見もの・読みもの日記

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2021年9月@関西:山口晃展(ZENBI鍵善良房)

2021-09-24 17:29:14 | 行ったもの(美術館・見仏)

ZENBI鍵善良房-KAGIZEN ART MUSEUM 開館記念特別展『山口晃-ちこちこ小間ごと-』(2021年7月6日~11月7日)

 鍵善良房は四条通りにある老舗の和菓子屋さん。私は、高校の修学旅行の自由行動で、京都通の友人に連れていかれたのが最初で、以来40年のごひいきである。近年、和菓子販売だけでなく、いろいろ新しい取り組みをしているな、とは思っていたが、今年1月、美術館がオープンしていたことには、最近やっと気づいた。最初の開館記念特別展『黒田辰秋と鍵善良房 結ばれた美への約束』(2021年1月8日~6月27日)は、残念ながら見逃してしまった。

 現在の展示は、山口晃さんの作品から、京都にまつわる書籍・雑誌の挿画や、五木寛之氏による新聞連載小説『親鸞』挿画の原画などを紹介するもの。鍵善は、2014年からお菓子の紙袋に山口画伯の絵を使っている。

 美術館は四条通りの南側、狭い路地に面して建つ。土壁や木など自然の素材を使用し、京町家を意識した感じの造り。1階と2階に展示室があり、特別展の作品のほか、やはり鍵善と縁の深い黒田辰秋の木工・漆芸作品も展示されていた。

 山口晃さんの作品は大作であっても細部が命で、特に今回のように小品が多い場合、こういうこじんまりしたギャラリーが適していると思う。『親鸞』挿画のお仕事(2008~2014年)は面白かった。伝統的な墨画・日本画の技法に加え、さまざまなマンガの技法が総動員されている。鎌倉時代が舞台なのに現代の道具や乗り物を描き込んで「見立て」にした回もあり。コマ割りやセリフの書き文字あり。よく分からない観念の擬人化もあり。ダジャレあり。しかし何を描いても「絵が巧い」のが素晴らしい。

 雑誌「和楽」に掲載された『綵絵掛図』は、相国寺の方丈に若冲の『釈迦三尊図』と『動植綵絵』30幅を掛けたところ。ぼんやり淡彩で描かれた『動植綵絵』は、ちゃんと「あの絵だ」と分かるのが嬉しい(画像は作品の一部)。最後も若冲で締めることができて、よい1日だった。

※参考:山口晃ワールドを「ZENBI」で堪能!【京都の日常から】永松仁美-My favorite things(婦人画報 2021/8/6)

 この展示は「山口さん自らが自由に設営」したという貴重な情報あり。また、ミュージアムショップ「Zplus」では、山口さんが考案した和菓子を期間限定で販売中。生菓子は、水・土限定という情報を別のところで見ていたので、今回(日曜)は寄らなかったのだが、干菓子(落雁)もあるのだな。次回、入手できるかなあ…。


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