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映画 福田村事件

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本日の映画レビューは、関東大震災から100年、森達也監督初の劇映画作品「福田村事件」です。

FAKEやA2など数々のドキュメンタリ作品を手掛けてきた森達也監督が9月1日の関東大震災100年を機に公開された監督初の劇映画が今回の福田村事件。震災直後に起こった官憲や自警団による朝鮮人やや中国人、共産主義者への虐殺事件が起こったことは当時の報道で明らかとなっていましたが、千葉県で起こった薬の行商人15名が自警団に朝鮮人と間違えられ子供や妊婦を含め9名が虐殺された福田村事件はあまり知られてないように思います。

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物語は日本統治下の京城ソウルを離れ故郷の福田村に戻った井浦新と田中麗奈演じる澤田智一と静子。澤田夫妻は日本軍が犯した朝鮮人虐殺を目撃していたが口をつぐんでいた。9月1日関東地方に大震災が起こり、朝鮮人が暴動化、戒厳令がしかれ村でも自警団が結成される。そんな中で永山瑛多演じる沼部率いる行商団一行が福田村を訪れるが。

森監督は、事件が起こるまでの過程を詳細に描き事件から目を背けることなく描いています。また映画製作にあたり誰も出演してくれないかと危惧していたそうですが、井浦新、田中麗奈、永山瑛多、東出昌大などが主要なキャストを快諾したように、難しいテーマに挑んでします。

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また制作スタッフには井浦も参加していた若松組の面々が顔を揃え、思いを同じくして森監督をバックアップ。主要キャストの他にも事件団の中心人物に水道橋博士やピエール瀧、水曜日のカンパネラのメンバーであったコムアイなど個性的な俳優陣の演技も注目です。

今回の映画は事件の背景から朝鮮人差別の問題だけがクローズアップされ論議が偏りがちですが、パニック化に起こる人間の憎悪や戒厳令による権力統治のあり方、また日本人の根底にある過去の身分制度による差別意識など様々な問題を浮き彫りにしながら展開された深みを感じました。そこにはドキュメンタリーの世界で培われた森達也監督の客観的な視野が劇映画の中に生かされているように思います。

ぜひそうした目線でこの映画を鑑賞し、闇に葬られ知られることがなかった事件の真実に目を向けてほしいものです。

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