東アジア歴史文化研究会

日本人の素晴らしい伝統と文化を再発見しよう
歴史の書き換えはすでに始まっている

『左傾化するSDGs先進国ドイツで今、何が起こっているか』川口マーン恵美著(ビジネス社)左翼的ユートピア、平和主義という呆け症状が深まっていく ドイツも日本も言論の自由を喪失という恐るべき現実

2022-08-11 | ヨーロッパ情勢・歴史

ドイツが国家の基幹を逆さまに、安全より危機を自ら選んで、滅亡に向かって突進しているとしか思えない。そういう愚策が進行中である。

嘗て私たちが描いた「勤勉なドイツ人」「エンジニア能力が高い」「ゲルマンの強さ」など、現在のドイツには何処を探しても見つけることはむずかしい。

戦後、日本人が武士道をなくしてエコノミックアニマルと軽蔑されたが、移民がすくなので、また民族的アイデンティティだけは残っている。ドイツにはそれがない。

第一に原発を止めて電力不足に陥っているにも関わらず、脱石炭も加えて、エネルギーの36%をプーチンに依存してしまった愚かさ。安全保障のいろはを無視したツケが、まわってきた。この冬を越せるか、ドイツ国民は不安におののく。

第二に税金を投入してまでEVに血道を上げてきた。ドイツ産業の自慢はガソリン車ではなかったのか。EVは電力をさらに食うので、エネルギーをどうするのかという基本の対策が取られていない。この点では日本と同じだが、日本の消費者は宣伝を鵜呑みにせず、EVを敬遠している。

第三が過激なヒューマニズム、個人の尊重。あげくに難民が大量にドイツに乱入し、治安が悪化したが、ドイツの左翼メディアは、このことを報じない。

これも日本と似ている。保守のAfd(ドイツのための選択肢)は『難民を排斥せよ』と主張しているのではなく「審査を厳重に」としただけなのに「極右」のレッテルを貼られた。

ジェンダー運動から始まって男女平等、LGBTQ、そしてBLMでアメリカも社会がめちゃくちゃになり、きわめつけが妊娠中絶反対で国家がきれいに分裂した。こうして西側の衰退を日々目撃して、ほくそ笑んでいるのが中国という構造だ。

まさに「個人の主張が通らず、自由が奪われた」。

環境問題でつまらない議論をしているうちに、はたと気がつけば左翼の利権となっていて、反対や疑問を書き込んだりすると、ユーチューブから消される。コロナワクチンへの疑問を述べても消される。

日本でもおそるべき言論弾圧が平然とまかり通っている。

「言論の自由」「結社の自由」が保障され、「ミンシュシュギ」なるものを国是としているアメリカでもドイツでも。

ドイツの左傾化はシュローダー政権から始まった。シュローダーとプーチンは異様なほど仲が良かった。

さて題名にある「SDGs」って、何?

『持続可能な開発目標』とかで、17の項目が美辞麗句のごとく鮮やかに並び、貧困、飢餓を終わらせ、福祉を撤退させるなどのために政治が突進するという、子供が考えても実現不可能で、夢のようなことをまつりごとの基軸に据えている。

メルケルが颯爽とドイツ政治に登場したとき、なんだか「太り気味の肝っ玉かあさん」として期待する向きがあった。コールのなした東西ドイツ統一、通貨統一、東ドイツからのソ連軍の撤退という偉業を目撃した後だから、ドイツは安定に向かって進むと誰もが思った。

途中から期待は徐々に薄れ、やがてなくなり、メルケルの極左路線暴走が杞憂の種となった。 彼女がウクライナのNATO加盟に反対したばかりか、プーチンと意気投合し、まるで独露蜜月時代の到来を思わせるほど、ドイツを国家存亡の崖っぷちにたたせた。

ところが、平和ぼけにつかりきったドイツ国民は、保守を忌避し、緑の党など極左を選んで、傲慢な政治に満足していたのだ。

ただし、大事なポイントを著者は指摘している。

「欧米はどんな綺麗事をならべていても、それが得にならないとわかると巧みな論理であっという間に方向転換する」という特技があることだ。

経済合理性という大事な観点から経済を論じない。たとえば太陽光パネルを住宅に義務づけるという都知事の遣り方など、全体主義ではないのか?

ドイツの惨状を論じつつ、『日本という國の存亡がかかっている』と著者は杞憂を述べる。袋小路に迷い込んだ先進国政治が行き着く先は全体主義ではないのか。

本書を読み終えたあと、中国の高笑いを聞いた気がした。


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