ぼっちでオペラを観に行く会開催記

突然オペラを主に生で観始めた人の観賞日記。しかし頻繁じゃないので映画観賞も+してみる

こうもり@新国立劇場 2月6日

2015年02月08日 | 舞台観にいった!
前回「さまよえるオランダ人」の感想も途中だったうちにこの日がやってきました「こうもり」@新国立劇場です。
今回ははじめて開演前にオペラシティで食事してみました。というかお腹が空きすぎてとても持たないと思ったので時間ないけど15分で済ませた。
成城石井前でしたが全室個室だったのでちょっと寂しさ倍増でした。しかし新国立劇場で当日観劇する方は10%引きですよ^とのことだったのでまた行こうと思います!!おねえさんがめっちゃさばさばしててよかった~。

さて「こうもり」序曲はもう幼少時から結果的にずっと聴かされ続けていたので好きは好きとして、カール・ベーム指揮ウィーンフィルの全曲CDも聴きこんだ。これでもう死角はないと思いました。
序曲分かっていると本編でも、知っている旋律が頻発するので(当たり前か)なかなか便利だとはやっと気づいた点であります。
そして私が本番にて知って一番驚いたのは台詞があるということでした…。おいそうだったんだ…!!かつて「シェルブールの雨傘」をオサレ映画としてプッシュされているのをふーんと思い予備知識なしに観始めて、「この人たちはいつ歌うのをやめるのだろうか」とずっと思いながら見続けていたのとは逆の心境です。

というわけで本編。序曲。いいですね。ずっと幕下ろしたままかと思ったら一応上がって、微妙な絵が描かれた更なる幕がお目見えしました。とりあえず話の筋を意識して描いてみた模様。これは一枚絵ではなくて、何と言いましょうかシースルー?な感じで、後方に大きく広がる舞台をしょっぱなになんとなーく透かし見せる(大体その後すぐこの絵の幕は上がっちゃうんだけど)フィルターみたいな存在です。

アルフレート登場→鑑賞歴がほぼない自分でも、日本の歌手は声量がやはり&なりきり具合が足りないと思ってしまうくらいだったのですがこの方は違った。伊達男っぷりも様になってました。自分に酔ってる感じじゃない、昔の恋人今は人妻を口説いてる様子からは結構いい奴だなと。
舞台もお屋敷の中庭で白を基調としていてあーかわいい!と思った。所詮私も「かわいい」に弱いのでした。
そして、全編を歌だけで進めるだけじゃなく地の台詞があるとはネタの入れようが全くありまくりってことです。私はドイツ在住歴のため簡単なドイツ語は分かるけどその中に日本語ちょっと入れられるだけで本当に笑える。基本は数字をいち、に、さん、…とか言われる&すみません!とかの台詞だけで客席は湧いておりました。
ロザリンデ→アルフレートの台詞「あの日本人テノールの声、ぞくぞくするわ!」でウケてた。たしかに!

アイゼンシュタインとファルケがパーティーに行こう歌と踊りはほんとにあほだなーと思って笑えてしまった…(2幕から以降は笑いっぱなしだったんだけど)パンフレットにちゃんと振付師が載っているのでバレエの場面についてかしらとだけ思ってたけど全編でのことかと思うともう振付師も歌手もさすがです。とくに歌手は演目によってはここまで演技しないといけないの?と初めての驚愕でした。大変だな!!
アルフレート再び登場。なんだかんだで刑務所長フランクも来て「一緒に飲もう」合唱になった瞬間は笑いが起きてました。フランク役の方がほんと大層役者だったん…。

夜会のシーンが見ものだとは聞いていましたがそれなりに気合入ってた!よっしゃと思いました。アイゼンシュタイン家の邸だった背景画がドカンと取り払われてえっ舞台上こんなに奥行あったんだ…というくらい広々とした舞踏会ステージとなります。
オルロフスキー公爵はメゾソプラノ、アルト、テノールなど様々な歌手によってうたわれる。とパンフレットに親切な説明がありますが私が聴いてたCDでは「こりゃ単なるおっさんだ」という声だったので覚悟していた。
しかし当日にメゾソプラノの美女が出てきたらそらびっくりするわ。たしかに若者キャラではあるけど!なんだか一人だけ宝塚のようでしたが「僕はお客を呼ぶのが好きだ」ではまだ少年から抜け切らない放蕩息子感が強調されてた気がします。
で、アデーレの「侯爵様、あなたのようなお方なら」が素晴らしくて全くそれまでで一番強く拍手しました。そう色々解説を読んでなるほど!と思ったけどアデーレ「コケットな機転」がきくんだよね。小悪魔ポジなんでしょうか。高音が頭に突きぬけました…。「振付がある」となんとなく念頭に置いて聴いて&観るとすげーなー役者やな~(二重の意味で)と改めて感心する。
アイゼンシュタインと刑務所長フランクがどちらもフランス出身と偽りの身分を紹介されあった後に「フランス語なんてできない!」と言いつつお互いに無理くりフランス語会話をする際も小芝居が聴いていてほんと…台詞の応酬が割と長きに渡ったんですが片言のフランス語を言い合うだけで大いに笑いを誘っておりました。

