Entrance for Studies in Finance

第1回 証券と証券市場  証券市場論の全容

第1回のところです。最低限理解してほしいこと。それからその延長上に理解を深めてほしいことがあります。ここではその最低限のところを述べます。それは証券と証券市場について基本的な理解を持って欲しいということです。しかしそこから進めて1年間の講義で理解してほしい内容まで展開します。

証券の定義
 まず券とは財産権についての証書(権利を証明した文書)を広く意味しています(证券的意思是财产权表示证书)。
 証券は、まず証拠証券と有価証券とに分けられます(首选证券分类证据证券和有価证券)。証拠証券とはある事実を証明しているだけのものを指します(证据证券表示只证明某事实)。例示としては各種の預かり証があります(例如是个别的存货证书)。これに対して有価証券はその証券の保有・譲渡と対象となる財産権の保有・譲渡が結びついているものを指します
 つぎに有価証券は、貨幣、商品、資本など財産権の権利の対象に応じて、貨幣証券、商品証券、資本証券に区分されます。貨幣証券には小切手・手形などが、商品証券には倉荷証券・船荷証券、資本証券には株券・債券などがあります。証券市場論で議論しているのは、この資本証券です。

   (ここでは貨幣証券の内容を深く掘り下げていません。そもそも貨幣とは何かとか。手形が歴史的にどのように生成されるかといった議論を省略しています。ただ学習の便宜のために少し述べておきます。商品証券のうち、為替手形というのは商品を売った側が買った側に対して振り出すものです。買った側はこれを引き受けてacccepted債務として承認すると、この手形は流通できます。買った側を知っている銀行が引受人になることもあります。これを銀行引受手形といいます。このような為替手形は、国際的な取引で広く見られます。国内取引でよくみられるのは、買う側が支払いの約束として振り出す約束手形です。このような手形は、支払いが後日。つまり取引が延べ取引になっていることが特徴です。これに対して、銀行券というのは、歴史的には銀行の約束手形であり、銀行が貨幣の支払いを約束しているものだったと考えられます。民間の銀行が銀行券の発行をやめて、中央銀行に発券が集中され、中央銀行と国家の信用が結びついているのが、今日の多くの国家の銀行券の在り方です。またその場合、中央銀行は銀行券に対する貨幣(正貨)の支払いを停止しており、中央銀行券の信用は、その背後にいる国家の信用と結びついていることになります。このような通貨の在り方を「管理通貨制度」と呼んでいます)

 小切手 支票 check
 手形  票据 bill
 約束手形 本票 promissory note
 船荷証券 bill of lading 
 つまり財産権の対象が貨幣であるものが貨幣証券、商品であるものが商品証券、そして資本であるものが資本証券です。直観的に理解されるように証券市場論で扱う証券は、この資本証券です。
 3つの証券のうち、資本証券が財産権の対象であるという意味がわかりにくいと思います。資本は貨幣や商品のように手に取ることができないからです。資本といっているのは、投資がおこなわれることによって収益権を期待する関係が生まれますが、その関係を指しています。つまり投資という行為によって発生する権利が、財産権の対象になっています。私は投資収益請求権証券だと説明しています。

  (あとで議論しますが、資本証券の価値とは何かという問題があります。貨幣証券の場合は、具体的な貨幣金額が存在します。資本証券については、資本証券が生み出すであろう収益を根拠にして、市場で相場が作り出され、それが資本証券の価値だとされます。しかしその価値の大きさは、さまざまな要因によって変動するものです。資本証券は、債務を表す債券と、資本への出資を示す出資証券や株券などに大別できます。債券は満期が近くなると償還価格に収れんする傾向があります。これに対して出資証券や株券は、このような収れんの方向をもっていません。こうしたところから、資本証券、とくに資本への出資を示す証券の価値はとりわけ「架空的」「虚偽的」であるという表現がでてきます。なお収益の大きさを根拠に資本証券の価値を計算する方法を収益還元あるいは資本還元と呼びます。たとえば3%の収益率を仮定した場合、3万円という収益を資本還元すると3÷(3/100)=100  100万円という数字が出てきます。これは3万円という収益は、収益率が3%の世界では100万円という価値に値するということを言っているわけです。しかし実際にはこの100万円という数値はいろいろな要因によって変動しとらえどころのないものです。)

