ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

朝日新聞とフェミニズム

2024-03-08 16:16:38 | 日記
きょうの朝日新聞の第1面トップ記事は、次のようなタイトルだった。


(ThinkGender)単身の高齢女性、4割貧困 男性より14ポイント高く 都立大教授集計


記事本文にはこうあった。


65歳以上の一人暮らしの女性の相対的貧困率が、44・1%にのぼることがわかった。(中略)
同じ『高齢』『単身』でも男性の貧困率は30・0%で、女性と14・1ポイントの開きがある。
(朝日新聞3月8日)


なんだ、こんなのはごくありふれたこと、とりたてて第1面で騒ぎ立てるようなことではないのではないか。ーーそう思って、私は、隣の記事に目を向けた。
こんな見出しが目に入った。


(ThinkGender)武器持たぬ女性、いつも犠牲に 国連女性機関前事務局長


これは、プムジレ・ムランボヌクカなる女性へのインタビュー記事である。プムジレ・ムランボヌクカ氏とは、国連女性機関(UN Women)前事務局長で、南アフリカ初の女性副大統領を務めた人物だという。この記事の冒頭で、彼女は次のように述べている。


戦争は、常に女性にとってよくないものだ。兵士の多くは男性で、武器を持つ女性は少数派だ。しかし、前線にいないにもかかわらず、多くの女性が命を落としている。
パレスチナ自治区ガザでは、男性よりも多くの女性が犠牲になっている。昨年のイスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃でも、女性がより危険にさらされた。ウクライナでは、あらゆる世代の女性が戦争による困難に直面している。

(同前)


この手の主張に、私はいつも辟易する。「戦争をするのはいつもオトコ、オンナはいつもその犠牲者だ」。彼女の主張はそう言っているに等しい。もちろん直接そう言っているわけではないが、そうミスリードさせるレトリックに充ちている。彼女の主張に、私はフェミニストの匂いを感じ取った。


う〜む、きょうの朝日新聞はなんかおかしいぞ。いつもとは明らかに違っている。そう確信したのは、頁をめくって第2面を見たときだった。そこにはでかでかとこんな見出しが打たれていた。


(ThinkGender)ジェンダー格差、放置の末に 高齢単身女性の貧困


ここにも(ThinkGender)なる記号が記されていた。もう疑う余地はない。この記号は、「フェミニズムですが、何か?」というチャレンジングな物言いの符丁に違いなかった。
案の定、記事本文には次のように書かれていた。


高齢単身女性の相対的貧困率が4割にのぼっている。一部で深刻さが指摘されていたが、政治的にも社会的にも、光が当たってこなかった。背景をたどると、私たちの日本社会に色濃く残る『ジェンダー格差』の連鎖が浮かび上がる。
(同前)


私がきょうの朝日新聞に感じた違和感の正体は、紛れもなくフェミニズムの匂いだった。


これだけではない。次のような記事もあった。


(ThinkGender)女性議員、6割超えても ルワンダ、数字で見えない実情は


アフリカ東部ルワンダは、国会議員に占める女性の割合が6割超で世界トップを誇る。政府主導で女性の登用を進め、官民で女性の活躍の場が広がった。だが、その裏側で野党の女性指導者が逮捕され、人権団体からは批判も集まる。数字だけでは見えないジェンダー平等の実態をさぐるため、現地へ飛んだ。(後略)」


フェミニズムの主張の特徴は、ーーもっといえばその欠点は、社会的な事象をすべて「オトコ対オンナ」という敵対の図式で捉え、オトコ全般を「乗り越えるべき対象」としか見ないことにあると私は思っている。そのためにフェミニズムは、自らをオトコ社会との闘争の中におかざるを得ないことになる。


もしかすると朝日新聞社という社会の内部でも、フェミニズムとアンチ・フェミニズムとの激しい闘争(バトル)が行われているのだろう。きょうの紙面構成は、その現状を示しているのかもしれない。


たしかにまあ、正義の所在をめぐってあれこれ論争するのもいいが、天下の大新聞ともなれば、公器として、社会の建設に寄与する役割も担っている。もっと創造的な方向の議論を展開してほしいものだ。そう思う。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 能登半島地震被災者 二次被... | トップ | ジェンダーバイアスの根深さよ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事