ロザリンデ登場。心の中の台詞日本語「ウワキモノ!!」でまた客席沸く。
チャルダーシュ「故郷の歌をきけば」はなんとなくではありますが当時の趣味嗜好が分かるような、しかしやはり劇的で。傍らのオルロフスキー公爵の振る舞いがいちいち恰好よくて目が行きがちでした。
そのあとで慣例で「ハンガリー万歳」が入るというのも直前まで知らなくて、やっぱり大好きな曲なので嬉しくはありつつ今回4階席だったので舞台前方が見えなかったんですよね。バレエダンサーが曲中その辺に集中していたもので、凝視することができず残念でした。(ダンサーだから)なんていうんでしょうあのエセ民族感と言おうかチャルダーシュもそうらしいとは分かっているものの、異国っぽさを強調した振付とか、なんかよくわからないけど、いい!と思わされる。ここらからもう狂乱ぽくなっていくので流されることにする。

2幕と3幕の間は休みなく続きます。
舞台は2幕の豪奢なお屋敷から刑務所へと変わるので印象的には暗いです。3幕は台詞だけで続く時間が長くてこれもびっくり。最初がずーと看守フロシュと、姿が見えないアルフレートの応酬(というかアルフレートは歌ってるだけだけど)なのですがこれもとっても面白かった。とくにフロシュ、酔っ払いの演技って難しいと聞きますが自分も大概酒飲みだしドイツとかあの辺の酔っ払いってあーこんなんだよなと分かってるのもあり。最後に隣に座っていた夫婦がカーテンコールでフロシュが出てきたとき、「あの人、歌わなかったね」と言っていたのでああそうだと気づき、それでも結構な拍手を浴びていたので役割的に重要だしなんかもうおいしいな!と親指を立てました。フローシュはずっと酒飲んでるんだけど台詞で「焼酎」と変えただけでそりゃもう大ウケです。また歌手役のアルフレートが牢内でロザリンデの恋心を示すべく歌ってるんだけど、寡聞な自分には一瞬「アイーダ」のアレをちょっと歌ったな!ってことぐらいしかわからんかった。きっとそれぞれやりたい放題なんだなと。看守フロシュがアルフレートに聞いて「職業は?」「オペラ歌手です(日本語)」→と言って歌いだす→私は分からなかったんだけどフロシュ「れくさすダ!!契約先は?」「新国立劇場!(日本語)」「カワイソウ!!」という自虐ネタもありました。
色々略→私最近会社で「二日酔いの日が多すぎる」とクレーム入ったこともありこのフロシュと刑務所長フランクのシーンは改めて勇気づけられたことであります。この先、平日は飲めないな…と思ってた矢先なんでもう飲みはしないけど…;

すっとばして最後。刑務所の薄暗い舞台で終わるのかなと思ったら一転、「お芝居でした!」の種明かしのときに刑務所壁が突然取り除かれましてそれこそ壁と刑務所感だけは残ってるけどトランスペアレントな風に、突然それまでの舞踏会舞台とらんちき騒ぎ中の皆さま方が後ろに再出現します。そう!これで!お祭り感がそのまんまだ~!という盛り上がりのうちに一応アイゼンシュタイン夫婦は仲直りして終了!
面白かったしなんか人気あるの分かる!と思いました。すわダブル不倫という結構な内容にもかかわらず。自分はバブル世代ではないけど、バブルっていいな…と思ってしまった。この作品自体もあの時代のいわばバブル崩壊後に当時の成金をちょっと揶揄する感じで制作されました、と見てなるほどですよ。
繰り返しですが自分は先のクレームだけで解雇かというところから首つながった矢先だったので(そんなんで首かよと思わされる程度の会社)ちょっと!全てシャンパンのせいかよ!と思いつつものすごーいやったぜ感がありました。とりあえず今後はオンオフを切り替えてですね。どうもドイツ生活感がいまだに抜けないのでよろしくないのだと思います。
次回は暗い気分になるの必至な「リゴレット」です。歌は好きなので、気分をそちら方面にスイッチしていこうとおもいます そういえば新国立劇場じゃなかった!


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