 ところで証券、あるいは証券の保有・譲渡というと紙製の証券をイメージされるかもしれません。しかし権利の保有・譲渡という情報が大事でそれを、紙の証券で行うのは方法の問題だといえます。
 paper crisisと呼ばれる問題(事務処理がパンクすること)が起こりました。紙という手段にこだわっていると、売買のあと紙の株券の受け渡しや紙の記録の書き換えが必要になるのですが、売買のあと紙の証券でのやりとりが面倒だという事態がたびたび生じました。そうした問題もあって、証券という紙片は発行されず、磁気媒体上の記録に記録が書き換えられるようになりました。

 今日では、証券とは財産権についての権利であり、紙であらわされているかどうかは本質的な問題とはみなされません。紙の証券の発行が省略されるケースが多くなっています。

市場とは何か
 つぎに市場について考えましょう。そもそも市場marketとはなんでしょうか。売り手と買い手が集まる場所ですね。ただ市場といったときには、売り手と買い手が多数集まるというのが本質です。そもそも取引は
 相対(あいたい)取引negotiated transactions
 せり取引auction
 市場取引market transactions
 の3つに区分されます。
 ではなぜお多数集まるのでしょうか。それはその方が売買の成立が容易になるからですね。あたりまえのようですが、売買の成立が容易な市場にますます人は集まりますね。
 ここで二つ問題があります。一つはだから市場は集中するという傾向があるということです。もう一つの問題は、さきほどの紙と同じです。果たして人間が集まる必要があるかということです。容易に理解されるのは、売買に関する情報が集まればいいということです。

発行市場と流通市場
証券市場といったときに理屈の上では2つの市場を分けて考えます。発行市場と流通市場です。英語ではprimary market, secondary marketといいます。
 発行市場では証券の発行がおこなわれますといっても意味がわかりにくいでしょう。証券とは投資だといいましたが、このお金を受ける側からすれば資金を調達するということです。証券が発行されて資金が調達される場所が発行市場です。無垢の証券、つまり新品の証券が初めてこの世に出る市場です。
 もうひとつの流通市場というのは一度発行された証券が、その後売買される場所という意味です。
発行市場の機能はいわゆる金融の機能です。金融論ですでに学ばれたと思いますが、経済主体がこのように最終的な資金提供者から直接資金を調達する、こうした金融は直接金融とよばれます。では流通市場はどういう機能をしているかというと、まず流通市場が前提になって発行が円滑に行われる面があります。買ったものを売却できると安心ですね。
 それから証券市場は、投資家の側からみると資金の運用場所でもあるのですね。本日の初回の講義で理解してほしいことはここまでです。
  これから今後1年間の講義で理解してほしいことを述べます。少し難しくなりますが頑張って付いてきてください。
 

証券市場の役割
 山口勝業さんは証券市場には3つの大きな役割があると説きます。流動性の供給、多用な投資家によるリスク負担、価格発見機能です。宇野淳監修『アセットマネジメントの世界』東洋経済新報社, 2010年, p.28.
 この流通市場に、いわゆる取引所stock exchangesがあります。取引所というのは、取引する場所を決めて、多くの場合はそこで取引できる人たちを決めて始まります。また取引の仕法というのですが約束ごとを決めて始まります。約束というのは、たとえば取引する商品、取引する時間、売買値段の決定の方法、決済の方法などです。真島博道さんは、証券取引所には、有価証券への流動性の付与、そして公正な価格形成に場の提供、という2つの機能があり、投資者が安心して有価証券に投資できるようにして、企業の有価証券発行による資金調達を円滑にしている、とします。三好秀和編著『ファンドマネジメントの新しい展開』東京書籍, 2009年, p.11.

