「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

早朝の「モーツァルト・タイム」

2022年01月16日 | 音楽談義

毎日の起き抜けの時間は「モーツァルト・タイム」に充てており、パソコンで「モーツァルト専門チャンネル」(ドイツ発)を聴いている。

自然に流れていくまるで清流のような音楽を聴いていると、心まで洗われてくるようで1日の中での「ゴールデンタイム」である。

ジャンルは様々に亘っておりオペラも有れば、交響曲、セレナードなどが5分おきぐらいに途切れることなく鳴らされてくるが、その瞬時の切り替えが鮮やかというか曲目にまたがる不自然さがないのが不思議。

むしろ、その切り替えに爽快感さえ覚えるほどなので、モーツァルトの音楽の根底からは常に「同じ声」が流れていると言っても過言ではないと思っている。

そして、ブログを創りながらも、つい手を止めてうっとり聞き惚れる曲目がときどきある。

昨朝がそうで、あまりにも素晴らしかったのでパソコンににじり寄って画面を確認してみると「ヴァイオリンソナタ」(K454)だった。

ウ~ン、参った!

あいにく「K454」は手元になかったが、ブログなんかどうでもいいとばかり(笑)、早々に創り終えた後で久しぶりに「ヴァイオリンソナタ」に聴き耽った。

いい音楽を聴くと必ず後に尾を引くんですよねえ(笑)。


音楽ソースはクラシック専門放送「クラシカジャパン」(CS放送)を「HDD」に録画したもので、ギル・シャハム兄妹のピタリと呼吸の合った
演奏が何とも形容のしようがないほど素晴らしい。

          

この番組中の「K301~306」の一連のソナタは1778年(22歳)に作曲されたもので、いかにも天真爛漫というべき「モーツァルトらしさに」溢れた作品で、正式な題名は「クラヴィール(ピアノ)とヴィオリンのためのソナタ」で、平たく言えば「ヴァイオリン助奏付きのピアノ・ソナタ」のこと。

形式上はピアノが主役となっているが、そこはさすがにモーツァルトでピアノとヴァイオリンがまったく対等となって丁々発止のやり取りが繰り広げられている。その絶妙の緊張感と調和は何度聴いても飽きがこない。

以前に、ご近所にお住いのYさんが試聴にお見えになったときもこの録画番組を視聴していただいたことがある。

Yさんはとてもご熱心な「フルート奏者」だがひとしきり聴かれてから「このヴァイオリン・パートはフルートでときどき演奏してますよ。」とのご発言。

「エッ、とても複雑そうですが演奏が難しくはないですか?」

「いいえ、まるでフルート向きに書かれたみたいに簡単ですよ。しかしヘンデルなどの音楽とは違ってモーツァルトを演奏するときはいつも変化に富んでいてまったく飽きがきません、こればかりは不思議ですねえ~。」

つい先日にも書いたが、一般的にモーツァルトの音楽はクラシックというジャンルの中で一括りにしてアッサリと片付けられているが、他の作曲家たちと同列に論じられるのが間違っているような気がしてならない。何といっても音楽の成り立ちがまったく違う。

というのも、手紙魔だったモーツァルトにはいくつもの残された書簡があるが、その中で作曲に当たっての非常に興味深い記述がある。(小林秀雄「モーツァルト」より)

要約すると、「曲目の構想が奔流のように頭の中に浮かんできてどんなに長いものであろうと一気に完成します。まるで美しい一幅の絵を見ているみたいです。後で楽譜に写す段になると、脳髄という袋の中から必要なだけの“かけら”を取り出してくるだけです。」

「天才の極印」(同書より)として非常に有名な箇所だが、こうして出来上がった音楽は文字どおり「天馬、空を駆けるが如し」で伸び伸びとして不自然さが微塵も感じられない。

他の作曲家たちのように苦吟しながら何度も何度も推敲を繰り返して完成する音楽とはまるっきり異質で明らかに一線を画している。

モーツァルトを聴くたびに「やっぱり天才やなあ!」とまるで“うわ言”のように繰り返しているが、次の画像の文献に次のような記述がある。

         

右側の「モーツァルトその人間と作品」(アルフレート・アインシュタイン著)は、数あるモーツァルト研究書の中でも白眉とされているが、その348頁に「ヴァイオリン・ソナタが作られた当時はフルート奏者のために作曲をしていた時期に当たり、ヴァイオリン・パートは明らかにフルート的な性格を有している。」とある。

Yさんが「ヴァイオリン・パートはフルートでも演奏しやすい」との発言にピタリと符合することに驚いた。

何はともあれ、こういう名曲をヴァイオリンの音色に特化したともいえる「AXIOM80」で聴けることは至上の喜びとするものです(笑)。



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