象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

モンスターバトルの終焉〜老いたコングに明日はない

2022年01月14日 12時24分12秒 | 映画&ドラマ

 コロナ渦が明けたら、真っ先に劇場で観たい映画があった。
 何を隠そう、「ゴジラvsコング」である。
 60近くにもなる親父がなぜ、CGで作られたモンスターバトル如きに、一体何を期待するというのか?
 それは、子供の頃に見た日本版の「ゴジラvsコング」(1962)が、子供騙しの縫いぐるみ同士の闘いに終始し、モンスターバトルには程遠かったからだ。
 所詮、CGで作られたモンスターに”リアル”を求めるのは、無理があるのは判ってはいた。前回の「ゴジラ〜キング・オブ・モンスターズ」(2019)での失態を振り返ると、大きな期待が持てないのも薄々判ってはいた。
 しかし、人は過去と自分に反省をし、明日への新たなる創造物を生み出す”モンスター”である。何かサプライズがあるかもと考えるのが、”なんちゃって”怪獣映画オタクというものだ。


やっぱり愚作?

 しかし、気がついた時は劇場公開が終わっていた。
 ネタバレサイトで、大まかなシナリオは知ってはいた。それもあってか、映画館に行くのに気が失せてしまった所もある。
 結果的に言えば、劇場に足を運ばないで大正解だった。

 何が愚作だったかと言えば、オープニングの作りで、その兆候の大半を晒けだしているのが手に取る様にわかった。
 一気に見る気が失せたが、TSUTAYA更新費220円と新作レンタル400円(1泊2日)を払っただけに、それなりの期待を込めて、DVDをプレイヤーの中にセットしたつもりだった。
 ”年忘れ映画鑑賞”と行きたかったが、見事に期待を外れてしまう。
 「おせちは誰が為にある」でも書いたが、私にとって年末年始というのものは、悲しいかなこんなもんだろう。
 もっとコングが強かったなら・・・
 日本版「ゴジラvsコング」はゴジラが可愛そうになる程にコングが強かった。まさに”キング”コングであった。因みに、正式なタイトルは「キングコング対ゴジラ」(1962)である。
 しかしハリウッド版では、コングが可愛そうなくらいにゴジラが強かった。まさにキングゴジラである。そういう意味ではタイトルを「キングゴジラvsコング」にすべきだった。

 勿論、ゴジラファンにとっては胸の透く展開ではあったろうが、もう少し拮抗した戦いにしてほしかった。キングコングの桁外れの握力や腕力からすれば、ゴジラの背びれの1つや2つは千切りとっても不思議はないだろう。いや、下顎くらいは殴り砕いても想定内であったろう。
 だってゴジラには、放射熱線という反則技があるのだから・・・
 しかし、映画上の(人間味溢れる)弱々しいコングはゴジラの放射熱線に怯えるだけで、ゴジラを跪かせる有効打は殆ど見当たらない。
 逆に、ゴジラの躍動は想像以上だった。全てにおいてコングを圧倒し、日本版ゴジラみたいに歩くだけの”巨大なぬいぐるみ”ではなかった。
 確かに、”少し年老いたコング”のコンセプトは間違いではなかったと思う。
 日本版では(アメリカ生まれの)コングが勝者?だったが、ハリウッド版では明らかに(日本生まれの)ゴジラが勝者である。
 (日米決戦の)決着がついたという点では、(日本人にとっては)スッキリ感もなくはないが、どちらが勝つにしても拮抗したバトルを見たかった。


モンスターバトルの限界

 それに、中途に仕立て上げられたメカゴジラの存在にも悲しくなった。せめてメカギドラにすべきだったろうか。コングと会話する少女の存在も、前回の「ゴジラ~キングオブモンスターズ」で子役を演じた娘も余計に思えた。
 批評家から好意的な評価を受けている(ウィキ)とある様に、全世界での興行収入は467億ドル(北米だけで100億ドルを突破)を記録し、コロナ明けの映画としては最高の利益をもたらす。
 しかし、私の様に酷評する専門家もいる。
 ”巨大怪獣バトルに期待されているあらゆるスペクタクルを満たすため、キャラクター設計や人間ドラマを排除している”(Rotten Tomatoes)
 シカゴサンタイムズは、”鑑賞した後すぐに内容を忘れてしまうような映画だが・・・”と皮肉り、モンスターバースは”怪獣バトル以外の全ての描写を放棄した”と大胆にも指摘した。 
 更にエンパイア誌は、”巨大モンスターバトルという約束をほぼ果たしてはいるが、余りにも酷い設定に耐えられるかどうかが問題だ”と切り捨て、ジ・エイジは”かつて残酷な低予算ホラー映画でキャリアを始め、スタジオの雇われ監督になった男の、かつての個性はどこにも見られない”と(私が思ってた以上の)酷評の嵐である。

 続編の構想もあるらしいが、モンスターバトルの限界を知ってしまった以上、いやゴジラもコングもCGの領域を出ない事が解った以上、CG上で無理矢理育て上げられた2つのモンスターは、伝説で終えた方がいいようにも思える。
 こうなったら、第三次世界大戦でゴジラが放射熱線を使い、アメリカを焼き尽くすという展開はどうだろうか?
 その時こそ、”キング”コングが本領を発揮し、ゴジラをフルボコにするのだろうか?



2 コメント

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でも (unknown)
2022-01-15 03:54:24
で最後はコングがメカゴジラにフルボッコにされたゴジラを救う形になったから
これはこれでいいのでは
愚作とは言い過ぎか
unknownさんへ (象が転んだ)
2022-01-15 09:51:07
いや
決して言い過ぎでもないと思います。
海外のメディアは私と殆ど同じかそれ以上の酷評をしてますから。
コングは武器を持ってましたが、これも何だかなーって感じで、全体を通じて創造力2欠ける作品に思えました。

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