陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

すでに病んでいるのは職場なのか、わたしたちなのか

2019-10-20 | 仕事・雇用・会社・労働衛生

休日中にあまり書きたくない話題なのですが、ここはひとつ書かざるを得ませんでした。
台風19号で関東東北中心に多大な被害の及んだ先週、もうひとつ衝撃的なニュースが。小学校の中年教員が、若手教師をいじめていたというもの。腫れあがるほど叩く、車を壊すなど悪質極まりないもの。正直、テレビの芸人いじりに近いですが。これが、いま、いじめや不登校問題に取り組むはずの学校で起きたのだから。まあ、知っていますよね。職員室のなかが、もともと陰湿なのは。大学の研究室でも変わらないですけどね。

この手の職場のモラハラ問題は、どこにでもあります。
むろん、珍しくないので放置していい、慣れてみろ、というわけではありません。

職場いじめはなぜ起きるのでしょうか。
逆に言うと、人間関係がいい職場はなにが違うのでしょうか。私の経験上からいうと。

・労働時間が長すぎない。早出残業休日出勤が少ない。
・モンスター顧客や取引先による過剰なサービス精神の強要がない。
・不毛な社内だけの習慣(一部の人にしか備品・設備を使わせない、休憩中に私用を頼まれる、飲み会・社内行事へ参加強制、SNS利用を強いるなど)がない
・非正規雇用でも社員を大切にしている。
・みんなに休憩時間をきちんととらせている。ワークライフバランスの充実。
・管理職・経営者が旗振り役で、社内全員で職場改善の努力に前向きである。
・社員がメンタルへルス改善につとめ、適度な息抜きをしている。

暴行とはいかないまでも、無視や集団内での孤立、教育放棄あるいは過剰指導などのパワハラ行為は多々あります。職場のみならず、家庭内や地域内でもあるでしょう。

従来こういった人間関係のトラブルは、本人の根性不足や性格の弱さのせいだと捉えられがちでした。
しかし、いじめの原因がそもそも職場の構造のみならず、加害者がわのメンタルの歪みによる場合もあります。職場でいばっているお局さんやら、おじさんやらは、プライベートで他の付き合いに苦しめられているのかもしれません。

さらにいえば、労働時間の長期化なども、顧客の要求過大が原因の場合もありえます。
そのモンスター消費者や顧客たちも、自身の職場や家庭で苦しめられて不満があるのかもしれません。加害者の精神がサイコパスで異常なのだとしたら、こういう人がいる周囲は精神が疲弊します。特定の誰かに集中攻撃してくれたら、自分は火の粉がかからないという考えにすら至ります。

職場の空気を支配しようとする人は、自分になびかない人、自分が嫉妬するようなものがあるひと(容姿・配偶者や子・車や家・学歴や資格・キャリア・私生活の充実度など)が大嫌いです。ある意味、彼ら彼女らも被害者で哀れな存在です。

ちなみにあくまで偏見なのですが。
性格が悪い人は顔つきや体格でわかります。とくに目つき。無表情で冷酷なまなざしをしています。逆にいびられる人も、怯えた顔をしているので自虐心を煽られやすいのかもしれません。

職場でいじめられやすい人は、仕事ができない人と思われがちですが。
じつは仕事ができすぎても、目の敵にされやすくなります。転職者の場合、あるいは新卒者でも、学生時代や過去の業務での実績をあまり語り過ぎないほうがいいのでしょう。

最近では職場のメンタルヘルス改善に対する注目が集まっています。
いじめやパワハラが生じやすい職場は人の入れ替えが激しいので、人手不足になり、新人を詰め込み教育して疲弊させ、またふりだしで雇うの繰り返しで、しまいに職場が崩壊していきます。どんなに人事部が期待をかけた新人を送り込んでも、現場が病んでいたら追い出されしまうこともありえます。

すでに病んでいるのは職場なのか、わたしたちなのか。
それは一概に言えません。
ただ、われわれ一人ひとりにいえることは。いつなんどきもある程度ご機嫌でいることで、自他ともに幸福に暮らすという考えをもっていて、精神的疲弊の輪を波及させないように心がけることなのかもしれません。

私は相談の乗ってくださるキャリアコンサルタントの助言にしたがい、職場での自分をふりかえる記録をつけています。
何気なく言われたこと、されたこと、あるいは自分がおこなったことには、深い意味があることもあれば、そうでないこともあります。自分が正しいと思い込んでいたことでも、相手にとっては迷惑で、言葉づかいは丁寧でも声の調子が痛いので耳障りということもあります。反省は大事なのですが、後悔しすぎもよくありません。

私のような就職氷河期世代の人間は、非正規雇用をくりかえし職場環境に恵まれないために働くことに、あるいは生きていくことにすらもはや絶望している人も多いです。人間に揉まれたことがないのでストレスの対処法すら学んでこなかったこともあり、互いに憂さ晴らしをしあって、傷つけあっています。そもそも、同じ職場でいい仕事をしあおうと集まった人間どうしで足を引っ張りあうのがわかりませんが、人間とはそもそも、ささいな感情のもつれで意地悪したりするいきものです。営業利益を出すために、社員の健康を害するような職場はモラルが厳しく問われるべきです。

加害者のリーダー格がある日周囲から無視されはじめたという下克上もありえます。失敗しても懸命に仕事しているあなたを、見ているひとは見ているのです。

職場で精神的打撃をうけるとなかなか立ち直れません。
ほんらいは健康に働けるはずの労働者を失うことになれば、どんどん経済は落ち込むでしょう。無気力状態になって何もかも諦める人生になれば、正当にお金を払うことすらしなくなるからです。職場で病んだ人が家族、あるいは通り魔的に弱者を攻撃して事件沙汰になるかもしれません。

自分が放つきついひと言が、ふるまいが、誰かの人生を狂わすことがあるのかもしれない。
…という自覚がひとり一人にあれば、もっと生きやすくなるのかもしれませんね。ある場所でうまくいかなくても、けっして自分だけが悪いのだと思わないでほしいものです。

それにしても、こうした人間付き合いの基本とはほんらい学校でまなぶべきところ、肝心の教師がこのありさまでは…といいたくもなろうというもの。家庭内での児童虐待も増えていますし、高齢者はキレやすいひともいたりして、いまの社会に余裕がないのが悲しいですね。先生や医師、看護師、介護士などケアラーが負担増でメンタル崩壊をひきおこしてしまうのが現状。

ちなみに私は仕事でも家庭でも嫌なことがあっても逃げられる趣味があったので、この15年ほどはなんとか生き延びることができました。それを続けることで、自分をみつめなおすこともできたのかもしれません。かろうじて、ですが。皆さんも、自分の世界を大切にしてください。誰彼に誇ることがないことでも、あなたを救ってくれるものは、自分だけが大事にすればよいのです。

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