筋肉の使い過ぎなら身体が痛いのもわかる。
運動をすれば筋肉は疲労するだろうから。
しかし、特に何もしないでいても身体が凝るのはなぜだろう?
ただ座っていても、じっとしていても痛いたくなるのは、、、
例として、オフィスでパソコンの入力作業をして肩が凝るまでに身体の中で何が起きているかを見てみましょう。
あなたは椅子に座ってパソコンの画面に向かっています。
そして、マウスを動かしたりキーボードをタイプしたり脇にある書類に目をやったりしています。
この時あなたは、椅子に座るという姿勢を維持しながら両手を動かし、頭が前に倒れるのを支えています。
この姿勢を維持し、頭を支えるということをするために多くの筋肉と筋膜が働いています。
たとえば、首の後ろの筋肉(伸筋群)、脊柱起立筋、僧帽筋などの筋肉は、それぞれ静止性収縮といって動きはないのですが緊張をつづけて姿勢を維持しています。
また、胸腰筋膜も背中と腰の筋群と協調して張力を高め安定化機能に寄与しています。
そして、作業が長時間化してくると、姿勢を維持するために緊張をつづけた筋肉の中には乳酸がたまり始め、神経伝達物質であるアセチルコリンが過剰分泌されます。
また、筋小胞体からはカルシウムイオンが大量に放出されることにより、筋繊維が収縮を起こします。
この収縮により、筋のエネルギー要求も増えるのですが、じっと座った姿勢でいるため血管は圧縮され、血流が悪くなっていて十分な酸素とエネルギーが運べません。
その結果、筋はエネルギー危機に陥り、過敏性物質(発痛物質)を放出してしまいます。
この発痛物質が、神経を刺激して痛みが発生します。
この痛みが筋肉を緊張させ、更に筋肉は収縮し血流が落ちてしまいます。
更に筋膜(筋肉を覆っている膜でコラーゲン繊維とエラスチン繊維、ヒアルロン酸でできている) も同じ姿勢をつづけたことにより、ヒアルロン酸が凝集化してゼラチン状に粘り気を増してしまい、筋膜の滑りが悪くなってしまいます。
このようにデスクワークのような長い時間同じ姿勢で作業する場合は、筋肉は緊張をしつづけなくてはならず、動きのある作業に比べて筋肉の血流が阻害されるために老廃物などがたまりやすく、コリを生じることが多くなります。
特にパソコンの画面を見ての作業は前かがみになり、重い頭が前に落ちこまないように首と肩の筋肉で支えなければならず、首と肩の筋肉に大きな負担がかかります。
また、多くの人が作業中、無意識に肩に力を入れていることが多く、このことが一層コリをひどくする要因になっています。
この状態を少しでも改善するには、こまめに首を回したり背伸びをしたりなど、なるべく同じ姿勢をとることにより固まってしまった筋肉を動かすように心がけ、できれば温めて血流を良くしたり、携帯用のマッサージ器などで老廃物がたまらないようにしてください。
流れが悪くなる、滞る、通じない、これらは私たちの身体にとって大敵です、
溜まった水は腐ってしまうように。
私たちの身体は水から出来ているのです。