・キラーＴ細胞Killer T cell きらーてぃさいぼう
リンパ球の一種で、キラーT細胞は樹状細胞から抗原情報を受け取り、ウィルスが感染した細胞、がん細胞などにとりつき、排除するという働きがあるというのです。
スーパーセンテナリアンＳupercentenarianは、110歳以上の長寿者のこと110歳以上の人には特殊な免疫細胞が多いといわれます。
ヒトは生物学的には120歳程度は生きられるといわれていますが、実際は日本における110歳以上の人はわずか146人(2015年国勢調査：女性137人・男性9人)を確認しています。
今までもこのような長寿者の特性を調べた研究は多くありますが、2019.11月に、理化学研究所と慶応大学の共同研究チームが110歳以上の方について調査し血液中にT細胞の「CD4陽性キラーT細胞」を血液中に多く持つことを発見し、特殊な免疫細胞を多く持っていることが分かっています。
研究チームでは、110歳以上の7人と50～80歳の5人を対象に、血液中の計約6万個の免疫細胞を分析しました。
その結果、110歳以上の人では、免疫システムの司令塔の役割を持つ「Ｔ細胞」のうち、ウイルスに感染した細胞、がん細胞などの異物を破壊してしまう「キラーＴ細胞」の割合が高いことが分かりました。
通常は少量でしか存在しないCD4陽性キラーT細胞が高い割合での存在です。これらのT細胞受容体を調べたところ、特定の種類の受容体を持つT細胞が増加するクローン性増殖が起きたことを明らかにしています。
敵が侵入したという知らせを受け取ったヘルパーT細胞は、たくさんのキラーT細胞を送る決断をします。そのため、さっそくヘルパーT細胞は、特別なタンパク質(インターロイキン２)を送ってキラーT細胞を増やします。キラーT細胞は、ヘルパーT細胞の命令がないと増えません。HIVというウイルスは、こ脳卒中・心筋梗塞など致命的な病気になることが多く、早くに死亡のヘルパーT細胞に侵入して命令を出せないようにするため、外敵が侵入してもキラーT細胞が増えず、免疫機能を低下させてしまうといいます。
特に、免疫の働きを助ける特殊なキラーＴ細胞の割合は、50～80歳の2～3％であるのに比べ、110歳以上の人は約25％を占める事が判明しています。
ちなみに、この細胞はマウスを使った実験で皮膚がんのメラノーマを破壊することも報告しているようです。
研究チームでは、「老化すると免疫力が低下して、がんや感染症のリスクが高まりますが、110歳以上の人はこうした病気にかかりにくく、この免疫系が良好に働いているとみられる」と結論づけています。
2021年9月11日現在存命中の確実に証拠がある世界最高齢者は日本の田中カ子(1903年1月2日生)さんです。
センテナリアンＣentenarian(100歳以上)の健康状態はどうなっているのでしょうか。全体の80%の方が要介護であったり、認知症であったり、寝たきりであったりと、なんらかの機能の低下がみられます。認知症がなく、自立をしてい、健康状態の良好な、
つまり機能の高い方は全体の2割程度です。病歴を持つセンテナリアンは、ほとんどの方に既往があるか、慢性疾患を持っているようです。
センテナリアン(100歳以上)の人の多くには、1)アルブミン値の低下（栄養低下）2)炎症反応が亢進する 3)糖尿病が少ない 4)動脈硬化が少ないなどの特徴があります。
女性では、変形性関節症、骨粗鬆症など致命的ではないが行動に障害が出る病気が多い傾向で70歳頃からゆっくりと機能の低下が見られていますが、一方で男性では脳卒中・心筋梗塞など致命的な病気になることが多く、早くに死亡のケースが見られ超高齢期まで機能がほとんの低下しない人が１割ほどいるというのです。
女性は、百寿者の大部分で機能低下が見られます。この差は女性と男性でなりやすい病気に差があることが一因といえます。男性では、病気しなければ健康が維持できるためではないかという説です。(秋山弘子 雑誌「科学」（2010 年 1 月号）『長寿時代の科学と社会構想』
これらの特徴が互いに関係しているか確認するために、栄養状態の良い人、悪い人を比較してみたところ、栄養状態の良いセンテナリアンは認知機能も高く、炎症反応が低いことが分かりました。これらのことから、健康長寿を目指すならば、栄養状態を保つことが大切だと考えられています。
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