遠藤雷太のうろうろブログ

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トム・マクナブ『遥かなるセントラルパーク』

2024-04-19 00:32:03 | 読書感想文

 

 

2024/4/18

・1931年、ロサンゼルスからニューヨークまでアメリカを横断する三千マイルのフットレースが実行される話。再読。

・3月21日から6月20日の三か月かかる。

・最初のうちは、競技というよりお祭りや興行に近い。

・参加ランナーは一部を除いて記念出場どころか食事目当てだし、サーカスの一団を引き連れて、行く街々でショーを披露する。おしゃべりラバのフリッツ見たい。

・世界的な不況のなか、起死回生を狙うランナーたちは高額賞金を狙ってしのぎを削る。

・一方で、前例のない巨大レースの運営は、ニューヨークまでたどり着けるかどうか、賭けの対象になるくらいの綱渡りを繰り返している。

・灼熱の砂漠や極寒高地のロッキー山脈を越えるようなような過酷なレース風景と、オリンピック招致にあたって賞金レースを目の敵にする政治家たち。

・この頃からすでにオリンピック招致の連中が敵役になっている。幻想としてのアマチュアイズム。

・生まれも育ちも全然違うランナーたちが協力し合って、圧倒的な距離という困難に挑んでいるし、主催者のフラナガンが窮地に陥れば、ランナーたちも知恵や技術を出し合って解決しようとする。

・登場人物たちが、ランナーもスタッフもだんだんチーム化していくところが楽しい。最初はお飾りでしかなかったミスアメリカも運営スタッフとして働き始める。

・フーヴァーやカポネみたいな実在する人物も出てくる。競技も政治も具体的で描写が細かい。

・たくさんの試練を経て、ただのお祭り騒ぎから競技としての崇高さが生まれてくる。イベントそのものの成長物語でもある。

・〈いつだってランナーをつぶすのはペースなんだ。決して距離じゃない。〉〈我々の走る一マイル一マイルが、地面を踏み出す一歩一歩が勝利になるんだ。〉〈次の日につるし首にされることがわかっているとき、人は驚くほど精神を集中できるんだ。〉〈三十年のランニングは勝利の瞬間ではなく、まさにこうした危機への準備期間だったのだ。〉

・常に身なりを気にしていた主催者が絶望してボロボロの姿になっているところに、それまで決して感情を表に出してこなかった冷静な記者が汚い言葉で気合をいれようとしているところが好き。

・なんでいまだに電子化していないのか不思議。


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