ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

ローテク兵器を侮るな ロシ−ウク戦争の教訓

2024-05-06 15:35:35 | 日記
いいことを聞いたぞ。これは憶えておくことにしよう。きっと役立つときがくるに違いない。

ウクライナ、生命線は砲弾 『ローテク兵器』生産急ぐ米国

きょうの朝日新聞の第1面にかかげられていた見出しである。ウクライナとロシアとの泥沼の戦争。その勝敗を決定するのは、AIを搭載した精密誘導弾のような「ハイテク兵器」ではなく、砲弾(155ミリ砲弾)のような「ローテク兵器」なのだという。

ホントかな?と思ったが、なるほどロシアは核保有国でありながら、いまだにこの「核兵器」を使えないでいる。不毛の泥沼に引きずり込まれながら、ロシアがこの「最終兵器」を使えないのは、なぜなのか。

それはこの兵器が、「それを使っちゃあ、お終えよ」という意味での最終兵器であり、それを使うことには「人類の滅亡」という決定的なリスクが伴うからである。

ロシアは2年前、圧倒的な武力を背景にウクライナへ侵攻した。ロシアとウクライナとの武力の差が圧倒的なのに、いまだにウクライナが持ちこたえているのは、最前線での攻防が、いまだに155ミリ砲弾という「ローテク兵器」を用いたドンパチ合戦に終始しているからである。

朝日新聞は次のように報じている。

ウクライナの前線では2年以上、出口の見えない戦いが続く。そこで明らかになったのは、『大砲』『砲弾』という旧来の武器が依然、きわめて重要な意味を持つということだった。いま、ウクライナやそれを支える米欧は、この『ローテク兵器』の物量でロシア側に圧倒されつつある。
(朝日新聞5月6日)

ロシ−ウク戦争の勝敗は、砲弾の数といった「ローテク兵器」の物量によって決まるという。何とも皮肉な現実がここにある。

朝日新聞はこうも書いている。

近年、世界の軍事・外交関係者は、サイバー戦や人工知能(AI)など先端技術の動向に目を奪われてきた。だがロシアの侵攻が浮き彫りにしたのは、前線で砲弾を撃ち合う殺戮(さつりく)の応酬が、依然として『戦争と平和』の行方を左右する実態だ。
(同前)

こういう「実態」があることは、ぜひ心に銘記する必要がある。そう思ったのは、我が国の安全保障を考える場合、我々はどうしても北朝鮮や中国を敵国として想定し、サイバー戦や核兵器による攻撃への対処に心を奪われがちだからである。

報道によれば、我が日本は北朝鮮や中国の核ミサイル攻撃に対処するため、先日、アメリカの巡航ミサイル「トマホーク」を400発購入する契約を結んだという。その購入金額は驚くほど高額だが、「国土防衛のためだから、仕方がない」という意見がある。

しかし、そんな必要はないのではないか。ロシアと同様、核保有国の中国も北朝鮮も、結局、この「最終兵器」を使用することは出来ないのではないか。いわゆる「宝の持ち腐れ」状態である。

ロシ−ウク戦争の教訓に学ぶなら、我が日本はむしろ155ミリ砲弾などの「ローテク兵器」の備蓄につとめるべきだろう。

むろん日本の安全保障を、ロシ−ウク戦争の「実態」だけを参考にして考えることはできない。155ミリ砲弾が重要な役割を果たすのは、この戦争が「陸続きの長い前線」で行われているという特殊事情による。
しかし、核兵器を保有しているにもかかわらず、実際にはこの兵器を使用することができない、というのは、中国の場合も北朝鮮の場合もロシアと同じだと考えられるのである。

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