資本集中機能 満期変換など資産変換機能

  投資家の手元のお金はもともとは小規模(小額)で短期のお金つまり、高い流動性を求めているお金です。証券市場が高い流動性を供給ことで、こうした投資家が集まってきます。

 その結果、生じていることの一つは、資本集中という大きなお金が生み出される機能(資本集中機能)です。また小口で短期のお金が、大口で長期の資産に変換される資産変換機能また満期変換機能も生じています


市場の本質と市場の集中と分散(分裂)
 ここで取引所市場の歴史を簡単にみましょう。
 証券取引所としては1611年のアムステルダム証券取引所が最古の創設とされています。ロンドン証券取引所については1773年を開設とも、1802年のものが現在につながるという言い方もある。ニューヨークで「すずかけの木の協定the Buttonwood Agreement」が結ばれたのが1792年、取引会所(the Board)の設立が1817年である(1863年には現在の地点に移動 現在の建物の完成は1903年)。日本の証券取引所は1878年に東京と大阪に設立されています。
 市場というのは売買に関する情報が集まるところだと、すでに説明しました。情報が集めれば売買は成立しやすくなるはずです。その意味で市場は集中傾向をもっています
 ところで流通市場で取引所ができる、約束事ができるのは、取引を容易にするためですが、約束ごとができますと、それに合わない商品の取引場所が必要になります。取引所は通常は会員組織で会員には規則を守らせます。しかし非会員は規制できませんし、会員に対しても規則で決めていないことまでは強制できません。その結果、市場は分裂してゆくことになります。このようにして市場は常に集中と分散の両面をもつことになります(たとえばNYSEに入れなかったブローカーたちは、通りの角で取引するようになり、やがてこれがNY Curb Excahnge of 1928:のちのAmerican Stock Exchange 1953:Amexになります。Amexは2008年にNYSE Euronextに買収されています )。
 市場が分裂するもう一つの原因はよりよい市場を目指す市場間競争から生じます。

よい市場とは
 ではどのような市場が望ましいでしょうか
 売買の成立が容易な流動性の高い市場。というのが一つの回答です。専門用語では売買のスプレッド、売値の買値のスプレッドが小さな市場。売買が活発なら売値と買値のスプレッド、つまり仲介業者の取り分は小さくなります。これは売買のコストが小さいとも評価できます
bid ask spread(dealerの取り分)が小さい市場 売買コスト(取引コスト)が小さな市場 だと考えるが、売買コストには、売買される商品の量とか人気も影響している。したがって同一の商品についてbid ask spreadが小さな市場といえばよいだろうか。
 willing to sell the price is asking
willing to buy the price is bidding
 spreadの大きさは、市場の厚みthickness of the marketや売買されている金融商品の価格変動性variablity of the priceが影響する(Fabbozzi and Modigliani, Capital Markets, 4th ed., 2009, pp.6-7.)。売買に実際に出ている量を反映する流動性liquidityが影響しているという解説もある(B.O'Neill Wyss, Fundamentals of Stock Markets, 2001, p.8.)。株でいえば新興企業株と優良大企業株ではspreadが違ってくる。

