権力者の行動の真の動機は何か?それは簡単にいって、隠された支配欲といえるでしょう。しかし一方、実際の行動は人民の幸福に奉仕する、ように見えるはずです。そう見えなければ現代のボスは務まりません。実際、ボスたちはたいてい自分でもそう思っています。
さらに言えば、おおかたのボスはどう見ても、モブに好かれるよきボスに見える。ということは よきボスであるということです。心底からモブに好かれたいと思い、モブの幸福を願っているはずです。逆に、そうでなければ現実の世界でボスはやっていられません。
ボスは、モブが自分たちが支配されてもよい、と認める人格である必要がある。モブの幸福を心底から願っているに違いない、と思える人格である必要があります。それは他意のない信頼できる顔をしていなければならない。出身はエリートであってもよいが、モブの要求を理解していなければなりません。モブの出身であればより信頼できる。モブのモブによるモブのための選挙で選ばれれば、さらに信頼できる。
出身がエリートであっても精神が下賤でないとはいえません。それよりも、モブであっても真摯な精神の貴族であるボスに支配されたい、と思う。
結局、むしろモブであって人々に認められてなったボスのほうが信頼できるような気がします。それがおおかたの民主国のボス、総理大臣や大統領でしょう。■
(69 モブのボスはモブなのか end)
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