新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

打者は打つのか振るのか

2023-06-03 08:04:48 | コラム
ファイターズの加藤豪将のバッテイングを見て:

2日夜はセ・パ交流戦の日本ハムファイターズ対読売ジャイアンツの試合を見ていた。でも、何で「セ・パ」で「パ・セ」ではないのだろう。読売に気兼ねしているのか。慶応大学の人たちが「早慶戦」ではなく「慶早戦」と言うのにも似ている。

そこで、ホームランを打ったファイターズのアメリカ生まれでMLBにいたという加藤豪将が打つ形が、何処かで見たような気がする格好だったと見た。そこで思い出してみると、あのWBCで日本代表だったヌートバーにそっくりだったのだ。解説の高橋由伸は「MLBではあのように下から上に振り抜く打法が流行っている」と言って、実証するために加藤の形(フォーム)を再生して見せていた。

それは重心を低くしてバットをしゃくり上げるような振り方だった。ヌートバーと同様にアメリカで野球を覚えれば、そういう格好になるのだと解った。では、我らの大谷翔平はどうかと見れば、ある程度は下から上(ゴルフで言う「アッパースゥイング」にも似た)に振り上げている。だが、大谷の特長は他人が真似できないだろう、その目にも止まらない振りの速さと、振りに行くのではなくボールに当たる瞬間に最大限の力を入れていると見える点だ。

このような状態を放送用語(?)では「強打する」となっているようだが、アメリカのアナウンサーたちは“hit the ball hard”と形容している。即ち、「力一杯にボールを打つ」ということで、大谷はこの部類に入り、打ちに行くのであり、振りに行っているのではないと思う。ヌートバーも加藤もhardにhitしているのだろうが、大谷のように当たる瞬間に最大の力が入るような振り方ではないと見ている。

そこまでで思い出すことがあった。それは、我が国の女子のプロゴルファーたちを見ていると、教科書通りに実に綺麗なフォームでクラブを振り抜いている。だが、当たる瞬間に最大限の力が入っているようには見えないのだ。だが、世界的な男性のプロたちは力強い振り方でも「当たる瞬間に最大限の力を入れている」者が多いように見える。

50年以上前のことだったか、あるデパートでゴルフクラブの実演販売をやっているのに出会った。そこには当時は有名な安田春雄プロがいて指導していた。何気なく立ち止まった私に、何故か安田が「やってみませんか」と声をかけて来た。当時は未だゴルフをやっていたので物は試しにと振ってみた、イヤ打ってみた。その後の安田の指導が面白かったので、未だに覚えている。それは、

「それで良いのだが、振り下ろす前から力を入れているのは良くない。そこで一度力を入れてしまえば、もうそれ以上は入らなくなる。要するにボールに当たる瞬間に最も力が入るように振ることを心がけると良い」

であったのだ。即ち、大谷のバッテイングはこの安田の指導と同じ原理に基づいているのではないかという事だ。しかも、大谷は類い希なる素質を栗山英樹監督の指導で開花させた上に、アメリカでのトレーニングであそこまでの筋力と体力と体格に鍛え上げたからこそ、目にも止まらぬswingができて、ボールに当たる瞬間に最大の力が入っているのだと思う。だから、英語の表現の“hit the ball hard”になっているのだと解釈している。

村上宗隆が昨年に55本を打った後からずっと不振が続いている様を見ていると、テイクバックの位置からもう力んでいて、振り出した後でも力んだままであり、今では力んだままで振り上げる格好になってしまっていると見ている。そこに、彼は研究され尽くして極端なインサイド攻めにあって、野球用語に言う「内側に目付が行っている」ので、外側を攻められると手が出せないようだ。でも、何時かは元に戻せるだろう。

それにしても、昨年のパシフィック・リーグ最下位のファイターズにジャイアンツが、あれほどの大差で一蹴されるとは予想していなかった。

話が本筋から離れるが、ジャイアンツの外野が左から秋広、梶谷、丸と並んでいたのを見て「矢張り、世代交代は中途半端だ」と見ていた。既に指摘したが4億5千万円の丸が0.222しか打てないのでは、ファイターズが相手でも負けるのではないのか。



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