投資家の機関化
 もうひとつ近年注目されているのは投資家層の変化です。機関投資家が増えているとされています。たとえば年金基金とか投資信託などです。このような現象を機関化と呼んでいます
 ニューヨーク証券取引所では1975年5月 May Dayと呼ばれる市場改革 株式委託売買の固定手数料制が廃止されます。その直接の背景は、NYSEの固定手数料を回避しようと機関投資家が地方取引所や第三市場(非会員業者間市場)との取引を拡大したことに対応してSECが、固定手数料制の義務付けを禁止したことにあります(ソーベル著 原・新垣訳「ウオール街の内幕」有斐閣1984年pp.110-111参照 Robert Sobel, Inside Wall Street, 1977)。SECではこのとき市場間の競争を促すためにNMS(全米市場システム)の構築を定めています。
 1975年6月にはNYSE上場銘柄、1975年6月にはAMEXと地方取引所単独上場銘柄を対象にNMSのシステムの一つCTSが稼動を始めました(1975年12月末に公布されたSEC規則により各取引所は、上場銘柄の店頭市場取引に関して会員に課している制限を1977年の大発会までに段階的に撤廃しりことになった。ソーベル前掲邦訳書p.194)。非上場銘柄の気配値については1971年2月にNASDAQが気配値集約表示システムとして稼動を始めていたが、1978年8月、NMSのシステムの一つとしてCQSが、NYSEとAMEXの最良気配値の公表を開始しました。なお1982年6月にはCTSにNASDAQ銘柄が加わっています(参照「図説 アメリカの証券市場2005年版」日本証券経済研究所, 2005年, pp.88-91)。
 ロンドン証券取引所LSEでは1986年10月のBig Bangとよばれる市場改革で、株式委託売買の固定手数料制と単一資格制度が廃止されます。LSEでは取引所にはjobbersがいて、顧客を市場につなぐのはbrokersでした。この改革によりdual capacityが導入されました。またSEAQ: Stock Exchange Automated Quotationsが導入されました(⇒立会場取引は廃止へ)。これらの改革の背景には、市場の機関化があると思われます(参照 代田純『ロンドンの機関投資家と証券市場』法律文化社, 1995年, とくに第6章。また「図説 イギリスの証券市場2009年版」日本証券経済研究所, 2009年, pp.12-13)。
 こうした投資家は動かすお金が巨額なので、マーケットインパクトコストmarket impact costが小さいこと(大きな金額でも市場に大きな影響を与えることなく売買できること)、市場での匿名性が守られること(さまざまな配慮から匿名性が守られること)を重視するとされていますそこでこうしたニーズに対応すること(このニーズに対応したものが後述するdark poolsです。)投資家を引き付けようとする市場間競争が、激しくなることになります。
可児さんは流動性の測定方法には2つあるとして、bid ask spreadとmarket impact costを挙げます。ここで強調したいのはmarket impact costが問題になる背景です。流通市場の構造が機関投資家が中心となるように、変化したことに対応しているのではないかということです。(可児滋『金融リスクのすべてがわかる本』日本評論社, 2006年, pp.80-83)

trading cost
この問題に関連して、トレーダーはトレーデイングコストを意識して行動していると三好秀和さんは議論しています。(三好秀和編著『ファンドマネジメントのすべて』東京書籍, 2007年, pp.134-136.)
 このコストには、手数料・税金などの見えるコストとマーケーットとインパクトコストなどの見えざるコストとが含まれるとします。そして見えざるコストの内容に、購入を決定したファンドマネージャーが想定した価格と約定した価格とのかい離(=タイミングコスト)と、さらに、約定に至らずキャンセルしたときの想定した価格とキャンセル時点の価格のかい離(=機会コスト)を、含めています。つまりこのコストは市場側の問題とトレーデイングの巧拙の問題の複合です。
 そして、「見えるコスト」が手数料自由化の結果廉価になったことが、マーケットインパクトコストなど「見えざるコスト」に関心が移っていることと、背景には、このコストを含めファンドやそのトレーダーがパファーマンスを互いに競っていることを示唆しています。しかしだからこそ、よい市場をめぐる要求が強くでてくることになる、と言えるでしょう。

流通市場の問題secondary market
order-driven market(顧客の板注文で駆動している市場:東京)
quote-driven market(仲介業者が常時値付けquoteをだしている市場:ロンドン、ニューヨークなど)

機関化と市場の対応
 機関化により最初は注文の大口化が問題になった。block tradeという大口注文をいかにこなすかが、問題だった。
 大きな注文が市場に影響しないというようにmarket impact costが小さいこと、取引の匿名性が守られること、決済の安全性が確保されていること、派生商品市場が発達して様々な複合的な取引やリスク管理が可能であること、などが浮上した。
ブロック取引とは(東証)
cross trade
crossing network

