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身近な生き物:カモシカの教え

2024-05-15 08:09:47 | 日記
ダイナミックな姿

 「日本の固有種」「氷河期の生き残り」
こんなキャッチフレーズで語られる哺乳類とは?
「数十年前には幻の動物」と呼ばれ、野生の個体には滅多にお目にかかれ
なかった動物とは?
数の少なさから天然記念物に指定され、それでも絶滅が危惧されて1955
年に国の特別天然記念物に格上げされた生き物とは?
指定当初の推定数は3000頭、それが今では20万頭から30万頭に激増
したと推計されているそんな相手、それがニホンカモシカです。

 昭和の時代の動物図鑑を見るとニホンカモシカはトキと同様に、絶滅寸前
の生き物として紹介されていました。
 ところがここ数年、毎年市内の住宅地の近くで出会います。
最初に見かけた時は奇跡と有頂天になったけれど、その後に何度も会う内に
喜びはすっかり薄れました。
 でも今回の遭遇はこれまでにないもの。
崖を駆け上がるダイナミックな姿を目の前で見ることが出来たのです。

舌に残る苦さ

 近年ニホンカモシカが激増した背景には、国の造林拡大策がありました。
<全国的にスギやヒノキの新植林面積が激増し、そこに生育する下草が
カモシカの豊富な餌になった。
頭数が増えて高密度化し、加えてニホンジカの頭数急増も影響し、カモシカ
は低標高域に分布を広げ、あげくに集落周辺に出没する様になった>
(木や森に関わる鳥獣害を考える より)
 そんな背景で毎年私の前に姿を現すようになったニホンカモシカですが、
先日の出会いは格別でした。

 農業用水路の反対側を悠然と歩く個体、距離も高低差もあるのでこちらを
チラリと見ただけで警戒する様子はありません。
それを良いことにぐっと近づくと突然小走りになり、切り立った崖に向かいます。
 斜面は得意と聞いていたけれど、まさかその勢いのまま登坂するとは
思ってもいませんでした。
まるで水平移動の様な素早さであっという間に崖の上に姿を消しました。
 どうしてあんなことが可能なのか、取り残された私の頭に大きな疑問符が
浮かびました。
<ヤギと同様に蹄が広がる作りなので断崖でも移動できる>(生き物宇宙紀行 より)
帰宅後の検索で得た情報でした。

 その昔、野生の個体に遭遇するのは奇跡と言われたニホンカモシカ。
そんな相手と市内の住宅地の近くで普通に出会える幸せさを嚙みしめたら、
思った程甘くありません。
 微妙に舌に残る苦みに、これは普通の状況じゃないんだよと教えられました。

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