選評
「考えに考え抜いてこの程度」 土肥あづま
下手な考え休むに似たり。囲碁、将棋での世界のこと。出来上がった句に推敲を重ねて、納得出来るような句は出来ぬものである。推鼓を重ねることが血になり、肉になるものと思う。「塗り足して塗り足してきてわやにする」。
「完壁な夫などいない今悟る」 角 ひさ子
人は皆完壁を求めて坤吟している。他人に完壁を望む前に自分が完壁になるぺさ。しかし一分の隙のない人ほどつまらぬものはない。ほどほどが丁度良い。完璧でないから人間、と心得ている。
「紅つけて女だったと思う今日」 神谷 幸恵
「化粧しなくなると女でなくなった」「灰になるまでは女の香を残す」。おしゃれすることは自分を取りもどすこと、自分を確保すること。「化粧したら犬が寄りつかなくなった」、時には厚化粧するのも気分転換になるのかも。
「振り向けばまだ手がゆれる郷の母」 矢野 隆
親にとっては子が60歳、70歳でもかわいい子どもである。「70歳まだ母さんに甘えたい」 それが親と子の情愛。母は太陽であり、その愛は遠大なもの、大事にしたいもの。
音叉 (前月号より)
吉冨 廣、松井 昌子、水谷 そう美、安川 聖 推薦
条件をけずれば通る針の穴 中村トシ子
雑踏に操まれて嘘が上手くなる 安川 聖
軸足を命の上に確と置く 松村 華菜 (二名推薦)
おだやかに心開いてボールペン 古野 つとむ
兄ちゃんは小さくなってパパの膝 吉丸 玲子
いい話拾うページを捲るたび 前田 伸江
激辛も甘さも欲しい思考力 吉富 虞
青春の袋小路で母の鈴 中山 和
玉ねぎの力を借りて泣いている 吉丸 玲子
大根といわれて八十の歩が弾む 松井 昌子
いつからかお世辞のすきな耳になる 神谷 幸恵
丸い石誰もが腰をかけられる 吉富 唐
子守唄聴いてだんだん人になる 時津 みつこ
見たかったこのパラ選ぶとさの顔 坂梨 和汀
力-ナビの押し付けがいや地図を見る 古谷 龍太如
山坂というが過ぎれば一ページ 的場 しずえ
振り向けばまだ手がゆれる郷の母 矢野 隆
あの日から十月十日で母の顔 安部 ももこ
コンビニは出来たが医者が消えた村 田中 和正
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前月号鑑賞 小川 清隆 選評
「考えに考え抜いてこの程度」 土肥あづま
下手な考え休むに似たり。囲碁、将棋での世界のこと。出来上がった句に推敲を重ねて、納得出来るような句は出来ぬものである。推鼓を重ねることが血になり、肉になるものと思う。「塗り足して塗り足してきてわやにする」。
「完壁な夫などいない今悟る」 角 ひさ子
人は皆完壁を求めて坤吟している。他人に完壁を望む前に自分が完壁になるぺさ。しかし一分の隙のない人ほどつまらぬものはない。ほどほどが丁度良い。完璧でないから人間、と心得ている。
「紅つけて女だったと思う今日」 神谷 幸恵
「化粧しなくなると女でなくなった」「灰になるまでは女の香を残す」。おしゃれすることは自分を取りもどすこと、自分を確保すること。「化粧したら犬が寄りつかなくなった」、時には厚化粧するのも気分転換になるのかも。
「振り向けばまだ手がゆれる郷の母」 矢野 隆
親にとっては子が60歳、70歳でもかわいい子どもである。「70歳まだ母さんに甘えたい」 それが親と子の情愛。母は太陽であり、その愛は遠大なもの、大事にしたいもの。
音叉 (前月号より)
吉冨 廣、松井 昌子、水谷 そう美、安川 聖 推薦
条件をけずれば通る針の穴 中村トシ子
雑踏に操まれて嘘が上手くなる 安川 聖
軸足を命の上に確と置く 松村 華菜 (二名推薦)
おだやかに心開いてボールペン 古野 つとむ
兄ちゃんは小さくなってパパの膝 吉丸 玲子
いい話拾うページを捲るたび 前田 伸江
激辛も甘さも欲しい思考力 吉富 虞
青春の袋小路で母の鈴 中山 和
玉ねぎの力を借りて泣いている 吉丸 玲子
大根といわれて八十の歩が弾む 松井 昌子
いつからかお世辞のすきな耳になる 神谷 幸恵
丸い石誰もが腰をかけられる 吉富 唐
子守唄聴いてだんだん人になる 時津 みつこ
見たかったこのパラ選ぶとさの顔 坂梨 和汀
力-ナビの押し付けがいや地図を見る 古谷 龍太如
山坂というが過ぎれば一ページ 的場 しずえ
振り向けばまだ手がゆれる郷の母 矢野 隆
あの日から十月十日で母の顔 安部 ももこ
コンビニは出来たが医者が消えた村 田中 和正
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