ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

天才作家の妻 40年目の真実

2019-01-22 23:17:59 | た行

祝!グレン・クローズ、ゴールデン・グローブ賞主演女優賞受賞!

 

「天才作家の妻 40年目の真実」71点★★★★

 

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現代文学の巨匠・作家ジョゼフ(ジョナサン・プライス)は

その朝、1本の電話を受け取る。

それは「ノーベル文学賞受賞」の知らせだった。

 

40年、苦節をともにしてきた妻ジョーン(グレン・クローズ)と

手を取って大喜び――!だったが

しかし、どこかジョーンの様子がおかしい。

 

そこには夫が隠してきた、ある「秘密」があった――。

 

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夫の「秘密」にまつわるミステリーかなと思うんですが

間に挟まる、妻ジョーンの回想シーンで

意外と、早々にネタがあがります。

 

事の発端は1958年。まだまだ女性作家は活躍できない時代。

そんな時代に夫は、教授として教え子だったジョーンに出会う。

ジョーンは、文才ある優秀な学生だったんですね。

で、二人は恋に落ち、結婚する。

で、その後、夫は妻の「支え」あって人気作家となるわけですが、

その「支え」って、いったい?――という。

 

ノーベル賞、という題材は特殊だけれど

長年のパートナー間には多かれ少なかれこういうことはあるよね、という

妙に共感できる話なんです。

 

夫婦間のパワーバランスというのでしょうかね、

「片方が片方を喰った」とか「犠牲になっている」という思いが

こういう状況を引き起こしているわけで。

 

では、ズバリ、妻は夫のゴーストライターだったのか?ってことなんですが

いやいや、

ノーベル賞という最高名誉を前に、妻の感覚も歪められているのかもしれない。

その真実こそが、最大の「秘密」というわけです。

 

「ノーベル賞、取っちゃった~!」とベッドで飛び跳ねる

無邪気な夫、ジョナサン・プライスも名演ですが

やっぱりグレン・クローズの芝居が圧巻。

夫が賞賛を浴びる横で「なんか、モヤモヤ!」という

心境の露出が見事であります。

せっかくのハレの旅行や食事なのに

夫「どうしたの?機嫌悪いの?(無邪気)」

妻「なんでもないわよ!(イライラ・・・)」みたいなの、これもあるよねえ!(笑)

 

そして

回想シーンで若き日の彼女を演じるアニー・スタークにも注目。

美人すぎるなあ、でもグレン・クローズも昔はこんなニュアンスもあったなあ

とか思いながら観ていたら

なんとグレン・クローズの実のお嬢さんなんですよ!

ううむ、これぞ、年輪。

 

映画com.さんにもレビュー、書いてます~

★1/26(土)新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で公開。

「天才作家の妻 40年目の真実」公式サイト

 


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