 しかし最近では、機関投資家やその注文を処理する側が、取引を小口化また時間的に分散させてインパククトコストをできるだけ小さくすること(注文件数の増加)もはじめるようになった。このこともあって取引の速度、取引件数の爆発的増加が起きている。
 その結果、取引所の外にdark poolsと呼ばれる「市場」が形成されるようになった。こうした機関投資家のニーズに対応する方法の一つが上述したクロス取引を認めることです。クロス取引は取引所で成立した相場を用いて、取引所の外で大口取引を成立させることを指します。Dark poolsにはこうしたクロス取引の延長上のもの(自ら価格形成をしないもの)と、価格形成が行われるものとの両方があります

また機関化とともに、投資家が高速度取引に傾斜したこと。これに対して取引所の対応が後手に回ったことは、市場が分裂するーつまり伝統的な取引所の対抗勢力が市場に現れる一因になりました。

block trade; basket trade:program trade
コストへの対応 → algorithmic trading hedge funds and prime brokerage
匿名性への対応 → dark pool liquidity flash orders and dark pools

歴史の流れ
1971 Nixon Shock 
1971 arrival of NASDAQ the first real time open market;dealers could see what everyone in the market was doing for the first time 
1973 Oil Shock 
1975 May Day in New York commission deregulation reduced market friction
1980 January Ronald Reagan took office
1982 August bull run began
1984 May 日米円ドル委員会報告書
 1985 プラザ合意 G5  円高容認
 1986 Big Bang in London
1986 チェルノブイリ原子力発電所事故
1987 October 19 Black Monday from more than 2700 to just over 2200
1988 Capital Accord of 1988(Basel Ⅰ framework)
1989 June 4 天安門事件
 1989 November 11 ベルリンの壁崩壊
 1990 October 3 東西ドイツの統一
1991 September Hussein's invasion of Kuwait
 1991 December ゴルバチョフの辞任
 1992 January ロシア連邦の発足  
1992 Jan.-Feb. US coaliton assaulted Iraq army in Kuwait 
1996 金融制度改革の加速決定
1997 currency crisis
1998 June internet stock boom took place 
1998 Japanese Big Bang in Tokyo
1999 Gram-Leach Bliley Act in Nov.(repeal the restrictions of the Glass-Steagal Act) 
 2001 September 11
2001 November Enron shocked
2003 Mar.20 Iraq War began
2004 new capital accord released in July(Basel Ⅱ framework) 
 2005 ペイオフ解禁(⇒2010 ペイオフ実施)
2006 Basel 2 finalized in June
2007 Subprime problem
2007 郵政民営化
2008 September リーマンショック 
 2010 September(Basel Ⅲ)

 市場間競争の容認(取引所集中原則の廃止)
 abolition of the system of fixed commission (各種の規制緩和)
introducing computerized trading system (電子化取引への移行) 
 決済のペーパーレス化(電子記録情報への置き換え)
変革を推し進めているのは市場の機関化insitutionalization。そして近年では取引所の株式会社化demutualisation(Singapore 1999:London 2000;NASDAQ 2000:Tokyo 2001:NYSE 2006)
 機関投資家(保険 年金基金 ファンド)の増加
   取引金額の巨大化
   取引の迅速化。匿名化・低コスト化の要求
 インターネットの普及による個人投資の変質 1990年代後半ー
   高度な投資の一般化
physical trading, floor trading
computerized trading, screen trading
London Stock Exchange -------- SEAQ(stock exchange automated quotation) system
inter-institutional networks, electronic communication networks ECNs 
separate section for smaller companies
London Stock Exchange -------- Alternative Invesment Market

市場集中原則が保たれている状態での市場の分裂market fragmentation
 集中原則:取引所会員は上場商品を取引所で取引しなければならないというもの
取引所(第一市場)  上場商品  取引所会員   
 場外市場(第二市場) 上場商品  取引所非会員
 店頭市場(第三市場) 非上場商品 取引所会員・非会員
 直接取引(第四市場) 

 

取引所取引

立会内取引

 

立会外取引

取引所外取引

店頭取引

 

私設取引


 三好秀和編著『ファンドマネジメントのすべて』東京書籍, 2007年, p.124.

