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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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粉体塗料・粉体塗装管理



粉体塗料の色差について

 粉体塗料の色調管理は通常色差⊿E=0.5~1.0程度で実施されます。色調管理の厳しい被塗物では、液体型塗料の規格に合わせて色差⊿E=0.3での管理を要望されるケースも散見されますが、塗料の特徴に即した管理値の設定が望ましいです。塗装製品の色調変動原因としては、例えば溶剤型塗料では「希釈粘度による変動」や季節による「シンナー変更に伴う変動」など、塗料の調色精度以外にも塗装ラインでの塗装条件による色調変動が発生します。これに対して粉体塗料では、黄変しやすい焼付炉など一部の設備問題を除けば、塗装ラインでの変動要因はなく、1年を通じつ安定した色調を得ることができます。このことを考慮すれば粉体塗料の色調管理値⊿E=0.5~1.0は決して緩い値ではないことが理解できます。

塗料及び使用環境の管理について

 粉体塗料が温度や湿度によって砂糖が固まるよう凝集して固化する現象をブロッキングといいます。ブロッキングは主に熱によって発生するため、塗料の輸送・保管時はもちろん、塗装環境においても温度管理が大切です。特に低温硬化塗料や高耐候性などおn機能性塗料はブロッキングが発生しやすい傾向があるため30℃以下の管理が望まれます。また、カラーガード品などの汎用常備色塗料においても35℃以下の管理が推奨されています。それ以上の温度ではほとんどの熱硬化性粉体塗料ではブロッキングの発生や、固相反応による肌荒れや光沢低下などの外観異常の発生原因の一つとなります。特にエポキシ系やエポキシ/ポリエステル系、ポリエステル/TGIC系及びアクリル系などの粉体塗料では固相反応によるゲル化が進行しやすいです。粉体塗料採用時には塗料の保管庫はもとより、塗装ブースも高温にならないように配慮することが望ましいです。夏季休業前などには粉体塗料の回収機のフィルターに逆洗をかけて付着した粉体塗料を払い落としたり、塗装機のタンクから塗料を抜き取って冷暗所に保管したりするなど塗装ライン内で塗料のブロッキングや劣化が発生しない工夫をすることが望ましいです。

粉体塗装の設備対応

 粉体塗装で発生する多くの不具合は事前の設備対応で防止することができます。粉体塗料の特徴に配慮された設備対応は塗装の省力化と、品質の良い塗装のポイントといえます。特に塗装機の検討の際には、最も多く塗装される標準的なワークの他に、最も塗装しにくい形状の被塗物での塗装確認が必要です。塗装設備が完成した後から、想定外の被塗物の自動塗装を実施しようとしても、ガン数の増加など再設備投資が必要になることが多いので注意が必要です。
 また、粉体塗料は回収粉を再使用できることが利点の一つとなっていますが、回収粉の再使用を前提とした”低塗着効率”の塗装設定は推奨できません。これは静電粉体塗装が微粉の塗装を得意としないことによります。粉体塗料粒子は空気の流れに乗って被塗物近傍まで搬送されますが、例えば20ミクロン以下の微粉は空気の粘性の影響を受けて被塗物に塗着しにくい傾向があります。塗着効率の低い設定をした場合、回収機内に微粉が増加・蓄積します。塗装機に送られるミキシングタンク内の塗料の粒度は、新粉との混合比率の低下とともに低下します。これがさらなる塗着効率の低下を引き起こし、塗装膜厚低下(スケの発生)や、ガン先などへ塗料が凝集してスピットの発生原因となります。回収粉の増加と微粉の蓄積が進むと、回収タンク内での塗料の流動性の低下(搬送不良)が発生し、最悪の場合、定期的に蓄積した回収粉を廃棄することも必要となります。一方、高圧エアーによる粉体塗料の搬送自体もインジェクター内や塗料粒子同士の衝突などにより粉体塗料が砕かれて微粉増加の要因となるため、塗料のムダ吹きも回収粉の増加や微粉化を促すことになります。
 微粉に関するこれらの注意事項は特に摩擦帯電ガンにおいて重要です。ガン内壁との接触摩擦帯電を利用して塗装する摩擦帯電ガンでは、大粒子径の塗料粒子に比べて微粉はガン内壁へ衝突しにくく、接触摩擦帯電しなかった塗料は回収粉の増加要因となります。摩擦帯電ガン使用時には、特に塗着効率を高めておくことが重要となります。
 回収粉は外部から持ち込まれるゴミなどに汚染されやすく、物や色混じりなどの塗装欠陥の原因となりやすいです。このため可能な限り新粉の使用比率を高めて塗装することが美粧塗装を実施するためにも好ましいです。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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