上場商品の多様さをめぐる競争
市場間競争には、コストのような側面のほかに、扱っている商品の豊富さといった側面での競争があります。
 株式では新規公開initial public offeringの場所をに競う面があります。上場listingは一定の上場基準を設けて審査をして上場を認めます。
 なぜこのような手順を踏んでいるかといえば、上場しているものを選別することで市場の評価を高くすることと、投資家の保護との両面があるかと思います。
 株式には初めて市場に出てくる株(新規公開株)の問題とすでに市場に登場すみのseasoned stockとの区別があることもここで覚えておきましょう。

新規公開発行initial public offering: IPOの問題
 引受underwriting 一般に証券を発行者自身が発行することを直接発行といいます。関係者だけに発行するなら直接発行も十分ありうることですが、広く社会に発行するということであれば、そうした窓口をもっている証券業者に発行を引き受けてもらうことになります。
 割当というのは何か基準にしたがって新株を引き受ける権利を割り当てることを意味しています。よく株主に割り当てるものを株主割当、株主でもない取引先などに割り当てるものを第三者割当といいます。

 公募public offering (for sale)
 割当placings

 上場の数を競う面からいえば上場基準をゆるめればいいのですが、市場の評価を下げるおそれもあるのです。たとえば上場してもすぐに会社がつぶれてしまったり、その帳簿がいいかげんなものだったりしては投資家が困るわけです。
 IPOは通常は小さな企業ですが、国営企業が民営化されたり、上場を嫌っていた大企業がようやく株式を公開するといった場合は、大企業ということもあります。

 このほかにあたらしい種類の商品の上場問題があります。
 一つは派生商品とされるもの(先物取引 オプション取引など)。1985債券先物取引 1988TOPIX先物:東証と日経225先物:大証 2006日経225mini先物:大証
 一つは投資信託の上場(上場投信 1995日経300:大証)。
 一つは株債券以外の商品とか不動産に関する商品(2001上場不動産投信REIT 2007大証金ETF 2008東証金ETF 2010東証商品ETF)。

 証券といったときに注目されるのは資産証券化asset securitisationの問題です。これは企業のバランスシートの左側資産側の証券化という問題です。従来はバランスシートの右側で資金調達における株や社債がどのように機能するかをみていたわけです。
 企業や金融機関にとっては、資産証券化はあらたな資金調達手段となっています。私の講義の体系のなかでは財務管理論で詳しく扱います。 

投資のタイプの2分法
 最後に投資家が行う投資についてはつぎの2つのタイプがあることを区別しておきましょう。
 portfolio investment
 strategic investment
株式投資を例にとると2つの投資の区別がはっきりします。前者では投資はいわゆる純投資あるいは証券投資(間接投資)で相手の企業との関係は考慮していません。単に投資対象としてその株式を考えます。証券市場論で主に問題にしているのは、こちらになります。
 後者は経営戦略的な投資で、相手の企業との資本関係が深まることで、業務上の提携がしやすく強固になるといった判断基準がはたらきます。財務管理の講義では、こちらの投資(直接投資)を中心にお話します。
 portfolio investmentを進めるときには、投資対象を分析して投資判断をするわけですが、その分析手法にはつぎの2つのタイプがあるとされています。すなわちfundamental analysis or technical analysisの2つです。
 すごく沢山の話題が出てきましたが、それは1年間で消化すべき中身のすべてが実は今、ここで話されたからです。今日お話しした内容が最終的に1年間のあと、頭に入ればいい。そういう風に考え直して、消化不良のところは1年後の試験前に読み返して、分かればいいと考えの直してください。

 originally appeared in April 11, 2010
 revised April 11, 2018 

財務管理論Ⅰ 
証券市場論Ⅰ 

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